850 / 953
愛別離苦
ミミウと聖女
しおりを挟む
一体何がどうなっている‥?
お店の厨房のような場所で、恵は横たわっていた。
余程疲れているのだろう、肩で息をしているのがわかる。
それに対してミミウは、テーブルのような所に座り、空になった皿たちに囲まれるようにして座っていた。
まるで、恵がミミウに料理を作っていたかのようだ‥
‥‥‥いや、本気で何やってんの君たち‥?
「なあ‥2人とも何やってるの?」
「あっ!マルコイさんですぅ!」
「マルコイさん!?」
恵が横になった状態で、首だけ持ち上げて俺を探している。
気持ち悪いなおい。
「本当だ!マルコイさん、会いたかったです!」
恵が腕を使わずにミノムシのように地面を這ってきた。
いや、何この娘。
本気で気持ち悪いんだけど‥
こいつもどこかにネジ落としてきたか‥?
「それで?一体なにをしてたんだ?」
「ミミウちゃんとご飯食べようって事になったんですけど、宿の食堂がやってなくて。それで食べに行こうってここまで来たんですけど、ほとんどの店が休みだったんです。」
うんうん。
それで、何故こうなった?
「お店の人に話を聞いたら、しばらく周りの店の復興手伝いしてるから店を開けないと言われたんです。」
「それで?」
「自分たちで作ってみました。」
ふむふむ。
少し間の説明が抜けているような気がするが、何となく経緯はわかった。
「それで何故恵がミノムシになってるんだ?」
「やだ!マルコイさん!ミノムシだなんて‥まるでミノムシみたいに愛に包まれてるなんて言いたいんですか!もう私はマルコイさんの愛だけで‥ごにょごにょ‥」
な、なんだその‥
気持ち悪いなおい。
「ミミウちゃんがものすごく食べるって聞いてたから、お腹いっぱいになるまで食べてもらおうって思いまして‥お店の人も私が作ってる料理を見て珍しかったのか、どんどん作っていいよって言われたので張り切って作ってたらこうなりました。」
恵が作るのは異世界の料理だからな。
お店の人も見たかったんだろう。
まあでも店の食材ほとんど使われるとは思わなかったんだろう。
だってお店の人、頷きながらも涙目だもん。
「でも流石ミミウさんですね‥神聖魔法使って、身体強化と回復をかけながら作っていたんですが、気がついたら腕が動かなくなってました。」
恵は立ちあがろうとしているのだろうが、腕が動かないせいか転がりながらビタンビタンしている。
そうか‥
お前はミノムシじゃなくて、陸に打ち上げられた魚だったのか‥
「マルコイさん!」
ミミウが俺の方に走り寄ってくる。
途中で恵を見て不思議そうな顔をしてから、迂回してきた。
「マルコイさんご飯が食べたいですぅ!」
おうおう。
さっきまで食べてましたよね?なんて無粋な事は聞かないよ。
「任せとけ!」
ふっふっふ。
恵がいくら異世界の料理を作れようとも、ミミウが満足するにはそれを大量に作れる体力、動かなくなった腕を無理矢理にでも動かす精神力が必要なのだ。
たかが知識がある程度でミミウを満足させる事が出来ると思うなよ!
ミノムシじゃなかった、陸魚とは違うって所を見せてやるぜっ!
‥‥‥あれ?
俺、料理作るためにミミウ探してたんだったっけ‥?
何か用事があったような‥
まあいいや。
とりあえず今はミミウの空腹を解消するのが先だ。
涙目になっているお店の人に声をかける。
「連れが迷惑かけてすみません。使用した食材と厨房の使用料をお支払いします。なのでもう少しだけこちらを貸していただいてもいいですか?」
店主は料金を支払ってもらえるとわかり安心したのか、二つ返事で場所を貸してくれた。
さてさて、何を作ろうかな。
厨房の中を見渡す。
恵がビタンビタンしても問題ないくらいの広さはある。
お肉大好きミミウさん。
でもお肉ばかりじゃなくて、お野菜も食べないとね。
そこで今回作るのは‥
お肉も食べれて野菜も食べれる。
みんな大好き餃子を作ってみよう。
まあみんな大好きなのは異世界だけで、この世界の人たちは食べた事もないんだけど‥
ミミウの空腹が解消するくらいの量となると、かなりの量を作る必要がある。
特に大量のキャベツと挽肉だ。
これを俺が作るとなると腕が確実に死ぬ。
なら何故この料理にしたかというと‥
「『創造:フードプロフェッサー』!」
ふっ‥
俺にはスキル【創造士】があるからなのだよ。
筒状の箱の中には鉄人形の手のひらが入っており、手のひらの指の先端が刃物のになっている。
これが箱の中で回転して野菜やお肉を細かく切ってくれる。
これで微塵切りの工程はグッと短くなる。
かかってくるがいい、ミミウ大魔王よ!
お店の厨房のような場所で、恵は横たわっていた。
余程疲れているのだろう、肩で息をしているのがわかる。
それに対してミミウは、テーブルのような所に座り、空になった皿たちに囲まれるようにして座っていた。
まるで、恵がミミウに料理を作っていたかのようだ‥
‥‥‥いや、本気で何やってんの君たち‥?
