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笑う当主と踊る幽霊
11 ー1 ファンファーレが響きわたる時
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王女は、水色のドレスで室内をクルクルと回り王子に話し掛ける。
「アルフォンス、どうかしら」
「ああ、見事な品だ」
「もう、違うわよ。私よ、私の事よ」
「いいんじゃないか」
王子は、気が乗らない素振りで答える。
それも仕方ない事だ。彼は此処に来た目的地を果たしていない。
むしろ、余計な雑事に巻き込まれているのだから。
「ねえ!アルバニア。あんたも役に立つ時があるのね。誉めてあげるわ、感謝なさい」
王女は傲慢な態度で、侯爵家の当主に告げる。
王子は目眩を感じる。降嫁先の当主に告げる言葉では無い。
ただの、ただの白い豚にしか見えない。
生まれ故に王女が学を修める事を、重臣達は反対した。
それ故に、こんな風に育ってしまったのか?
同じ年の妹が憐れになる。
だがアルバニア達の態度に、王子は違和感を感じる。
王女、フローレンスが愚かなのは仕方ないが、アルバニア達の態度は寛大過ぎやしないか?
先日のコロッセオのロビーでの威厳が感じられない。
ギルバートを挑発するかの様に見せ付けた権威。
バタ______________ン!!
両開きの扉が、勢い良く開け放たれる。
「助けて!!助けて!!キャー!!」
ウサギのぬいぐるみを抱いたメイドが、転がる様に入室してきたのだ。
室内に居る護衛の騎士、従者に緊張が走る。
アルバニアとヴァジールがこの時、目を合わせている事に気付いた者は居ない。
「助けて下さい!剣を持った人に追われています」
メイド姿のアリスは、騎士達に助けを求める。
「早く保護しなさい!」
テアルスティア侯爵が、騎士達に命じる。
本来騎士達が守るのは、継承権を持つ王子。
次に王女となるはずだった。
しかし、数人の騎士はアルバニアの命令に反応してしまった。
メイド姿のアリスも、あえて騎士達に抱きつく。
「怖い!助けて下さい」
王女は中央で立ち尽くす。その姿は舞台に立つ、主演女優の様だ。
水色のドレスを着た王女は、ただ、回りを見渡す。
彼女は、突然の展開に追いついていないのだろう。
バタ_______________ン!!
先程よりも大きな音を立てながら、扉が再び開け放される。
「キャー!!」甲高い、王女の悲鳴が空間を裂き響く。
「あんた・・・・じゃない。なっ、何をしてるの」
王女が騒ぎ立てる。
「そんな、そんな物を持っ・・・・持って、物騒じゃない!!いや!来ないで!」
乱入者の王女に向かう足元に、狂いは無い。
そこにあるのは、紛れも無い殺意。
『・・・・様、私、死にたくなかった』
水色のドレスの女が、乱入者に問いかける。
彼に、王女の姿は見えては居ない。
そこに居るのは、排除対象のみ。
「アルフォンス、どうかしら」
「ああ、見事な品だ」
「もう、違うわよ。私よ、私の事よ」
「いいんじゃないか」
王子は、気が乗らない素振りで答える。
それも仕方ない事だ。彼は此処に来た目的地を果たしていない。
むしろ、余計な雑事に巻き込まれているのだから。
「ねえ!アルバニア。あんたも役に立つ時があるのね。誉めてあげるわ、感謝なさい」
王女は傲慢な態度で、侯爵家の当主に告げる。
王子は目眩を感じる。降嫁先の当主に告げる言葉では無い。
ただの、ただの白い豚にしか見えない。
生まれ故に王女が学を修める事を、重臣達は反対した。
それ故に、こんな風に育ってしまったのか?
同じ年の妹が憐れになる。
だがアルバニア達の態度に、王子は違和感を感じる。
王女、フローレンスが愚かなのは仕方ないが、アルバニア達の態度は寛大過ぎやしないか?
先日のコロッセオのロビーでの威厳が感じられない。
ギルバートを挑発するかの様に見せ付けた権威。
バタ______________ン!!
両開きの扉が、勢い良く開け放たれる。
「助けて!!助けて!!キャー!!」
ウサギのぬいぐるみを抱いたメイドが、転がる様に入室してきたのだ。
室内に居る護衛の騎士、従者に緊張が走る。
アルバニアとヴァジールがこの時、目を合わせている事に気付いた者は居ない。
「助けて下さい!剣を持った人に追われています」
メイド姿のアリスは、騎士達に助けを求める。
「早く保護しなさい!」
テアルスティア侯爵が、騎士達に命じる。
本来騎士達が守るのは、継承権を持つ王子。
次に王女となるはずだった。
しかし、数人の騎士はアルバニアの命令に反応してしまった。
メイド姿のアリスも、あえて騎士達に抱きつく。
「怖い!助けて下さい」
王女は中央で立ち尽くす。その姿は舞台に立つ、主演女優の様だ。
水色のドレスを着た王女は、ただ、回りを見渡す。
彼女は、突然の展開に追いついていないのだろう。
バタ_______________ン!!
先程よりも大きな音を立てながら、扉が再び開け放される。
「キャー!!」甲高い、王女の悲鳴が空間を裂き響く。
「あんた・・・・じゃない。なっ、何をしてるの」
王女が騒ぎ立てる。
「そんな、そんな物を持っ・・・・持って、物騒じゃない!!いや!来ないで!」
乱入者の王女に向かう足元に、狂いは無い。
そこにあるのは、紛れも無い殺意。
『・・・・様、私、死にたくなかった』
水色のドレスの女が、乱入者に問いかける。
彼に、王女の姿は見えては居ない。
そこに居るのは、排除対象のみ。
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「令嬢の願い」新連載を初めました。
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