侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

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笑う当主と踊る幽霊

11ー3

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 「王女殿下、気になされ無いで下さい。あれだけ怖い思いをなさったのですから」

私は、王女に話し掛けたの。

「テアルスティア家で、オムツの開発をしておりますのよ。明日の早朝に、お手目元に届くようにいたします」

この世界にも、スライムが存在する。

日本で生きていた時に読んだ、異世界転生した主人公が活躍するファンタジー小説。

主人公は、やたらとスライムを素材にしてアイテムを作る人物で、開発の途中で乾燥したスライムに水分を吸わせる場面を思い出したの。
その記憶がオムツ開発に繋がったわ。


王女の顔が再び、茹で蛸の様になるの。
きっと、喜んでくれたのね。

私が勇者認定した女官も、賛成していたもの。


そんな、こんなで遅くなってしまったけど、私達は御暇する事にしたの。

デザイナーの子には、可哀想だけど残ってもらったわ。
ほら、ドレスが・・・・。

王女が、あんな風にしてしまったからメンテナンスが必要でしょう。









 王城から屋敷に帰る為に馬車に乗り、窓から夜空を見上げると美しい月が浮かんでいたの。
 
今日の騒ぎがまるで嘘のような静かな夜。

馬の蹄が石畳を蹴る音だけが聞こえるわ。


「お兄様、キースは上手くやっくれたかしら」
「大丈夫、アルバニアは心配しなくてもいいよ」

「それにアリスも心配だわ」
「アルバニアは心配症だね。問題無い、私に任せて」

「ねぇ、アルバニア」
「・・・・」

ヴァジールが話掛けると、紫色の瞳は閉じられていた。

規則正しい寝息が、未成熟の薄い胸を上下させている。

ヴァジールはため息を吐く。
馬車の中で男と二人っきりなのに寝てしまうなんて。
信頼・・・・。

信頼よりも・・・・。


 ねぇ、アルバニア。君の側に居るのがつらいんだ。

だって、君は私の事を『お兄様』と呼ぶから。

妹何て思っていない。君は私の唯一なんだから。

だから許して欲しい。

ヴァジールは寝ているアルバニアの唇に、己の唇を重ねる。

これは、月夜の馬車の中で起こった秘密のでき事。





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「令嬢の願い」新連載を初めました。
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