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戦いの準備

魔道具の完成

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『広範囲迎撃用決戦魔道具』は魔法を宙に留まらせるのと同じ要領で魔力を流す事で魔道具を自分の周りに留まらせて、指示を出す事で迎撃体制に入る。

後は『アシュラ君』と一緒で範囲内に入った敵に対して自動的に攻撃若しくは防御体制をとる事になる。

最初は誘導式爆弾にすれば、敵を視認して魔道具を飛ばすと、相手を追尾して爆破するという恐ろしい武器になった。

木偶爆弾でやってみたが、モンスターを発見して発射すると、モンスターが逃げようが迎え撃とうが大爆発を起こして敵を薙ぎ倒していた。

素晴らしく芸術性の高い武器となったが、如何せん使い捨てにするには高価すぎるため実用化はできなかった。

だって木偶爆弾一つ一つに魔力回路を貼り付ける上に使い捨てだからな。

いくらキリーエが破棄された魔力回路付きの魔道具を回収してくれるとはいえ、無駄遣いは怖い。

ノーマネーノーライフ。

銃を持たせるなり、銃を発射できる魔道具にしようかとも思ったが弾に制限が出てしまうから、ラケッツさん1人で魔王軍に突っ込ませるには補給の面をどうにかしないといけなくなるため、これも却下する事になった。

そのため、装備に関しては元々『アシュラ君』に装備させていた剣や盾を使う事になった。

その代わり秘密兵器となる物を追加で肩に担がせる事にした。

普段は背中に背負うようにして、必要時には肩に担いで放射する。

中身は鉄爆弾だが、普通の爆弾ではなく内部に魔力を貯める魔力回路を貼り付けて、正人君に限界ギリギリまで光属性を込めてもらった対魔族用の爆弾だ。

破裂したら光属性の魔力が暴発して、辺り一面を光属性の包み込むのだ。

最初はラケッツさんの鎧に仕込んだ混合式爆弾を詰め込んでやろうと思ったが、暴発すると怖いのでと涙ながらに説得されたのでやめてみた。

確かに指向性を持たせた爆弾ではないので、暴発したらラケッツさんごと爆破するしな。

しかも鎧の爆弾も一緒に破裂して、人間花火みたいになるだろう。

それはそれで見たい気もするけど‥


とりあえず失敗して調整して失敗だ!

あ、失敗が前提になってた。



うん、まあ‥
結果としてはまあいいんじゃないかな‥

正直背中から出てきた手首が、装着者の武具を掴んで猛スピードで突っ込み、モンスターをフルボッコにするのはなかなか見ていてシュールだ。

よし。
これで各勇者の武具の原案ができた。

あとは作り上げて持っていってやるとするか。






結構長い間秘密基地に潜っていたが、クワイスやアキーエからの連絡もなく問題なく魔道具製作に精を出す事ができた。

おそらく予定していた時間の3分の2程度でできたんじゃないだろうか。

それでも時間的にはまるまるふた月はかかったからな。

とりあえず『アウローラ』の拠点に戻りクワイスに魔道具作りが終わった事を報告した。

「お疲れ、マルコイさん。今から獣人国に戻るのかい?」

「ああ。後は魔道具を本人たちに使ってもらって微調整する必要があるからな。」

「うっう‥‥よ、ようやく解放されます‥」

ラケッツさんが涙を流しながら喜んでいる。

なぜ?

「何馬鹿な事を言ってるんだ、ラケッツさん?ラケッツさんは俺たちと一緒に獣人国に行って、最終調整と魔道具の熟練度を上げないと。」

「へ?き、聞いてないですよ?拠点での実験が終わったら解放されるんじゃないんですか?」

「馬鹿だなぁラケッツさん。こんな面白い実験、途中で止めるわけないじゃないか!間違えた、きちんと最終調整までやらないと、どこに不具合が出るかわからないだろ。」

「本音ダダ漏れじゃないですか!面白い実験ってはっきり言ってるじゃないですか!」

ええい、うるさい。

こんな中途半端な形で実験体を返すわけないじゃないか。

「ラケッツ‥‥諦めろ。生きて戻ってくるんだぞ。」

クワイスが悲痛な表情でラケッツさんにそう告げる。

やめなさい。
そんな人死が出そうな事はやりま‥‥‥すかもしれないな‥

「うわぁ!」

ラケッツさん、そんなに泣き叫ばない。

こんな時にあの人がいれば‥

「ラケッツパイセン!おかえりなさいっす!え?また行くんすか?やっべぇ、マルコイ兄貴にそこまで認められてるんすね。マジかっけぇ‥」

イーキェさんがいればと思ったら、ちゃんときてくれました。

それにラケッツさんに素晴らしい言葉をかけていただきました。

「マジかっけぇ‥?そ、そんなにかっこいいかな‥?」

「まじハンパねぇっす!」

「そ、そうか?」

ラ、ラケッツさん‥

な、なんてチョロいんだ‥
見ていて涙が出そうになってきた。

「そ、それじゃあ、もう少し頑張ってみるかな。」

うんうん。

さっきまで泣いてたラケッツさんが、もう前向きな顔になっている。

ありがとうイーキェさん。

多分獣人国についたら、すぐまた泣き叫ぶかもしれないけど、連れていったらこっちのもんだ。

俺たちはクワイスに別れを告げで、一路獣人国を目指す事にした。
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