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笑う当主と踊る幽霊
10ー3
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満月がとってもキレイな夜、宰相家から一台の馬車が城を目指している。
そして、此処にも美しい月を愛でる2人♥
「お兄様、月がとても綺麗だわ」
「アルバニアの方が・・・・美しいよ」
そんな!お兄様の方が美しいです。
「お兄様、冗談が過ぎます」
ヴァジールは自然な動作で、アルバニアを抱き寄せ額に口づける。
お兄様、そんなに優しくしないで。
離れられなくなってしまう。
「あのっ・・・・お取り込み中失礼します」
年頃の衛兵が、本当に、本当に、申し訳なさそうに話しかける。
「ひっ_______________!!」
ヴァジールの冷たい視線が衛兵を攻激する。
相手が年寄りなら、心臓が止まったかもしれない。
「あら、どうしたの」
「なっ何でもありません」
衛兵は、ヴァジールを伺いながら答えるしかない。
そう、此処は王城。
先程、馬車で登城した2人と、デザイナーが向かっているのは王女殿下と面会する応接室。
途中で美しい月を見かけ、ロマンチックな雰囲気になってしまったのだ。
「そっちに向かったー!」「誰もいない!」
「おーい!」
「此方__________!!」
「ワッ____________________!!」
「何か騒がしいわね。松明まで焚いて、まるでお祭りね」
「ああ、楽しそうだね」
美しい2人が意味ありげに瞳を合わせる。
そんな2人を見て、デザイナーの若い女子が鼻血を出してしまったのは本当の事。
「日にちを改める事はできませんか?」
衛兵が、勇気100倍で伺う。
「お兄様、例の物を見て貰いましょう」
ヴァジールがビロードの箱の中身を衛兵に見せる。
「えっ__________________________!?」
今度は衛兵が鼻血・・・・さすがプロ!鼻血は免れた。
「今日、手に入れる事ができた品だ。明日の結納の儀の為に王女殿下に送りたい。ドレスも新調が必要になる」
ヴァジールは従者が持っている荷物を示す。
「手直しが必要かも知れない。だから彼女にも同伴して貰っているんだ」
デザイナーがペコリと頭を下げる。
「王族と高位貴族の、縁談の為の儀式だ。解るよね」
「解ります!!」
そんな、若いデザイナー女子が鼻血を垂らしてる頃。
「ギルバート!!そちらに行ったぞ」
「オーロラ深追いはするな!」
水色のドレスを着た幽霊達?がヒラヒラとアクロバティックな動きで舞いながら、2人の追撃をかわして行く。
オーロラは、得意の跳躍を活かしながら剣を振るう。
だが、剣が届く事は無い。
もし、トリスタンがいたら止めを刺せたのだろうか。
サイラスがいたら、ほどよいフォローをしてくれただろうか。
アルフォンスがいたら、皆に的確な指示を出して敵を追い詰める事ができただろう。
そんな事を考えながらも、彼女は楽しんでいるのだ。
婚約者として後宮に入ってから、短い髪には義務のように、つけ毛が付けられる。
まるで、今の自分を否定されている気分になる。
窮屈なドレスには、動く事が制限されてしまい呼吸が苦痛で仕方ない。
思い浮かぶのは美しい銀髪の少女。
婚約発表の謁見の間で、少女は美しい仕草でドレスを翻していた。
オーロラは考えるのを止めた。
彼女は、この瞬間を楽しむ事にしたのだ。
短い髪を振りかざし、自由に身体を伸ばす事に喜びが溢れてしまう。
幽霊達が、巧みに進路を調整している事も知らずに。
そして、此処にも美しい月を愛でる2人♥
「お兄様、月がとても綺麗だわ」
「アルバニアの方が・・・・美しいよ」
そんな!お兄様の方が美しいです。
「お兄様、冗談が過ぎます」
ヴァジールは自然な動作で、アルバニアを抱き寄せ額に口づける。
お兄様、そんなに優しくしないで。
離れられなくなってしまう。
「あのっ・・・・お取り込み中失礼します」
年頃の衛兵が、本当に、本当に、申し訳なさそうに話しかける。
「ひっ_______________!!」
ヴァジールの冷たい視線が衛兵を攻激する。
相手が年寄りなら、心臓が止まったかもしれない。
「あら、どうしたの」
「なっ何でもありません」
衛兵は、ヴァジールを伺いながら答えるしかない。
そう、此処は王城。
先程、馬車で登城した2人と、デザイナーが向かっているのは王女殿下と面会する応接室。
途中で美しい月を見かけ、ロマンチックな雰囲気になってしまったのだ。
「そっちに向かったー!」「誰もいない!」
「おーい!」
「此方__________!!」
「ワッ____________________!!」
「何か騒がしいわね。松明まで焚いて、まるでお祭りね」
「ああ、楽しそうだね」
美しい2人が意味ありげに瞳を合わせる。
そんな2人を見て、デザイナーの若い女子が鼻血を出してしまったのは本当の事。
「日にちを改める事はできませんか?」
衛兵が、勇気100倍で伺う。
「お兄様、例の物を見て貰いましょう」
ヴァジールがビロードの箱の中身を衛兵に見せる。
「えっ__________________________!?」
今度は衛兵が鼻血・・・・さすがプロ!鼻血は免れた。
「今日、手に入れる事ができた品だ。明日の結納の儀の為に王女殿下に送りたい。ドレスも新調が必要になる」
ヴァジールは従者が持っている荷物を示す。
「手直しが必要かも知れない。だから彼女にも同伴して貰っているんだ」
デザイナーがペコリと頭を下げる。
「王族と高位貴族の、縁談の為の儀式だ。解るよね」
「解ります!!」
そんな、若いデザイナー女子が鼻血を垂らしてる頃。
「ギルバート!!そちらに行ったぞ」
「オーロラ深追いはするな!」
水色のドレスを着た幽霊達?がヒラヒラとアクロバティックな動きで舞いながら、2人の追撃をかわして行く。
オーロラは、得意の跳躍を活かしながら剣を振るう。
だが、剣が届く事は無い。
もし、トリスタンがいたら止めを刺せたのだろうか。
サイラスがいたら、ほどよいフォローをしてくれただろうか。
アルフォンスがいたら、皆に的確な指示を出して敵を追い詰める事ができただろう。
そんな事を考えながらも、彼女は楽しんでいるのだ。
婚約者として後宮に入ってから、短い髪には義務のように、つけ毛が付けられる。
まるで、今の自分を否定されている気分になる。
窮屈なドレスには、動く事が制限されてしまい呼吸が苦痛で仕方ない。
思い浮かぶのは美しい銀髪の少女。
婚約発表の謁見の間で、少女は美しい仕草でドレスを翻していた。
オーロラは考えるのを止めた。
彼女は、この瞬間を楽しむ事にしたのだ。
短い髪を振りかざし、自由に身体を伸ばす事に喜びが溢れてしまう。
幽霊達が、巧みに進路を調整している事も知らずに。
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