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侍との出会い
弥十郎という人
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弥十郎という人
「ところで弥十郎さん。さっき言われていた侍って何ですか?」
「ふむ、侍か…」
弥十郎さんは顎に手をあて、少し考えているようだった。
「侍とは元は官人の身分呼称であったと聞いておる。しかし拙者の知る侍とは生き様であろうな。」
「生き様?」
「左様。根本精神に「義」と「勇」があり、義とは人としての正しい道であり、勇とは義を実践する勇気である。「義を見てせざるは勇なきなり」という言葉があり、勇がなければ、例え正しい「義」を頭で理解をしていても実践に踏み切れないという事だ。」
確かにそれはそう思う。僕の義を実践していくには勇気が必要だから。
「それ故、先程のあんばーと殿の行為を見て感銘を受けたのでござる。」
面と向かって言われると恥ずかしいけど‥
嬉しいな。
「そして侍は路常に「死」を覚悟しておる。それゆえ限られた「生」を大事にすることに通じるのだという事。今日が最後と思って生きる中で、「好いた事」をすべきだという信念を持っているでござる。」
うんうん。
……
結局侍ってジョブじゃないってことかな…?
でもあんなに強いんだから、凄いジョブについてそうな気がするんだけど…
すると突然弥十郎さんが僕の前に進み出た。
「何用か?」
ん?
突然どうしたんだろう?
「へ~。気配はスキルで消していたはずだが、何故気づいた?同レベルかそれ以上の気配察知スキルを持っているのか?」
藪の中から声が聞こえたと思ったら1人の男が出てきた。
「おい!バレてるようだから出てきな!」
男がそう言うと少し離れた所か20人程の人が出てきた。
「ま、まさか盗賊?」
僕は目の前に現れた男達のほとんどが抜き身の剣を持っている事に気づいた。
確かに最近この街道には盗賊が出るって噂が流れていたけど、こんなに街の近くに出るなんて思ってもいなかった…
「さ~て、この人数に囲まれたから諦めるしかないだろ?出すもん出してくれや。そしたら楽に殺してや‥」
「切り捨て御免」
弥十郎さんがそう呟くと同時に弥十郎さんの姿がブレた。そしてキラーベアと同じような一筋の光が走る。
弥十郎さんが僕の所にゆっくりと歩いてくる。
その間にすべての…
そうすべての盗賊の身体が切れた。
へ?
さっきのキラーベアはまだかろうじて切ったんだなとは思ったけど、今度は何?
離れた所にいる盗賊も全員切れている。
とゆーか、盗賊の人まだ喋ってたけど…
それに本当に盗賊だったのだろうか?
「えっと…な、なぜいきなり切ったんですか?以前会った事のある盗賊だったとか?それと離れた人も切れてますけど、剣圧を飛ばしたとかですか?」
「む?会った事のなどないぞ。それに剣は投げでもしないと飛びはせぬじゃろう。ただ近づいて切っただけでござる。」
ますますわからない…
「それに切った理由は色々あるが、1番は拙者らの邪魔だったから切ったでござる。」
……
「そんな理由で人切ったらダメでしょー!」
「ふむそうなのか?しかし拙者は切る事しか出来ぬゆえ。」
もの凄い笑顔でもの凄い事を言ってますけど…
え?この人と街に行くの?
不安しかないんですけど…
「はは…それじゃ街に行きましょうか…」
こんな危険な人をほったらかしにはできないよね…
ぼ、僕が何とかしないと…
「異国の街か。楽しみでござるよ。」
足取り重く街に進むのだった。
「おおー。これが異国の街でござるかぁ!」
街に近づき魔獣避けの高い壁を見ながら弥十郎さんは驚きの声をあげている。
「街の周りは魔獣の危険がありますからね。こうやって壁を高くしていないと街が栄ないんですよ。」
弥十郎さんと話をしながら街に入るために検問に近づいて行く。
門に近づくと門番の人が声をかけてきた。
「こんにちは。身分証をお願いします。」
僕は冒険者カードを取り出して見せる。
冒険者カードは身分証にもなる便利な物で、これ一枚あればどの国でも行けるようになる。
「お連れの方は?」
「む?通行手形か?国を出る時に持ってはおったが、異国でもそれでよいものか?」
うん、そうだよね。
僕は門番の人に声をかける
「すいません。この人冒険者になるために辺境から来たんです。なので身分証は持っていないので通行料を支払います。」
「では銀貨1枚お願いします。」
銀貨1枚か…
僕の1週間の食費や滞在費だな…
でも助けてもらった恩もあるしこれぐらいはしょうがないよね。
門番の人に銀貨を渡して街の中に入る。
僕には見慣れた景色だけど、弥十郎さんにとってはとても珍しい物だったようだ。
「ほほ~。地面や建物が石でできておる。それに…」
そんな弥十郎さんを眺めていたら、苦手な人達が視界に入った。
彼等は僕に気づくと近づいてくる。
「おうおう。正義のヒーローアンバート君じゃねーか?今日も正義の味方やってるのか?」
彼等は新人冒険者を騙したり、街の人を衛兵に見つからないように脅したりしてお金を得ている人達だ。
その場面に出くわしたので、すぐにやめるように声をかけたのだがその場でボコボコにされた。
それ以来、会う度に絡まれて殴られたりしている。
その内絶対強くなって見返してやると思っている‥
が今はなるべく会わないように避けているのが現状だった。
「なんだ~?今日はずいぶんと頭のおかしそうな奴を連れてるじゃね~か?」
リーダー格の男が弥十郎さんを見てそう言うと、取り巻きのやつらが笑い出した。
弥十郎さんが怒るんじゃないだろうかと心配になったが、弥十郎さんは
「ふむ。」
とリーダー格の男を興味深そうに眺めているだけだった。
「おいアンバート。今日は殴られるのと金を渡すのはどっちがいい?」
もう逃げれない。
お金を渡してすむなら渡したいけど、今日はお金を使ったので今持っているのを渡すと生活ができなくなる。
「今日はお金ないよ。」
「そっか。じゃあ殴られる方だな。」
リーダー格の男が近づいてくる。
僕の胸倉を右手で掴もうとする。
そして‥
「うぎゃっ!」
男は傷一つない右手の手首をおさえながら、急に悶えだした。⁇
「お主、それ以上あんばーと殿に近寄るようであれば次はないものと思え。」
え?
弥十郎さん何やっちゃった?
「ところで弥十郎さん。さっき言われていた侍って何ですか?」
「ふむ、侍か…」
弥十郎さんは顎に手をあて、少し考えているようだった。
「侍とは元は官人の身分呼称であったと聞いておる。しかし拙者の知る侍とは生き様であろうな。」
「生き様?」
「左様。根本精神に「義」と「勇」があり、義とは人としての正しい道であり、勇とは義を実践する勇気である。「義を見てせざるは勇なきなり」という言葉があり、勇がなければ、例え正しい「義」を頭で理解をしていても実践に踏み切れないという事だ。」
確かにそれはそう思う。僕の義を実践していくには勇気が必要だから。
「それ故、先程のあんばーと殿の行為を見て感銘を受けたのでござる。」
面と向かって言われると恥ずかしいけど‥
嬉しいな。
「そして侍は路常に「死」を覚悟しておる。それゆえ限られた「生」を大事にすることに通じるのだという事。今日が最後と思って生きる中で、「好いた事」をすべきだという信念を持っているでござる。」
うんうん。
……
結局侍ってジョブじゃないってことかな…?
でもあんなに強いんだから、凄いジョブについてそうな気がするんだけど…
すると突然弥十郎さんが僕の前に進み出た。
「何用か?」
ん?
突然どうしたんだろう?
「へ~。気配はスキルで消していたはずだが、何故気づいた?同レベルかそれ以上の気配察知スキルを持っているのか?」
藪の中から声が聞こえたと思ったら1人の男が出てきた。
「おい!バレてるようだから出てきな!」
男がそう言うと少し離れた所か20人程の人が出てきた。
「ま、まさか盗賊?」
僕は目の前に現れた男達のほとんどが抜き身の剣を持っている事に気づいた。
確かに最近この街道には盗賊が出るって噂が流れていたけど、こんなに街の近くに出るなんて思ってもいなかった…
「さ~て、この人数に囲まれたから諦めるしかないだろ?出すもん出してくれや。そしたら楽に殺してや‥」
「切り捨て御免」
弥十郎さんがそう呟くと同時に弥十郎さんの姿がブレた。そしてキラーベアと同じような一筋の光が走る。
弥十郎さんが僕の所にゆっくりと歩いてくる。
その間にすべての…
そうすべての盗賊の身体が切れた。
へ?
