865 / 953
愛別離苦
今後の話し合い
しおりを挟む祝勝会も終わりに近づき、今はイェルンさんが会を締めようとしている。
何故イェルンさんなのか‥
始まりは新しい力を示すため、そして終わりは新しい力が、今までの力と協力して国を作っていくのを示すためとの事だ。
「‥‥‥という形でこの国の全ての貴族が一丸となって取り組む必要があるでしょう!それこそ神秘の塊であるタルタルソースのように、濃厚で芳醇な香りを出しつつも、1つの調味料として完璧なハーモニーを‥‥‥‥」
あいつに任せたのは誰だ?
王様か?
もう引き摺り下ろしてもいいと思うんだけど‥
まあみんながしきりに頷いているからいいのかな?
タルタルに染まらずに理性のある人が残ってくれるといいけど‥
それがないとこの国の未来は真っ暗‥いや、真っタルタルだな‥
まあそんなこんなで祝勝会も終わり宿に戻る。
普段しない格好をしていたから、戦ったりするのとは別の意味で疲れた。
いや、ある意味戦いだったような気もするけど。
普段着に着替えてベッドに座る。
ミミウの件はとりあえず現状維持のままだな。
もしかしたらミミウ王女って事になるのかもしれない。
もしそうだとしても、ミミウも俺たちも変わりはしないだろうけど。
しかし‥
それよりもエルフだよな‥
ロンギル共和国やライノズ帝国、それにトールルズにも手を出している『あのお方』とやらが絡んでいるんだろうか?
だがエルフがそう簡単に乗っ取られるだろうか?
引き篭もりだから、他種族をあまり国に入れたがらないだろうし、ましてや国の中核に外部の人を取り入れるとは思えない。
洗脳の事も考えたけど、洗脳をかける奴が国に入り込まないとそれも出来ないはず。
部外者が簡単に雇用されるとは思えないしな。
うん。
よく考えたら『あのお方』に対しては引き篭もり最強じゃね?
だからエルフの国についてはあまり心配しなくていいのではないかと思う。
一応獣王様に伝えた後に、獣人国でやりたい事を終わらせた後に覗きに行くくらいかな。
とりあえず魔王の件もあるし、そっちの準備がもう少し進んでからだな。
考え事をしている途中で眠ってしまい、目が覚めると窓の外が明るくなっていた。
顔を洗っているとドアをノックする音がする。
「マルコイ。ちょっといいかしら?」
「アキーエか?いいぞ。」
俺は顔を布で顔を拭き、開いたドアに目を向ける。
するとパーティメンバーが揃って俺の部屋に入ってくるところだった。
「みんな揃ってどうした?」
「え?トールルズでやる事も落ち着いたと思ったから来たん‥」
「いえー!作戦会議ですぅ!」
おお‥
そうだった。
俺1人で決めるんじゃなくて、みんなの意見を聞かないとな。
俺にはこんなにも心強い仲間がいるんだった。
「ちなみにミミウ。作戦会議ではなくて、『今後何する?』会だ。」
「今後何する?ですぅ?」
「そうだ。俺のやりたい事もそうだけど、みんなが何をしようとしているか、意見のすり合わせが必要だからな。」
「はい!」
「はい、恵さん!」
おお、恵は初めて参加するのにこの会が挙手制だとわかっているのか。
「マルコイさんと買い物に行きたいです!」
「うん。それはいつでもできるから、今後の展望ではない。却下だ。」
「う~‥」
恵が地面に『の』の字を書いている。
まあ約束もあるし、そのうち行ってもいいが今は放っておこう。
触れると面倒だし。
「そうね、とりあえず獣人国に戻って‥はい!」
「はい、アキーエさん。」
途中で気づくとはやるなアキーエ。
「とりあえず獣人国に戻って正人さんたちと合流するべきでしょうね。それから魔王の動向を確認して討伐に向かうとか?」
ふむふむ。
「はい!」
「はい、キリーエさん。」
「うちも獣人国に戻って、各国のホット商会の報告を受けなあかんわ。よっぽどの事がない限りうちが出向く必要はないと思うんやけど、念のためやね。」
ふむ。
「はい!」
「はい、ミミウさん。」
「ミミウはいっぱいご飯が食べたいですぅ!」
うんうん。
「そうだな。獣人国の家に戻ったら、みんなでバーベキューでもしような。」
「マルコイさん、それも今後の展望とは違うのでは‥」
ふっ。
ミミウさんの食欲を放っておくと、1人で地竜とか倒しに行ったりするかもしれないので、ちゃんと次はどこでご飯をたくさん食べるのか伝えておかないといけないんだよ。
「はい!模擬戦します!」
アレカンドロの横で、リルが頷いている。
まあこの2人は訓練ができるならどこでもいいだろ。
「そうだな。俺も獣人国に戻って‥」
「マルコイさん、挙手がないですぅ!」
「おお!すまんすまん。はい!」
「はい、マルコイですぅ!」
「俺も獣人国に戻るのに賛成だ。王様にエルフの国を気にかけてくれと言われたので、それを獣王様に伝えないといけない。それにアキーエが言っていた魔王の討伐だが、今の正人たちでは難しいだろう。」
「え?でもわたしたちが手助けすれば大丈夫じゃない?」
「まあ確かにそうだな。だが今回のように別行動になる事もあると思う。だから、正人たちで魔王を倒せるようになってもらわないといけないだろう。」
「ふ~ん。それで、具体的にどうするの?」
「ふっふっふ‥勇者狂化‥間違えた。勇者強化と勇者増殖‥間違えた。勇者増量作戦だ。」
10
お気に入りに追加
554
あなたにおすすめの小説
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

異世界に転生した俺は元の世界に帰りたい……て思ってたけど気が付いたら世界最強になってました
ゆーき@書籍発売中
ファンタジー
ゲームが好きな俺、荒木優斗はある日、元クラスメイトの桜井幸太によって殺されてしまう。しかし、神のおかげで世界最高の力を持って別世界に転生することになる。ただ、神の未来視でも逮捕されないとでている桜井を逮捕させてあげるために元の世界に戻ることを決意する。元の世界に戻るため、〈転移〉の魔法を求めて異世界を無双する。ただ案外異世界ライフが楽しくてちょくちょくそのことを忘れてしまうが……
なろう、カクヨムでも投稿しています。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

妹と歩く、異世界探訪記
東郷 珠
ファンタジー
ひょんなことから異世界を訪れた兄妹。
そんな兄妹を、数々の難題が襲う。
旅の中で増えていく仲間達。
戦い続ける兄妹は、世界を、仲間を守る事が出来るのか。
天才だけど何処か抜けてる、兄が大好きな妹ペスカ。
「お兄ちゃんを傷つけるやつは、私が絶対許さない!」
妹が大好きで、超過保護な兄冬也。
「兄ちゃんに任せろ。お前は絶対に俺が守るからな!」
どんなトラブルも、兄妹の力で乗り越えていく!
兄妹の愛溢れる冒険記がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる