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笑う当主と踊る幽霊
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「グヮッ~!!」断末魔の声が起こり、法務部の官僚が昇天した。
ここは大国ルトビニア王国、王都の城内。
決して、地獄の釜の中ではない。
ジュラール・フォン・シェイク室長はため息をつく。
法務部は本来、多忙な部署ではないのだが現在彼等は、数日間に渡り部署に泊まり込んでいる。
事の起こりは名門テアルスティア侯爵家の世代交代に始まる。
彼も第二王子の婚約発表に関する、謁見の間の出来事は聞いてる。
実際、色々な噂が囁かれているのだから。
その場でテアルスティア侯爵家が持ち出した法律は、戦乱の時代に突貫的に作られた法律で、忘れ去られていた物だ。
当時は当主が領軍の大将として先頭に立ち、戦場に出る時代だった。
戦場で先頭に立ったら、死亡率が高いのは当たり前だ。
もし当主が死亡したら、後継の男子が当主に着任し先頭に立つ。
戦乱時に、通常時での王の認可を取る何て間に合わない。
故に直系に限り幼児、女子を当主に立てる事を認める。
要は、当主に値する人物と後継が居ても最初から戦場に行かない直系を当主として認めるから、戦場に行きなよ。
戦場に行かないから、当主交代の手間を省けるよね。
今回、この法律が合法として認められたのは重大な欠陥が合ったからだ。
戦乱時または、緊急時等の文言が記されていない。
前当主の認可のみ。
「普通、使うかよ」シェイク室長は嘆く。
前当主お肌艶々、未成年の女子が当主、当主より年上の後継。
揖斐な状態の出来上がりだ。
本来、通常の手続きは当主から国王に届け出をして交代となる。
その際も通常男子でとなる。
後継の男子が幼いのに当主が死亡した場合は中継ぎで、女子でも一時的に相続。
子供が女子のみの場合等は、当主死亡後が条件になる。
もし、アルバニアを通常的に当主にする場合はサイラスの養子縁組み破棄の後、父を始末しなくてはならなかった。
父は命拾いしたのだ。
法務部では現状を見て相続の法律の見直し、昔の法律破棄等の準備を行っているのだがここに来て駆け込みの申請が殺到している。
『後継者の教育に苦心するより、優秀に育った男子を女当主の配偶者に迎えるほうが合理的だ。迎えた配偶者がダメなら替えれば良い』
そんな風潮が出始めたのだ。
実際に認可を出さない訳にもいかず、何人かの女当主が誕生している。
法律を重視している王国故に、法律を廃止するのもそれなりに時間が掛かる。
その隙を突かれたような形だ。
「今日は帰宅しよう」部下達に、ジュラールが告げる。
まだまだ、先は長いのだ。
実際、ジュラールは難問題を抱えている。
それは、またしてもテアルスティア家がらみだ。
後継の子供は、後継者なのか。
そんな質問状をテアルスティア家は送って来たのだ。
確かに、あそこの家は当主より後継が年上故に、後継者より当主が長生きする可能性が高いのだ。
ジュラール・フォン・シェイク、20代後半、伯爵家の3男、独身は部下達が帰った室内を見渡すと帰途につく。
ペタペタ・・・・。
ペタペタ・・・・ペタペタ・・・・。
ここは、ルトビニア王国。
天国ではないのだ。
ペタペタ・・・・ペタペタペタペタ・・・・。
水色のドレスの天使が徘徊している。
ジュラールは、己の目を疑う。
ペタペタ・・・・。
水色の天使が自分を見て、コテリと首を傾げる。
ペタペタ・・・・。
天使が行ってしまう。
ジュラールは持っている菓子の袋を床に置き、天使のいる方向性に滑らせた。
天使の足元に菓子の袋が届くと、天使はペコリと頭を下げ菓子の袋を持ち上げ去って行った。
ペタペタ・・・・。
ペタペタ・・・・。
ジュラール・フォン・シェイク、法務部の中間管理職、20代後半。
『恋に落ちた瞬間だ』
朝方のベッドの上で少女は就寝の支度をしている。
「寝る前だけど少しだけ」少女は昨夜の戦利品で有る袋から菓子を取りだす。
幽霊は甘党らしい。
少女は、銀髪の少女を思い浮かべる。
「リリィ・ツチュアートは死ぬほどの罪を犯したのかしら」
美しい紫色の瞳で見詰められた。
「デザイナーとしては失格だったかも知れない。けど、やり直す事を許されたかも知れない」
この子が自分よりも年下なんて、信じられないと思った。
「陥れられそうになった私でも殺さなかった。でも、仕返しはしたわね」
少女は堂々としていた。
・・・・は、何て事をしようとしてたんだ。
「仕返しをしたいと思わない?死に値するほどのね」
少女が恐ろしく見えたが、結局は仕返しに参加した。
少女はベッドに横たわると、銀髪の少女の横にいた男を思い出す。
銀髪の少女にも恐れを抱いたが、あの男はダメだ。
次元が違うのだ何もかもが。
・・・・は、あんな人達に勝てると思ったのか。
もう、死んでしまったのだから回答を得る事は無いのだろう。
