侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

文字の大きさ
上 下
19 / 85
女侯爵になります。

王女side『貴女は心の美しい人、私には解る』

しおりを挟む
 フローレンス・フォン・ルトビニア、彼女はルトビニア王国の第3子、第一王女だ。年齢は、第二王子と同じ17才。

 彼女は新雪のような白髪と、深海のような青い瞳を持っている。
私の主眼になるが第二王子の婚約者者、オーロラよりも主人公に相応しい容姿を持つ。

その様な美姫でありながらも、彼女は白豚王女と卑下されていた。

白豚とは彼女の生母、第二側妃の出身国を侮蔑する名称に他ならない。





 アルバニアがお宝にしているテアルユウゼンを抱き締めてる頃。



 「ねぇ、オーロラに会いに行くわ」王女殿下が女官に告げる。
「殿下・・・・殿下もオーロラ様も謹慎中でございますが」

「どうして謹慎になったか、解らないかオーロラに会いに行くのよ」
「陛下の、国王陛下の許可をとって下さいませ」
女官は、繰り返される問答に苛立ちながら答える。
この王女様は有ろう事か、先日、毒殺騒ぎを起こしたのだ。
勿論、お付きの女官である彼女にも罰は有った。
『減俸』それは、彼女の心を深海に沈めたのだ。

「オーロラに教えて貰った通りに作ったわ」
「不思議ですね。オーロラ様の菓子を食べた方に泡を吹い方がいましたか?」
「いっ居ないわよ!だから、聞きたいの!」
やれやれ、今度は癇癪だと女官は唾を吐きたい気持ちを押さえる。

 メイドと女官には仕事に天地の違いがある。女官になるため為には、ある程度の家柄か社会的に信用が有る人物に保証人になって貰わないとならない。

それだけで終わりでは無い。

難しいテスト、研修が待っているのだ。

それらをパスしてやっと見習い女官になれるのだ。

運が無いとしか言いようが無い。
女官はメイド逹に指示を出しながら自分の不運を呪う。
白豚王女の担当になるなんて予想外だったのだから。

「もう、いいわ!皆、部屋から出ていきなさい!!」

「解りました、ですが部屋からは出ないで下さいませ」
女官とメイドは礼をすると部屋から退室して行く。
彼女達の表情が明るいのはこの状態に慣れているのだろう。




 フローレンス王女は頭を抱え蹲る。誰もいない部屋で一人の状態。
幼い頃から慣れていたはず。
態度の悪い使用人など目障りでしか無い。

幼い時は一人ぼっちだった。

母は、近隣の国の王女で美しい人であった。
「お母様に会いたいわ」側にいる女官やメイドによく御願いした。
しかし、その願いが果たされることは滅多に無い、孤独な幼少時代。

転記が訪れたのは5才位の時、庭園で散歩をしていたら同じ年の兄、第二王子のアルフォンスと、たまたま出くわしたの。

アルフォンスとは、直ぐに仲良くなったわ。
でも、アルフォンスの母君である第一側妃様からは明らかに見下されていた。

聞いてしまった。

「白豚の子は、白豚ね」悪意と侮蔑。

それでもアルフォンスが居なかったら、耐えきれなかった。

周りからの悪意に、気付いてしまう年になっていたから。

それなのに、私にはアルフォンスしか居ないのに。
あの子がやって来た。


アルフォンスに会いに第一側妃様の宮を訪ねた時に見掛けた少女は、第一側妃様に綺麗なカーテシーをしていた。
第一側妃様はその様子をご満悦で見ていたわ。
私には侮蔑の眼差しを向けるのにね。

私には解ったの。

これはダメだと。






 フローレンス王女は、アルフォンスの婚約発表の時のアルバニアのセリフを思い出す。
女侯爵になったあの少女は「私の事は、お義母様と読んでいいですよ」
あの少女はコロコロ笑っていた。

ふざけるな!だれがお前なぞに。
計画は後少しで終わるはずだった。

王女は、目の前にあるテーブルを両手で何度も叩く。

《バーンバンバンッバーン》

帰ってくる音は空しく響く。


幼い時、アルフォンスの側近候補として、登城していたサイラスに出会った時を思い出す。

アルフォンスから、アルバニアの兄と聞いた時は険悪感が沸いた。

だがサイラスの優しさ、思い遣りの心を知った時、側に居たいと思った。

憧れが恋に変わる年頃になると、彼と結婚して侯爵婦人となり幸せになりたい。

そんな思いを抱いていた時、宰相家の三男ギルバートが教えてくれたのだ。

「アルバニアが王家に入るのに、サイラスと結婚なんてあり得ない」

宰相家のギルバートが幼い頃から自分をバカにしていた事は知っていた。

それ以上に、アルバニアを嫌っていたわ。

彼の手引きでアルフォンスに招かれたオーロラに会い彼女を好きになった。

悪意の無い眼差しは心地良かった。

オーロラとアルフォンスが逢瀬を重ねる事に、進んで協力すると『ありがとう貴方は心も美しいのね』
私の喜ぶ言葉をくれたの。

何だか、フヮッとした靄が掛かり気分がよくなったの。

仲良くなり、彼女と菓子を作ったわ。

アルフォンスとサイラスに、2人で作った菓子を食べて貰った時の事は忘れない。

『貴女の心が美しいから、菓子も美味しく作れる、私には解る』

オーロラは私に自信を持たせてくれた。






 


 オーロラが言ったの。


「男の人の心は胃袋で掴むのよ」
城下では当たり前の事みたいね。

だからサイラスの父君に、手作りの菓子を持っていったの。

アルバニアを追い出すには、あの人の力が必要だから。


オーロラは、こんなテクニックを教えてくれたわ。
「男の人は、甘い菓子が苦手な人も多いの」

彼女は、持参した草を入れていたの。
リンゴの匂いがとても良かった。

だから、私も草をいれたわ。

城で一番高価な草よ。

 これは、推測だがオーロラが菓子に入れたのはハーブの一種類であろう。

 前侯爵が口から泡を吹いた時は、本当にびっくりしたわ。








 「アルバニア、何を読んでいるの」

「ヴァジールお兄様、王女殿下の母君の調査報告書です」

王女殿下は、幼い頃から侮蔑の視線に曝されていたみたいだ。
母君は後宮の最奥にて軟禁。しかし、陛下からの寵愛は陰りを見せない。

白豚国と侮蔑される国の王族は、皆、美しい容姿を持って生まれるらしい。 

国土は狭く養豚が主力産業で国力も弱い。

それなのに、領土を守り衰退を見せない。


別名、側室量産品国。

美しい容姿を武器に他国の、王室、名家に潜り込む。
陰ながらの支援をするのが役割なのだろう。

国王は帝国に留学していた若い頃に出会った王女を忘れる事が出来なかった。
白豚国の王女を側室に望んだのだ。
当時、国の重鎮は警戒したらしく幾つかの条件をだしたが、王は側妃をどうしても手放せなかった為に承諾した。

第二側妃を表舞台に出さない事。
子を作らない事。

フローレンス王女は本来、処分される子だったようだ。
調査書には王と側妃の嘆願により、処分対象から外されたとされている。

表だって愛せなかった子。
後宮は、後ろ楯が無い子が育つほど甘くない。
愛していたのだろう。


王女が望んだわがままに答たのは、愛情なのか。
それとも、只の政略なのかは解らない。

だからこそ、私は彼女の血が一族に混じる事は望まない。

彼らの血が紛れ込んだ家は、徐々に退廃していく。

まるでウイルスだ。

「アルバニア、白豚国から面会の打診が来ている」

もしも、白豚が眠る竜の寝床を荒らすようなら。

「仕方有りませんね、セッティングをお願いします」
竜は寝床を飛びだし、城下に火を放つだろう。

私は、当主として牙を立てる。














しおりを挟む
「令嬢の願い」新連載を初めました。
感想 87

あなたにおすすめの小説

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

さようなら、お別れしましょう

椿蛍
恋愛
「紹介しよう。新しい妻だ」――夫が『新しい妻』を連れてきた。  妻に新しいも古いもありますか?  愛人を通り越して、突然、夫が連れてきたのは『妻』!?  私に興味のない夫は、邪魔な私を遠ざけた。  ――つまり、別居。 夫と父に命を握られた【契約】で縛られた政略結婚。  ――あなたにお礼を言いますわ。 【契約】を無効にする方法を探し出し、夫と父から自由になってみせる! ※他サイトにも掲載しております。 ※表紙はお借りしたものです。

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

処理中です...