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愛別離苦

パーティー準備

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そういえば、よく考えれば2人ともお嬢様なのかな‥?

キリーエは豪商の娘だし、ミミウももしかしたらこの国の姫かもしれなかったんだもんな。


「ふふん。マルコイさん。うちに見惚れて鼻の下が伸びてるで。」

キリーエは確かに綺麗だ。

体型もスレンダーで、今日着ているドレスも装飾が少なく、身体のラインを強調していてキリーエにとても似合っている。

ただ惜しむべきはその草原だな‥

果てしない地平線が見えそうな、大草原である。

ふっと視線をキリーエの胸から上に向けると、何故かキリーエがプロミネンスを構えていた。

「キ、キリーエさん‥どうしたのかな?」

「いや、なんやマルコイさんが不快な事を思ってそうな気がしてやな。」

「そ、そんなわけないじゃないか。」

あ、あぶない‥

流石にその距離で撃たれたら頭破裂するし、魔法でもポーションでも治らない気がするんですけど‥


「自分も準備出来ました!」

その時アレカンドロとリルが扉を壊すくらいの勢いで入ってきた。

お城からお迎えの馬車が来るとの事だったので、今は泊まっている宿で着替えているのたが、それぞれ着替えては俺の部屋にやってくる。

何故だ‥?

あ、扉が傾いた‥

だがキリーエの追及を逃れる事が出来ると判断した俺は、すぐにアレカンドロとリルの元に向かった。

「あれ?アレカンドロはドレスじゃないのか?」

「はい!自分はスカートと言うのがどうも性に合わないのであります!足元に何も着けていないと言うのが心配になります!」

アレカンドロは燕尾服の様な服を着用していた。
綺麗な顔立ちをしているのでとても似合っている。

それに先程まで見ていた草原とは違い、聳え立つ双丘が凄い‥

「マルコイさん‥?」

うっ‥
プロミネンスの撃鉄を上げる音がした。

いや、実際は収音の魔力回路を取り付けているので音はしていない。

なんだろう‥

そんな気配がしたというか‥

「マルコイ‥うかつ‥」

リルさんや。

余計な事を言うんじゃないよ‥

そんなリルは黒いフリフリのたくさんついたドレスを着ていた。

少し幼い感じがするが、リルにとても似合っている。

異世界でも人気が出そうな服だな。

リルは自分が見られている事に気づいたのか、その場で一回転して見せた。

真っ黒な生地にに白と銀の模様が入っているスカートがヒラヒラと舞う。

そして背中には真っ黒な鞘に納められた刀が背負われていた‥

‥‥‥いやいや、お前はどこに刀を持って行く気だ!

「リル‥刀は置いて行きなさい‥」

「かたなは侍のいのち‥かんたんには手ばなせない‥」

いや、お前侍じゃないから。

それに何故、侍を語るときだけ少し流暢になるんだ?

「お前王城であるパーティーだぞ。刀は俺かキリーエに預けとけ。」

「マルコイにあずけるとでばんなくなる‥キリーエ‥」

何の出番だよ‥

何かあったら刀を渡し忘れると思ってるのか‥?

まあ忘れると思うけど‥


キリーエがリルの刀を『ボックス』に入れる。

「さて、そろそろ馬車が来ると思うけど、皆んな準備はいいか?」

俺は皆んなに伝えながら窓の外を見る。

丁度馬車が到着したようで、装飾は控えめだが立派な馬車が2台宿の前に止まった。

ん~、何か忘れているような気がするけど、思い出せないって事はそんなに大事な事じゃないのかな‥

その時、扉が勢いよく開いた。

「うおっ!」

び、びっくりした。
まだ他に誰かいたか?

蝶番の片方が外れて傾いている扉から1人の女性が出てきた。

むぅ‥
やはりこの扉は弁償だろうか‥?

だとしたら、とどめを刺したこいつの責任だと思うが‥

「じゃーん!マルコイさんお待たせしました!!恵登場です!可愛い格好をした恵に会いたかったでしょ!私も!きゃっ、恥ずかしい!」

すまんが、存在をまたしても忘れていたよ‥

あと本気で誰かこいつの頭のネジを探してくれませんかね?

恵は真っ白なAラインのドレスを着ており、スカートにはプリーツが幾つもあり恵の動きに合わせてひらひらと動きを見せている。

ドレスの動きは可愛いのだが、恵の動きはくねくねしてて気持ち悪い‥

本人は可愛いつもりなんだろうか‥

最初に会った時の知的と言う名前の印象を、丁寧に紙に包んで空に飛ばしたんだろう‥

「お前も行くのか?」

俺がそう声をかけると、恵は顎が外れるほど口を開ける。

こいつ本当はモンスターじゃないんだろうか‥

「うぐっ‥め、恵も頑張ったのに‥皆んなに忘れられて、1人置いていかれても頑張って探し出して、お手伝いしたのに‥」

そう言えばそうだった。

正直あの場面で恵がいなかったら負けないまでも、もっと苦戦してただろうからな。

「わかった、わかった。それじゃあ皆んなで行くとするか。」

「やったぁ!」

置いて行くと呪いでもかけられそうだったからな。
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