少女は、幼い頃の思いを抱き眠りについた。
ここは大国ルトビニア王国、王都の城内。
決して、地獄の釜の中ではない。
ジュラール・フォン・シェイク室長はため息をつく。
法務部は本来、多忙な部署ではないのだが現在彼等は、数日間に渡り部署に泊まり込んでいる。
事の起こりは名門テアルスティア侯爵家の世代交代に始まる。
彼も第二王子の婚約発表に関する、謁見の間の出来事は聞いてる。
実際、色々な噂が囁かれているのだから。
その場でテアルスティア侯爵家が持ち出した法律は、戦乱の時代に突貫的に作られた法律で、忘れ去られていた物だ。
当時は当主が領軍の大将として先頭に立ち、戦場に出る時代だった。
戦場で先頭に立ったら、死亡率が高いのは当たり前だ。
もし当主が死亡したら、後継の男子が当主に着任し先頭に立つ。
戦乱時に、通常時での王の認可を取る何て間に合わない。
故に直系に限り幼児、女子を当主に立てる事を認める。
要は、当主に値する人物と後継が居ても最初から戦場に行かない直系を当主として認めるから、戦場に行きなよ。
戦場に行かないから、当主交代の手間を省けるよね。
今回、この法律が合法として認められたのは重大な欠陥が合ったからだ。
戦乱時または、緊急時等の文言が記されていない。
前当主の認可のみ。
「普通、使うかよ」シェイク室長は嘆く。
前当主お肌艶々、未成年の女子が当主、当主より年上の後継。
揖斐な状態の出来上がりだ。
本来、通常の手続きは当主から国王に届け出をして交代となる。
その際も通常男子でとなる。
後継の男子が幼いのに当主が死亡した場合は中継ぎで、女子でも一時的に相続。
子供が女子のみの場合等は、当主死亡後が条件になる。
もし、アルバニアを通常的に当主にする場合はサイラスの養子縁組み破棄の後、父を始末しなくてはならなかった。
父は命拾いしたのだ。
法務部では現状を見て相続の法律の見直し、昔の法律破棄等の準備を行っているのだがここに来て駆け込みの申請が殺到している。
『後継者の教育に苦心するより、優秀に育った男子を女当主の配偶者に迎えるほうが合理的だ。迎えた配偶者がダメなら替えれば良い』
そんな風潮が出始めたのだ。
実際に認可を出さない訳にもいかず、何人かの女当主が誕生している。
法律を重視している王国故に、法律を廃止するのもそれなりに時間が掛かる。
その隙を突かれたような形だ。
「今日は帰宅しよう」部下達に、ジュラールが告げる。
まだまだ、先は長いのだ。
実際、ジュラールは難問題を抱えている。
それは、またしてもテアルスティア家がらみだ。
後継の子供は、後継者なのか。
そんな質問状をテアルスティア家は送って来たのだ。
確かに、あそこの家は当主より後継が年上故に、後継者より当主が長生きする可能性が高いのだ。
ジュラール・フォン・シェイク、20代後半、伯爵家の3男、独身は部下達が帰った室内を見渡すと帰途につく。
ペタペタ・・・・。
ペタペタ・・・・ペタペタ・・・・。
ここは、ルトビニア王国。
天国ではないのだ。
ペタペタ・・・・ペタペタペタペタ・・・・。
水色のドレスの天使が徘徊している。
ジュラールは、己の目を疑う。
ペタペタ・・・・。
水色の天使が自分を見て、コテリと首を傾げる。
ペタペタ・・・・。
天使が行ってしまう。
ジュラールは持っている菓子の袋を床に置き、天使のいる方向性に滑らせた。
天使の足元に菓子の袋が届くと、天使はペコリと頭を下げ菓子の袋を持ち上げ去って行った。
ペタペタ・・・・。
ペタペタ・・・・。
ジュラール・フォン・シェイク、法務部の中間管理職、20代後半。
『恋に落ちた瞬間だ』
朝方のベッドの上で少女は就寝の支度をしている。
「寝る前だけど少しだけ」少女は昨夜の戦利品で有る袋から菓子を取りだす。
幽霊は甘党らしい。
少女は、銀髪の少女を思い浮かべる。
「リリィ・ツチュアートは死ぬほどの罪を犯したのかしら」
美しい紫色の瞳で見詰められた。
「デザイナーとしては失格だったかも知れない。けど、やり直す事を許されたかも知れない」
この子が自分よりも年下なんて、信じられないと思った。
「陥れられそうになった私でも殺さなかった。でも、仕返しはしたわね」
少女は堂々としていた。
・・・・は、何て事をしようとしてたんだ。
「仕返しをしたいと思わない?死に値するほどのね」
少女が恐ろしく見えたが、結局は仕返しに参加した。
少女はベッドに横たわると、銀髪の少女の横にいた男を思い出す。
銀髪の少女にも恐れを抱いたが、あの男はダメだ。
次元が違うのだ何もかもが。
・・・・は、あんな人達に勝てると思ったのか。
もう、死んでしまったのだから回答を得る事は無いのだろう。
少女は、幼い頃の思いを抱き眠りについた。
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「令嬢の願い」新連載を初めました。
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