さっきのキラーベアはまだかろうじて切ったんだなとは思ったけど、今度は何?
離れた所にいる盗賊も全員切れている。
とゆーか、盗賊の人まだ喋ってたけど…
それに本当に盗賊だったのだろうか?
「えっと…な、なぜいきなり切ったんですか?以前会った事のある盗賊だったとか?それと離れた人も切れてますけど、剣圧を飛ばしたとかですか?」
「む?会った事のなどないぞ。それに剣は投げでもしないと飛びはせぬじゃろう。ただ近づいて切っただけでござる。」
ますますわからない…
「それに切った理由は色々あるが、1番は拙者らの邪魔だったから切ったでござる。」
……
「そんな理由で人切ったらダメでしょー!」
「ふむそうなのか?しかし拙者は切る事しか出来ぬゆえ。」
もの凄い笑顔でもの凄い事を言ってますけど…
え?この人と街に行くの?
不安しかないんですけど…
「はは…それじゃ街に行きましょうか…」
こんな危険な人をほったらかしにはできないよね…
ぼ、僕が何とかしないと…
「異国の街か。楽しみでござるよ。」
足取り重く街に進むのだった。
「おおー。これが異国の街でござるかぁ!」
街に近づき魔獣避けの高い壁を見ながら弥十郎さんは驚きの声をあげている。
「街の周りは魔獣の危険がありますからね。こうやって壁を高くしていないと街が栄ないんですよ。」
弥十郎さんと話をしながら街に入るために検問に近づいて行く。
門に近づくと門番の人が声をかけてきた。
「こんにちは。身分証をお願いします。」
僕は冒険者カードを取り出して見せる。
冒険者カードは身分証にもなる便利な物で、これ一枚あればどの国でも行けるようになる。
「お連れの方は?」
「む?通行手形か?国を出る時に持ってはおったが、異国でもそれでよいものか?」
うん、そうだよね。
僕は門番の人に声をかける
「すいません。この人冒険者になるために辺境から来たんです。なので身分証は持っていないので通行料を支払います。」
「では銀貨1枚お願いします。」
銀貨1枚か…
僕の1週間の食費や滞在費だな…
でも助けてもらった恩もあるしこれぐらいはしょうがないよね。
門番の人に銀貨を渡して街の中に入る。
僕には見慣れた景色だけど、弥十郎さんにとってはとても珍しい物だったようだ。
「ほほ~。地面や建物が石でできておる。それに…」
そんな弥十郎さんを眺めていたら、苦手な人達が視界に入った。
彼等は僕に気づくと近づいてくる。
「おうおう。正義のヒーローアンバート君じゃねーか?今日も正義の味方やってるのか?」
彼等は新人冒険者を騙したり、街の人を衛兵に見つからないように脅したりしてお金を得ている人達だ。
その場面に出くわしたので、すぐにやめるように声をかけたのだがその場でボコボコにされた。
それ以来、会う度に絡まれて殴られたりしている。
その内絶対強くなって見返してやると思っている‥
が今はなるべく会わないように避けているのが現状だった。
「なんだ~?今日はずいぶんと頭のおかしそうな奴を連れてるじゃね~か?」
リーダー格の男が弥十郎さんを見てそう言うと、取り巻きのやつらが笑い出した。
弥十郎さんが怒るんじゃないだろうかと心配になったが、弥十郎さんは
「ふむ。」
とリーダー格の男を興味深そうに眺めているだけだった。
「おいアンバート。今日は殴られるのと金を渡すのはどっちがいい?」
もう逃げれない。
お金を渡してすむなら渡したいけど、今日はお金を使ったので今持っているのを渡すと生活ができなくなる。
「今日はお金ないよ。」
「そっか。じゃあ殴られる方だな。」
リーダー格の男が近づいてくる。
僕の胸倉を右手で掴もうとする。
そして‥
「うぎゃっ!」
男は傷一つない右手の手首をおさえながら、急に悶えだした。⁇
「お主、それ以上あんばーと殿に近寄るようであれば次はないものと思え。」
え?
弥十郎さん何やっちゃった?
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