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エルフ族の影

異質

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「おい段ボール。お前の頭のもやもやはいつからだ?誰かに会ったりした後か?」

俺は何故か面白い顔で戦いのあった場所を見ている段ボールに問いかけた。

しかし何故こいつはこんなに面白い顔をしているのだろう‥

エルフだから容姿は整っているのだが、目玉が飛び出しそうだし鼻水と涎も出てるし‥
垂れ流しなら栓した方がいいんじゃないか?

「エ、エルフが‥我らエルフがものの数分で全滅した‥」

あ、それで面白い顔してたのね。

「だから言ったろう。人族には勇者がいると。」

「な、何を言ってるんだお前は!勇者関係ないじゃないか!お前が勇者って言った人族よりも後ろで控えてた人族の方が何倍も強かったじゃないか!詐欺だ!勇者勇者詐欺だ!」

別に詐欺じゃありません。
勇者がいるぞって言いはしたけど、それよりも強い人がいるって言わなかっただけだ。

「まあなんだ。人族の中には強い人がゴロゴロいるって事だ。引き篭もってて、そんな事も知らないようなエルフが世界を支配するなんて夢のまた夢だったって事だな。」

「ぐっ!」

痛いところをつかれたのか、押し黙る段ボール。

「でも何でお前たちエルフは、突然世界を支配するなんて言い出したんだ?」

「ふん!お前たちには突然なだけだ。俺たちはずっと考えていたのだ。何故能力的に我々よりも劣る人族が、世界を我が物顔で扱っているのか。我々には国の概念などなかったのだ。人族が我々の居場所を勝手にエルフの国などと言い出さなければな。人族が支配している大地の一画を、エルフに貸していると言った不遜な態度をとる人族が許せなかったのだ。」

う~ん‥
その辺は何とも言えないな‥

そんな人族ばかりではないが、人族の王はちょっとおかしいのが多いしな‥

エルフ国と接点があったのもドワーフの王様だったからな。

「お前だからといって戦争して他の国を従わせるなんて、やってる事はお前らが1番最悪だけどな。」

俺は段ボールにそう告げながら段ボールの方に歩く。

「た、たしかに!そ、それはそうと思う。だから、それ以上近寄らないでくれ!」

は?

「何故だ?」

「う、うひぃ。涙と鼻水と悪寒と吐気と頭痛と関節痛と、顔が痛くなるからやめてくれ!それに病気が‥うぼぼぼぼ!」

おおう。
こ、これまでにないリアクションだな‥

やり過ぎたかな‥?

荒行事でもう一回くらい光属性流したら治るかな?

「フシャーッ!」

何故リルが反応するのかね?
てか久しぶりだね、その反応。

「わかったよ。これ以上近寄らないが、さっき聞いた内容でお前が覚えている事を教えてくれないか?」

すると俺を厳しい目で見る段ボール。

「ふん!俺はエルフ族だ!敵に身内の情報を伝える訳がないだろう!」

「まあな。そうは思うが、お前たちエルフだけで世界を相手するとは思えない。多分女王に協力しているやつがいるはずだ。それを放っておくと、お前たちエルフも身を滅ぼすぞ。お前はロメントの身内なんだろ?だとしたら出来るだけ手荒な真似はしたくない。何とか話してもらうことはできないか?」

俺はそう言って段ボールに手を向ける。

「おぼぼぼぼぼ!言う!知ってる事はすぐに話す!全部話すから、その手をこっちに向けないでくれ!おぼぼぼぼおげぇ‥」

うわぁ‥

下手な尋問よりも効果があるな‥

そんな目で見ないでくれせんか、アキーエさん。

「フシャーッ!」

敵を見るような目で見るのもやめてください、リルさん。




「それで?お前が覚えてる事はわかるか?」

「覚えてる事と言ってもな。全て覚えているぞ。頭に霞がかかったようになっていたが、俺が判断していたし俺の意思で動いていたはずだ。」

「なるほど。だがお前は女王に対して何か思っている事はなかったのか?それは頭に霞がかかった後も同じような事を思っていたか?」

「いや‥‥」

少し考えるような段ボール。

「そうか‥なるほどな。俺は女王が連れてきた男2人に不信感を持っていた。だがそのうちの1人と直接話して以来、その不信感はなくなった。その代わり頭に霞のようなものがかかったがな。」

「女王は誰を連れてきたんだ?」

その男たちが黒幕なんだろう。
『あのお方』とやらの関係者と思っていいだろうな。

「2人のうち1人は魔族だった。俺が話したのはその魔族の男だな。しかしもう1人の男は異質だった。その一度しか会っていないが‥」

異質‥?

「もう1人の男は人族だった。黒髪黒目のな。」
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