952 / 953
エルフ族の影
それぞれの正義
しおりを挟む
俺は地面に倒れる魔王を見る。
何とか勝てたな‥
さすが魔族の王だ、とてつもない強さだった‥
俺のスキルが進化した事もあるが、おそらく魔王がスキルに飲み込まれたのが結果的によかったのだろう。
スキルに飲まれていた魔王は最適な攻撃をしてきていたが、それは機械的な攻撃で動きを読みやすかった。
魔王が他人の身体を借りて動いていた時の方が行動が読みにくかったからな‥
ようやく魔王を倒した‥
正人たち勇者や、世界のために必要な事だった‥
しかし‥
何とも言えない虚しさが込み上げてくる。
多分最後にした魔王の話が引っ掛かっているんだろう‥
1人1人それぞれに正義があるって事か‥
自分たちの住む国を求めて戦いを起こした魔王。
自分たちの住んでいる国を守るために戦った種族たち。
伝承では魔王は世界に混沌をもたらす存在だと言われていた。
しかしそれはこちら側からの視点なんじゃないだろうか?
スキル【魔王】に飲まれてしまった魔王は、確かに倒すべき相手だった。
しかしスキル【魔王】がもしなかったら‥
自分たちが住める場所を求めていたということは、魔王たちが今いる場所は人が住めるような場所ではなかったのだろう。
魔王たちからすると、自分たちは迫害され住むべき土地を追われたのだ。
豊かな大地を求めるのもわかる。
だが自分たちが住む国を作るためと言われても、それまで住んでいた人たちからするとその行為は悪だ。
お互いの正義が相手を悪と思い戦いを挑んだ。
何か別の方法があったのではないだろうか‥
今回のようにエルフの女王に嵌められるような形ではなく、もっと別な方法で会えば‥
考え出したらキリがないな。
世界のため、ではなく正人たちや仲間のために倒すべき相手を倒したのだ。
それでよしとしよう。
「よかったな正人。これで勇者としての責務は終わったぞ。」
「あざーっす。何かラッキーがすっげー重なって倒せたような気がするんすけどね。」
「ん?何がだ?」
「えっと‥こんな所に魔王さんが1人で来てた事や、何故か魔王さんが俺の前に転がって来た事や、スッゲー強いマルコイさんがほとんど戦ってくれたことやら、その他もろもろっす。」
「まあその辺も正人の運というか役得な所だろうな。」
本当に正人は勇者の力じゃなくて運だけでここまできたような気がするしな‥
ああ、それにしても頭がデカくて邪魔だなぁ‥
「まあとりあえずこれで何も気にせずにベアトリスさんと一緒になれるな。」
「そっすね。へへへ‥」
照れてるデカ頭‥
何かムカつく‥
でもよかった。
俺もそろそろアキーエと‥
「ん?何か揺れてないっすか?」
確かに地面が揺れているような‥
そう思った瞬間、立っていられない程の揺れが襲ってきた。
「な、なんだ?」
エルフたちが何かやっているのか?
俺はアキーエたちとエルフが戦っているであろう場所に目を向ける。
すると地面の揺れと共に、突然見た事もないようなサイズの巨人が現れた。
おいおい、あんなものどうやって召喚したんだよ‥
まずい、てっきり魔王の方が手強いと思っていたが、まさか女王の方が強敵だったのか?
「ガッツォさんここは頼んだ!」
俺がガッツォさんにそう告げる。
それと同時に突然激しい赤い光が辺りを照らした。
その後地面を揺らすほどの大きな音が耳をつんざく。
激しい爆発音と共に熱風が襲ってきた。
爆発か?
爆心地と思われる場所に目をやると、先程の巨人が遥か上空から何度も何度も腕を振り下ろしている。
い、いくらアキーエたちでもあれは手に余るだろ!
「はぁ‥アキーエ姐さんたち、また無茶苦茶してますね‥」
はっ!
あ、あれって女王じゃなくてアキーエたちなの?