「なあ‥2人とも何やってるの?」
「あっ!マルコイさんですぅ!」
「マルコイさん!?」
恵が横になった状態で、首だけ持ち上げて俺を探している。
気持ち悪いなおい。
「本当だ!マルコイさん、会いたかったです!」
恵が腕を使わずにミノムシのように地面を這ってきた。
いや、何この娘。
本気で気持ち悪いんだけど‥
こいつもどこかにネジ落としてきたか‥?
「それで?一体なにをしてたんだ?」
「ミミウちゃんとご飯食べようって事になったんですけど、宿の食堂がやってなくて。それで食べに行こうってここまで来たんですけど、ほとんどの店が休みだったんです。」
うんうん。
それで、何故こうなった?
「お店の人に話を聞いたら、しばらく周りの店の復興手伝いしてるから店を開けないと言われたんです。」
「それで?」
「自分たちで作ってみました。」
ふむふむ。
少し間の説明が抜けているような気がするが、何となく経緯はわかった。
「それで何故恵がミノムシになってるんだ?」
「やだ!マルコイさん!ミノムシだなんて‥まるでミノムシみたいに愛に包まれてるなんて言いたいんですか!もう私はマルコイさんの愛だけで‥ごにょごにょ‥」
な、なんだその‥
気持ち悪いなおい。
「ミミウちゃんがものすごく食べるって聞いてたから、お腹いっぱいになるまで食べてもらおうって思いまして‥お店の人も私が作ってる料理を見て珍しかったのか、どんどん作っていいよって言われたので張り切って作ってたらこうなりました。」
恵が作るのは異世界の料理だからな。
お店の人も見たかったんだろう。
まあでも店の食材ほとんど使われるとは思わなかったんだろう。
だってお店の人、頷きながらも涙目だもん。
「でも流石ミミウさんですね‥神聖魔法使って、身体強化と回復をかけながら作っていたんですが、気がついたら腕が動かなくなってました。」
恵は立ちあがろうとしているのだろうが、腕が動かないせいか転がりながらビタンビタンしている。
そうか‥
お前はミノムシじゃなくて、陸に打ち上げられた魚だったのか‥
「マルコイさん!」
ミミウが俺の方に走り寄ってくる。
途中で恵を見て不思議そうな顔をしてから、迂回してきた。
「マルコイさんご飯が食べたいですぅ!」
おうおう。
さっきまで食べてましたよね?なんて無粋な事は聞かないよ。
「任せとけ!」
ふっふっふ。
恵がいくら異世界の料理を作れようとも、ミミウが満足するにはそれを大量に作れる体力、動かなくなった腕を無理矢理にでも動かす精神力が必要なのだ。
たかが知識がある程度でミミウを満足させる事が出来ると思うなよ!
ミノムシじゃなかった、陸魚とは違うって所を見せてやるぜっ!
‥‥‥あれ?
俺、料理作るためにミミウ探してたんだったっけ‥?
何か用事があったような‥
まあいいや。
とりあえず今はミミウの空腹を解消するのが先だ。
涙目になっているお店の人に声をかける。
「連れが迷惑かけてすみません。使用した食材と厨房の使用料をお支払いします。なのでもう少しだけこちらを貸していただいてもいいですか?」
店主は料金を支払ってもらえるとわかり安心したのか、二つ返事で場所を貸してくれた。
さてさて、何を作ろうかな。
厨房の中を見渡す。
恵がビタンビタンしても問題ないくらいの広さはある。
お肉大好きミミウさん。
でもお肉ばかりじゃなくて、お野菜も食べないとね。
そこで今回作るのは‥
お肉も食べれて野菜も食べれる。
みんな大好き餃子を作ってみよう。
まあみんな大好きなのは異世界だけで、この世界の人たちは食べた事もないんだけど‥
ミミウの空腹が解消するくらいの量となると、かなりの量を作る必要がある。
特に大量のキャベツと挽肉だ。
これを俺が作るとなると腕が確実に死ぬ。
なら何故この料理にしたかというと‥
「『創造:フードプロフェッサー』!」
ふっ‥
俺にはスキル【創造士】があるからなのだよ。
筒状の箱の中には鉄人形の手のひらが入っており、手のひらの指の先端が刃物のになっている。
これが箱の中で回転して野菜やお肉を細かく切ってくれる。
これで微塵切りの工程はグッと短くなる。
かかってくるがいい、ミミウ大魔王よ!
10
お気に入りに追加
554
あなたにおすすめの小説

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

召喚学園で始める最強英雄譚~仲間と共に少年は最強へ至る~
さとう
ファンタジー
生まれながらにして身に宿る『召喚獣』を使役する『召喚師』
誰もが持つ召喚獣は、様々な能力を持ったよきパートナーであり、位の高い召喚獣ほど持つ者は強く、憧れの存在である。
辺境貴族リグヴェータ家の末っ子アルフェンの召喚獣は最低も最低、手のひらに乗る小さな『モグラ』だった。アルフェンは、兄や姉からは蔑まれ、両親からは冷遇される生活を送っていた。
だが十五歳になり、高位な召喚獣を宿す幼馴染のフェニアと共に召喚学園の『アースガルズ召喚学園』に通うことになる。
学園でも蔑まれるアルフェン。秀な兄や姉、強くなっていく幼馴染、そしてアルフェンと同じ最底辺の仲間たち。同じレベルの仲間と共に絆を深め、一時の平穏を手に入れる
これは、全てを失う少年が最強の力を手に入れ、学園生活を送る物語。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる