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女侯爵になります。

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 難しい話は終わりにして、彼女達を我が家の一室に案内した。

「ヒャーヤー」「オオッ」うん、うん、良いよ、いい反応だ!

この部屋はね我が家のコレクションルーム。


テアルスティア領は、背後に巨大な山脈を持つ北の大地。
真冬は太陽の光が閉ざされ、屋内に籠る生活が続く。
そのような地に住む民は、室内の装飾品に凝ってしまう。
鉱山資源、貴金属も採掘できる事が拍車を掛ける。
潤沢な資産で惜しげなく投資できる。

北の民は海の向こうの大陸に憧れを持ち、貿易で他国の宝飾品、陶器、織物を買い漁っているのだ。

コレクションルームは、テアルスティア領の本宅からしたら些細な物だが見応えはあるはず。

 何代か前の国王は、テアルスティア侯爵家の者『北の大地に眠る白竜』その様に呼んだらしい。

眠る白竜なんて強そうな感じがする。

これはテアルスティア家の特長が、宝物大好きな事に対する嫌み。
物語の中の竜は、寝床に宝を溜め込むからね。

ちなみに、この世界に竜は存在しないが昔は居た。
王室博物館には、竜の化石が展示されているし見に行った事もある。




 後ろにいるミセス・ステアンと弟子の彼女達を見てみる。

呆気に取られているの。

何だか、イタズラが成功した感じ。
彼女達に見せたかったの。
彼女は芸術家の卵だから、肌で感じて貰いたかった。
これは私からのエールだから。


彼女達は織物に興味を持ったらしい。
職業病だろう。

彼女達が直視しているのは、飾られている数本の反物。

これはテアルスティア領の特産。

絹に絵画のような模様を染める技法を使っている反物。
日本の友禅みたいな感じなの。

落ち着きのある写実的な草花模様を中心とした絵画調の柄が特徴で、線にも手描きの美しさが感じ取られる。

職人が手描きで模様を描くから、同じものは存在しないのも魅力ね。

「この反物でドレスは作らないのですか」
先程まで、ミセス・ステアンの後ろにいた野暮ったい子からの質問。
未来の人気デザイナー、バーバラからの質問よ。
それにしても今のバーバラは、野暮ったい感じがするのよね。
途中で、入れ替わるなんて無いよね。

でも、良い質問だよ。

私はテアルスティア領と、その付近で着られるドレスを彼女達に見せたわ。

王都でのドレスはロココ調の物が主流になっている。
対して、テアルスティア領付近で着られるドレスは胸の下切り替えで、ドレスはほとんど膨らんでいない。

「この反物は、テアルスティア領の付近で着られるドレスに合わせて絵柄が描かれているの」
彼女は、納得したらしい。さすが本職だ。
ドレスの膨らみに合わないのでお薦めできないのだ。
「そのうち、職人を王都に呼ぶ予定なの。王都で着るドレスに合わせて柄を書いて貰うわ」
彼女達の目がキラリ。
本当にキラリと輝いたの。

彼女達は相当、興味を持ったみたい。
職人を呼んだら、是非立ち会いたいと申し出てくれたの。
勿論そのつもりでいんだから。

バーバラを見詰めてしまう。
ループでの私は、彼女のドレスを着たかった。
憧れていたわ。
着る事はできなかった、死んでしまったから。
彼女の成長を楽しみに待つわ。

それに興味がでたの。

今は野暮ったい彼女が恋愛でどの様に変わるのか。

『恋ってどんな気持ちになるの?』

彼女達はとても喜んでくれたんだけど、そろそろお開きになるそんなとき時にミセス・ステアンが私の頭部を見たいと申し出たの。

本当に、本当に、申し訳なさそうだった。

ほら、私は落馬をしたから。
そんな事まで知っているの。

きっと、髪飾りや帽子の心配ね。
10円禿げでもあると思ったのかしら。

でも任せると決めたんだから、彼女を安心させる為に見て貰ったの。

彼女は私の頭部を見て、安心したらしいの。

彼女いわく、たまに居るみたい。
貴族家はストレスが多いものね。
10円禿げに成っちゃうよね。

でも何かモヤッとするの、自分でも解らない。
何か、何か、大切な物を忘れている気分なのよ。

ちなみに、落馬した時の状態は大きなタンコブ。

でも、錆びた匂いを感じた覚えが・・・・。

その時は、ミセス・ステアンからの暇の挨拶で考えるのを止めてしまったの。





 彼女達が去りいつも通りに食事と湯浴みを済ますと、自由なまったりした時間帯がやってくる。

アルマニアの寝るまでの習慣は、ハーブティーを飲みながら静かに読書をする事。

それは長年の習慣として、今の私にも引き継がれているの。

彼女の趣向は美しい画集。


 テアルスティア家のお宝大好きの気性は、私にも受け継がれている。
でもね、欲望を抑えていたの。

 第二王子のたった一人の婚約者候補、それは内定を意味をするから。
だから欲しいと思っても、素直に言葉にできなかった。
自分の想いがどんな波紋を呼ぶか怖かったの。
小さな子供が私の中で膝を抱えている。
いつか向き合わないといけない。
小さな子供は膝を抱えて怯えているから。

そんな思いを抱えてベッドにはいったの。

「お休みなさいませ」マリアが天涯から垂れるカーテンを閉めてくれた。

私だけの場所でとてもリラックスして、考えを整理してみた。
 王室博物館に一緒に行ったのは、お父様だったわ。
お母様が亡くなり、私が寂しく無いように可愛がってくれた覚えが有る。

どのループでもお母様は亡くなってしまうけど、お父様との楽しい思い出が有るの。

領地でヴァジールお兄様と、サイラスお兄様との楽しい思い出が有る。

でも、第二王子の婚約者候補に決まると・・・・。

『気味が悪い』

同じ毎日が始まっている、しかも4回のループともだ。
家庭教師の言葉、お祝いの日の料理、有名な事件。
お父様は仕事ばかりの日々になり、私を物のようにみていた。

期間は、第二王子殿下の婚約者候補に決まった日から殿下の婚約者の発表の日まで。

四回目の今回は何で落馬をしてしまったのか。
落馬した日を思い出したい。
そもそも、侯爵令嬢である私が一人で森の中にいたのも不思議でしかない。

そもそも、何でループを繰り返しているの。
解らない、解らない。


私がサイラスお兄様に跨がり殴った、運命の日。
あの日から、お父様は変わった。
私の言葉を聞き、娘として見てくれてる。
そんな、そんな簡単に変わるの。



そんな事を考えながら眠りに落ちてしまった。

とても怖い夢をみたの。

でもね、内容は覚えてなかった。















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