そ、そう言われれば確かにそんな気が‥
と、とりあえず行ってみるとしようかな‥
何とか勝てたな‥
さすが魔族の王だ、とてつもない強さだった‥
俺のスキルが進化した事もあるが、おそらく魔王がスキルに飲み込まれたのが結果的によかったのだろう。
スキルに飲まれていた魔王は最適な攻撃をしてきていたが、それは機械的な攻撃で動きを読みやすかった。
魔王が他人の身体を借りて動いていた時の方が行動が読みにくかったからな‥
ようやく魔王を倒した‥
正人たち勇者や、世界のために必要な事だった‥
しかし‥
何とも言えない虚しさが込み上げてくる。
多分最後にした魔王の話が引っ掛かっているんだろう‥
1人1人それぞれに正義があるって事か‥
自分たちの住む国を求めて戦いを起こした魔王。
自分たちの住んでいる国を守るために戦った種族たち。
伝承では魔王は世界に混沌をもたらす存在だと言われていた。
しかしそれはこちら側からの視点なんじゃないだろうか?
スキル【魔王】に飲まれてしまった魔王は、確かに倒すべき相手だった。
しかしスキル【魔王】がもしなかったら‥
自分たちが住める場所を求めていたということは、魔王たちが今いる場所は人が住めるような場所ではなかったのだろう。
魔王たちからすると、自分たちは迫害され住むべき土地を追われたのだ。
豊かな大地を求めるのもわかる。
だが自分たちが住む国を作るためと言われても、それまで住んでいた人たちからするとその行為は悪だ。
お互いの正義が相手を悪と思い戦いを挑んだ。
何か別の方法があったのではないだろうか‥
今回のようにエルフの女王に嵌められるような形ではなく、もっと別な方法で会えば‥
考え出したらキリがないな。
世界のため、ではなく正人たちや仲間のために倒すべき相手を倒したのだ。
それでよしとしよう。
「よかったな正人。これで勇者としての責務は終わったぞ。」
「あざーっす。何かラッキーがすっげー重なって倒せたような気がするんすけどね。」
「ん?何がだ?」
「えっと‥こんな所に魔王さんが1人で来てた事や、何故か魔王さんが俺の前に転がって来た事や、スッゲー強いマルコイさんがほとんど戦ってくれたことやら、その他もろもろっす。」
「まあその辺も正人の運というか役得な所だろうな。」
本当に正人は勇者の力じゃなくて運だけでここまできたような気がするしな‥
ああ、それにしても頭がデカくて邪魔だなぁ‥
「まあとりあえずこれで何も気にせずにベアトリスさんと一緒になれるな。」
「そっすね。へへへ‥」
照れてるデカ頭‥
何かムカつく‥
でもよかった。
俺もそろそろアキーエと‥
「ん?何か揺れてないっすか?」
確かに地面が揺れているような‥
そう思った瞬間、立っていられない程の揺れが襲ってきた。
「な、なんだ?」
エルフたちが何かやっているのか?
俺はアキーエたちとエルフが戦っているであろう場所に目を向ける。
すると地面の揺れと共に、突然見た事もないようなサイズの巨人が現れた。
おいおい、あんなものどうやって召喚したんだよ‥
まずい、てっきり魔王の方が手強いと思っていたが、まさか女王の方が強敵だったのか?
「ガッツォさんここは頼んだ!」
俺がガッツォさんにそう告げる。
それと同時に突然激しい赤い光が辺りを照らした。
その後地面を揺らすほどの大きな音が耳をつんざく。
激しい爆発音と共に熱風が襲ってきた。
爆発か?
爆心地と思われる場所に目をやると、先程の巨人が遥か上空から何度も何度も腕を振り下ろしている。
い、いくらアキーエたちでもあれは手に余るだろ!
「はぁ‥アキーエ姐さんたち、また無茶苦茶してますね‥」
はっ!
あ、あれって女王じゃなくてアキーエたちなの?
そ、そう言われれば確かにそんな気が‥
と、とりあえず行ってみるとしようかな‥
10
お気に入りに追加
554
あなたにおすすめの小説
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
スキルは見るだけ簡単入手! ~ローグの冒険譚~
夜夢
ファンタジー
剣と魔法の世界に生まれた主人公は、子供の頃から何の取り柄もない平凡な村人だった。
盗賊が村を襲うまでは…。
成長したある日、狩りに出掛けた森で不思議な子供と出会った。助けてあげると、不思議な子供からこれまた不思議な力を貰った。
不思議な力を貰った主人公は、両親と親友を救う旅に出ることにした。
王道ファンタジー物語。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる