侯爵家の当主になります~王族に仕返しするよ~

Mona

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女侯爵になります。

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 カチッカチッカチッカチッカチッカチッ・ボーン・カチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッ


 此の緊張感は、あれ、あれなの。入試を左右する定期テストの結果が返される瞬間。


カチッカチッカチッカチッカチッ・ボーン・カチッカチッカチッカチッカチッカチッカチッ

時計の音って、こんなにはっきりと聞こえるのね?

「うん、面白いよ。過程の方はまだ甘い、けど良いと思うよ」
ヴァジールお兄様に、私の基本方針を纏めたレポートを読んで貰っていたの。

緊張したわ。


 今現在テアルスティア侯爵家の現状。王都の屋敷、当主家の資産全般は執事長を中心に管理をしているの。
貴族家として珍しい事では無い。

領地に関してはお兄様の実家。分家筆頭家の子爵家が中心に管理をしている。
これも、珍しい事では無い。

ただ、いろいろと限界間際な感じがする。

少ない人数で政策の舵取りをするのは悪く無いと思う。

でも、限度てあると思うんだよね。

 
 今、生活しているルトビニア王国は法に重きを置くんだけど、法は完璧では無い。

転生前の日本人の記憶から私は、ドラマ好きだったようにおもえる。

法は法で破る。グレーゾーンを攻める等の考えがある。

其処からくる答え、それは法律の専門家を我が家の政策部隊に加えたいのだ。

今は、執事長に任せている仕事。でも彼には屋敷内の采配、外部の貴族家対策に将来的に重きを置いて欲しい。

本来は、当主の配偶者である奥方の務めなの。だからこそ信頼感できる人にしかお願いできない。

政策部隊が欲しい!専門家チームを求める!
テアルスティア家の政策専門家部隊。

ふふん、名付けてTチーム。

どうかな?

「アルバニア・・・・?」
いけない。内心が漏れたかな?お兄様、そんな目でみないで!

領地経営は、お兄様の実家が堅実に務めてくれている。

だけど・・・・数年後に事件が起こるの。

1つ目、これは周辺国家も関わる事。
数年後に、何年かに渡り小麦等の作物が不作になる。
これは、三回のループで必ず起こっていたこと。
不作、確かに不作だったんだけと、非常事態レベルでは無かった。


でもね、小麦や作物の価格が異常に上がり地域によっては餓死者が出たり、暴動が起こったりしたの。

そんな事が起きる筈が無いのに。

なぜなら、小麦も穀物も実際は余っていたの。

商人や貴族達が買い込んでいたのが原因の大半。

更に、農家も品物を市場に流さなくなってしまった。

故に作物が有っても庶民に届かなくなっていく。

それを受け資金の有る者の買い込みが激しくなり負のループが始まったの。

現在、国では個人での農地の使用を認めている。
勿論、領主への納税も義務化させている。

私の考えは大規模な集団農法。

今現在も広域な土地を侯爵家が直轄して小麦や、穀物を収穫している。
働き手には賃金を払う形だ。

私の提案は大規模な集団農法を増やす。
賃金に、収穫した者も混ぜる配給制度を一部取り入れたいの。
配給性にする事により、物価による不安感を解消したい。

この世界で生きる事は結構大変だから。
長期に渡り不安を少しでも軽減できれば、新しい文化の生まれる切っ掛になるかも知れない。

それにより、未来で起こる飢饉での不のループを回避する一つの手段にしたい。

養鶏所も、併設したい。
新たな働く場を提供できるからね。

個人で鶏を所有している民家も多い筈だ。
それはそれで良いと思う。
只、いろんな可能性を残したい。

テアルスティア侯爵領は背後に壮大な山脈を持つ為、雪解けの水、地熱、鉱山資源、多岐に渡り可能性に満ちて要るのだ。

お兄様を通しているけど一族の農地改革への反応は以外と受けが良いの。


もう1つの問題、それは宗教が絡む為やや複雑になってしまう。

ルトビニア王国には、国が支援している宗教は存在しない。

何か、フリーダムなんです。

日本みたいに、いろいろな宗教が存在し民はそれの良い所取りをするの。

いろんな神を振興し神頼みは日常茶飯事。
宗教関連の祭りは、独自に進化し皆で楽しむ。
そんな中、異彩を放つ二つの宗教が存在する。



 紅蓮ぐれんの天使教団、武道派の集まり。
彼等のトレードマークは紅に染められた、モヒカン
表情を隠す、黒のゴーグル

まさに、愚連ぐれん隊なのだ。


対する、光の御子教団は人権保護や清貧を旨にする。

正統派の教団だ。

此の問題は、奴隷制度や宗教のあり方などが関連してとても複雑になってしまう。

その問題にテアルスティア侯爵は、数年後巻き込まれてしまうの。

紅蓮ぐれんの天使教団の神官が、テアルスティア家の領地で薬物問題を起こすのよ。



問題の解決を正直、焦ってしまう。

「ループしてるから知っているの!」

そんなこと、言えない。
落馬のせいで疑しくなったと思われる。




 紅蓮の天使教団は領地で布教活動をしているんだけど、やはり問題行動が目立つ。

布教の自由、そんな不文律が存在するの。

高位貴族だから無視できない。私達の行動にはそれなりの存在意義が発生してしまうから。

「アルバニア様、お茶をお持ちしました」

「マリア有り難う。アルバニア少し休もう」

「ええ、そうね。マリア有り難う」

 一見、アルバニアは、紅茶の香りを楽しみながら飲んでいるように見える。

しかし彼女は、長年の王子妃教育で体面を繕うのは、わりと得意なのだ。

彼女の頭の中には、日本の中学生レベルの歴史と、割りと有名な地域の特徴が記憶されている。

アルバニアは、紅茶を飲みながら、中学生レベルの歴史に出てきた、社会システムを考える。

今後、それを活かすのはTチームの能力と個性。




 「アルバニア、お茶を飲んだら、叔父上(前当主)の様子を見に行こう」

「えっ・・ええ。大分良くなったと思うわ」



























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