上 下
815 / 953
愛別離苦

必殺ドリルパンチ

しおりを挟む
魔力消費はあったが、腕の一本を創造しただけなのでかなり少なく済んだ。

ゴーレムの左腕の接続部を確認する。

ダリックに引きちぎられたところから、金属製の腕になっている。

力任せに引きちぎられた場所を覆っているので、金属製のアームはつぎはぎ模様のようになっている。

動くのか不安になったが、左腕を操作するとしっかりと反応してくれた。

それに他の部位よりも操作した時の反応が早い。

左腕だけが操作してからのタイムラグがほとんどないようだ。

これならいけるか?


ダリックは腕を振り上げて、振り下ろすように攻撃を放ってきた。

距離を取っている俺の頭上まで腕が伸び、そのまま叩きつけるように腕を下ろしてきた。

俺がさっきの攻撃を下に屈んで避けたから、それを防ぐためか?
ある程度の学習はできるみたいだな。

まあ、それでもある程度だしこんな見て避けれるような攻撃喰らわないけどね。

俺はゴーレムを操作して横に移動して攻撃を躱す。

ダリックの腕は地面を大きく抉り、砂埃を舞い上がらせる。

「必殺ドリルアーム!」

その伸び切った腕に向かって左腕のドリルを叩きつける。

「ぐがァァァァ!」

ドリルはあっさりとダリックの腕に突き刺さり、血飛沫を上げさせる。

おお!
すんなり刺さった。

伸び切った腕だったから刺さったのか、それともドリルアームスーパーだったから刺さったのか‥

あの筋肉にも刺さるかな?

ダリックの腕から溢れる血は周りの地面に落ちて異臭を放っている。

やはり血は危ないか‥
攻撃した時に警戒しないといけないな‥


しかしいい発見もあった。

ダリックは痛みを感じるようだ。
ギルドを襲おうとしていた肉塊は痛みを感じる様子はなかったけど、痛みを感じるようなら助かる。

ダリックの腕は痛みのせいかすぐに縮む様子はない。

だったら‥

俺はローラーを使い、ゴーレムをダリックの方へ向かわせる。

痛みに悶えるダリックは俺が近づいている事にすら気づいていない。

そんなに痛かったかね?
しかしそんなもんじゃないぞ、俺の自動二輪車が喰らった痛みはっ!

‥‥‥‥あれ?
もしかして自動二輪車もスキル【創造】で修理できるよな?
材料もあるし、さっきと同じように戻すならそれほど魔力も必要ないんじゃないだろうか‥?



「え~と‥‥簡単に修理できそうだけど、とりあえず自動二輪車は痛かったと思うよの必殺『ドリルパーンチスーパーハイパー』!」

俺の怒りは多少引いてしまったが、自動二輪車が壊された事には変わりない。

そんな俺の微妙な怒りの攻撃を喰らうがいい!

「カガがァァ!」

ダリックの紫色にヌルッと光る筋肉はほんの僅かドリルを防いだが、すぐに抵抗をやめてドリルをその筋肉に受け入れた。

盛大に飛び散る血飛沫。

ゴーレムにもかかるが、この程度の腐食なら問題ない。

この程度で俺の作ったゴーレムが溶けはしないぞ。
ただ臭いが酷くて吐きそうになるけど‥

今度ゴーレムを作る時は搭乗席に風を循環させる魔力回路をつけておこう‥



多少の抵抗はあったが、ドリルはダリックの胸板を貫通する。

ゴーレムの腕を引き抜く。

するとダリックは後方にゆっくりと仰向けに倒れた。





肉塊は再生能力があったがこいつはどうだ‥?

普通に考えて確実に致命傷ではあるが、もしかしたらアレと一緒で動き出すかもしれない‥

しばらく様子を見てみるが動く気配はなさそうだが‥

そっとゴーレムの足で突いてみる。

動かない‥
なんだ、こいつは普通に死ぬのか‥

よかった、また再生すると思って血みどろの戦いを想像してしまったじゃないか。



安心してゴーレムを下がらせようとするとダリックがピクンと動く。

するとそれまで動かなかったのが嘘のように肉が躍動しだした。

胸に空いた穴と、腕につけた傷から新たな肉が溢れ出すように蠢く。

そしてダリックだった物は腕と胸から触手のようなものを生やしている異形の物に成り変わった。

「やっぱりそうだよな‥しかし見た目がだいぶ気持ち悪いんだけど‥」

マルコイは蠢く肉を見ながら呟いた。





----------------------------------------------------------------------
近況にも書いてますが、ブログ始めました。
遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!
https://ogicon3777.com
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

余命半年のはずが?異世界生活始めます

ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明… 不運が重なり、途方に暮れていると… 確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。

処理中です...