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戦いの準備

マルコイの誤算

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「ガッツォさん、これを。」

俺は『全部燃やし斬ったれ炎剣君』をガッツォさんに渡す。

「マルコイ、これは?」

「俺は魔道具を作り出す事が出来るんだ。そしてこれはガッツォさんに使ってもらいたいと思って作った剣だ。魔力を流したら炎の刀身が出る。そして魔力を込める量で刀身が伸びるから、ガッツォさんの判断で使ってくれ!」

「なんだと!?い、色々と聞きたい事があるが、今は助かる!よし、全員でオークエンペラーを撃退するぞ!」

よし!
上手くいったぞ!

『全部燃やし斬ったれ炎剣君』に関しては実験結果が全くと言っていい程ない。

稼働実験で、とりあえず秘密基地の中で発動させて、木偶爆弾を誘爆させてしまいそうになったくらいだ。

問題なく発動したが、モンスター相手に通用するかわからないしな。

柄にはガスが充満しているが、それが爆発しないように柄自体から風を発することで、炎が柄に燃え移らないようにはしている。

それに柄はオリハルコンを使っているから、もし爆発したとしても柄が爆散する事はないはずだ。

問題はモンスター相手にどの程度通じるかというところだな。

ラケッツさんは最後までビビって使ってくれなかったし、俺も危ないから試さなかったもん。

ガッツォさんなら大丈夫なはず。

もし爆発したとしてもガッツォさんにはアフロになる髪の毛は残っていないからな。



オークエンペラーに4人で向かっていく。

ラケッツさんと卓には待機してもらっている。

いくらオークエンペラーが災害級のモンスターだとしても、魔王を倒そうとしている『魔道具の勇者』と『異世界の勇者』が参戦したら、流石の災害級モンスターでもすぐ討伐してしまいそうな気がするからな。

オークエンペラーはその体躯に見合った馬鹿でかい丸太のような棍棒を持っていた。

それを大きく振りかぶって、ガッツォさんに振り下ろす。

「ガッツォさん、俺が受けるから迂回して攻撃を!」

俺はエンチャント:守護する者を発動して、防御の膜を発生させる。

「お前、あんなもん喰らったら‥」

「行けっ!」

俺はガッツォさんと場所を入れ替わり、オークエンペラーからの攻撃を受ける。

う~ん‥
この棍棒をぶった斬った方がいいのかな?

でもこのサイズの方が避ける時に避けやすくないか?

下手に手を使って攻撃されるよりもわかりやすくていいような気がするな。

オークエンペラーの攻撃は防御膜に当たり甲高い音を立てて、弾き返される。

「ガッツォさん、今だ!」

「お、おうっ!」

ガッツォさんは『全部燃やし斬ったれ炎剣君』に魔力を流す。

すると少し長めの青白い炎の刀身が出現する。

「喰らえー!」

ガッツォさんがオークエンペラーに対して剣を振り下ろす。


肉が焼ける音がし、煙が上がる。

「グ、グガァァッ!」

ん?

「グ、グ‥ガァァー!」

オークエンペラーが元気に反撃してきた。

俺はすぐにエンチャント:穿つ者を発動して、魔力弾を放ちオークエンペラーの気を引く。

おろ?

こちらを向いたオークエンペラーの身体を確認する。

肩口から腰の辺りまで黒ずんだ傷跡が見える。

しかし表面に傷をつけた程度で身体の奥まで斬れている様子はない。

も、もしかして‥

3000℃では一気に焼き斬るような事はできないのかっ!?

な、なんという誤算だ!

「マ、マルコイ!凄いなこれは!あのオークエンペラーに傷をつけたぞ!」

いや、全然凄くないです!
一気に振り切ると表面を焼くだけで、斬る事はできないんだな‥

く、くそ‥

失敗作だ‥

やはりビビらないで、ちゃんとラケッツさんで実験するべきだった‥

「マルコイ!この武器ならオークエンペラーを倒せるかもしれない!」

違う‥違うんだ‥

剣を2本持てば‥?
いや、それでも問題の解決にはならない‥

やはり荷電粒子を使用して、『光の剣なら何でも斬る事できる君』の開発を急ぐべきだ‥

「マルコイが言っていた、刀身を伸ばすには魔力をもっと込めればいいのか?俺は魔力量があまり多くないから自信はないのだが‥」

ガッツォさんが『全部燃やして斬ったれ炎剣君』に魔力を込める。

ガッツォさんの魔力量はあまり多くないようだが、それでもオークエンペラーの身長程度の長さになった。

俺が込めたらどれだけ長くなるんだろうか?
多分柄に溜めているガスがなくなるから、ある程度以上は伸びないと思うが‥

「マ、マルコイ!こいつはやべぇな!重さがないのにこの刀身の長さ‥これなら離れていてもモンスターと戦う事ができるぞ!」

そうだけど、それは失敗作なんだよ、ガッツォさん‥

「モブキャ、ラタチ!お前ら下がってろ!マルコイ、魔法で援護してくれ!俺はこいつでオークエンペラーを‥」

ガッツォさんが魔力を込めて伸ばした刀身は、ガッツォさんが構えていた状態から真っ直ぐ伸びていた。

それはちょうどオークエンペラーの頭部あたりに当たっており‥

オークエンペラーは地響きを立ててその場に倒れ込んだ‥

あれ?
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