侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

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笑う当主と踊る幽霊

12ー1

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 ルトビニア王国 ⚫⚫年 吉日 天気、快晴

 王城の貴賓室にて、古式に習い第一王女フローレンスとテアルスティア侯爵家継子サイラス・フォン・テアルスティアの結納の儀が行われた。


 格式有る貴賓室の中央には調印の為、机が置かれ国王とテアルスティア家の若き当主が向かい合う。

通常の結納の儀とは異なる緊張感で、室内は満たされている。

例えるならば、大国同士の対立を回避する場のような緊張感だろう。

 国王は調印書の読み合わせの為に対面するアルバニアの様子に内心動揺する。

調印書の内容は通常ならば怒りすら覚える内容の為か怒気を放つ様にしているのに、幼さを残す当主は朗らかに微笑んでいるのだ。

テアルスティア家から王女に納められる金額、絹は可もなく、不可もない内容になっている。

テアルスティア家への返礼の内容は、王女が生活するだろう、サイラスが居住している荒野の古城までの道の整備。

王都から遠く離れた荒野まで通る、直通の街道の整備は、国家事業の規模になる。

王女が嫁いで三年間で、子を孕む事ができなかった場合、離縁が可能な権利。

通常の王女と貴族家の取り交わしてなら、王室から下賜される返礼を黙し、納めるのが通常だがテアルスティア家は要求をだしたのだ。

しかも、自分達が出した要求を噂で流したのだ。


もし、街道の案件を断れば。
『王室には王女の輿入れの為に街道を通す力が無い』
もし、街道の案件を了承したら。
『テアルスティア家の意向に王室はくっした』
『婚姻の為に国家事業を左右するなど』

そんな、二段構えの策略だ。

三年間で、子を孕む事ができなかった場合の離縁の許可。

案件を断れば。
『王室は子を産めないのを知っていて、家臣に王女を押し付ける気、だから案件を了承できない』

了承したら、王女は間違いなく三年で妊娠する事なく帰って来るだろう。

確かに対等の貴族家どうしなら、その様な取り決めをかわす事も有るだろ。

しかし一国の王女相手にそんな要求をしてくるなんて思いもしなかったのだ。
王は事前で、すりあわせでの報告で要求を聞かさた時は、怒りすら覚えたのだ。

勿論、王室から直ぐに使者を送った。

前列が無い。テアルスティア家に子を作る意思が有るか確認できない。

テアルスティア家からの返答は、要求してはいけない法律は存在しない。

子作りの方に関しては・・・・。

駄目だ。怒りが溢れてしまう。

子作りの日にち、時間を正解に記憶に残す。
第三者の立ち入りを許可する。

当主は、使者に「もし、よろしかしかったら王家から抜き打ちの者を送ればよろしいわ」
そんな、ふざけた事を伝えたのだ。

15歳だぞ・・・・意味が解ってるのか。

帰って来た使者の報告を、私と王太子、宰相、王女で聞いた時は、言葉を失い狼狽えた。

正直、取り止めにしたくなったが此方から強要した縁談の為そうもいかなかったのが本音だ。

国王は、顔を真っ赤にしながらも。
「私、サイラス様に嫁ぎたいのです」と、懇願した王女の姿を思い出す。

調印書は、第三者によって調印の前に読み上げられるれ、室内に居る王族、テアルスティア家の親族、複数の教団の高位者が承認になるのだ。

王は、密かに王女に同情する。

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「令嬢の願い」新連載を初めました。
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