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愛別離苦

ひと休み

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ここで作れて、今ある食材で出来る物か‥

ゆっくりとする時間はないから、簡単にできる物がいいよな。

本当はここで料理なんてしてる暇はないんだろうけど、腹ペコミミウさんには敵いません。

米とソーセージ‥あとは卵や野菜があるなぁ‥

そうだ。

簡単でミミウに受けそうな料理を作ることにしよう。

まずは魔道具キッチンを取り出す。
王様が何やら驚いていたが、イェルンさんが「マルコイさんですから。」とか言っているやがる。

玉ねぎをみじん切りにして、ソーセージを幅1.5センチ程度に切る。

玉ねぎを炒めて少し色が透き通ってきたくらいでソーセージを入れる。

少し炒めて、そこにどーんとご飯を入れる。

そこにホット商会印のトマトソースを入れる。

ホット商会のおかげで異世界のほとんどの調味料を使う事が出来るようになった。

普通の人でも買えるようにするって言ってたけど、今の時点では何をどう使っていいかわからないだろう。

それでもホット商会の料理人たちは、その調味料を使って独創的な料理を作るんだろうな。

でも俺の知識にあるのは異世界の料理人たちが長い年月をかけて作ってきたものだから、まだまだ追いつかれる事はないだろう。

多分この料理も。

米にソースが均等に絡んだら、一旦取り出して皿に盛り付ける。

そして卵を割ってかき混ぜて、熱した鉄鍋に入れる。

少しかき混ぜて、火が通ったら形を整える。

卵を先程盛り付けた米の上にふんわりと乗せる。

そして袋の中にトマトソースを入れて端を切る。

卵の上にトマトソースをかけて完成だ。

ちなみにトマトソースはそのままかけてもいいが、端を切ってかけることで卵の上に文字を書かことができる。

アレカンドロには『脳筋ほどほどに』

リルには『返り討ちだ』

王様には『祝、生還』

クィリーノさんには『激しぶ』

イェルンさんには『後で覚えとけ』

ミミウには『ブラックホール』と書いてやった。

外の爆音も止んだので、アキーエとキリーエの分も作っておくかな。

その前に出来上がった料理を全員に配る。

「わぁー!ご飯の上に文字が書いてあるですぅ!」

「おお!これは凄いですな!はて?脳筋とは?」

ちっ!
アレカンドロは脳筋って言葉から教えないといけなかったか‥

「キシャーッ!」

いや、リルお前から突っかかってきてるんだからな。
次は必ず返り討ちにしてやると決めているんだ。

「ふふ。こんな余興も良きかな。ありがとうマルコイ。」

「いえ、勿体ないお言葉です。それは自分の本心ですから。王様が無事じゃなかったら、俺もアキーエたちも大暴れしてたと思いますからね。」

「そ、それは困るな。我が国が無くなってしまうかもしれぬ。く、国のためにも私は無事でよかったのだろうな。ははは。」

さすがに国を無くしてしまう事はできないと思うけど、ヨエクの家は地上からなくなっていただろうな。

まあでもアキーエさんが本気をだしたら、もしかしたらこの国くらいは‥

いやいや、さすがに‥

いけるかな‥?

「あ、あのマルコイさん‥」

「ん?どうしましたイェルンさん。」

俺は満面の笑みでイェルンさんを見る。

「あ、あのちょっと‥自分の料理が間違えているみたいで‥た、多分他の人の分が私の所に来てるんじゃないかなぁと‥」

「いやいや、間違いじゃありませんよ。ちゃんとイェルンさんのために作った料理ですから。味わって食べてください。」

イェルンさんの額から一筋の汗が流れる。

「あ、あれぇ?お、おかしいな。あ、わかった!これは逆に読むんですね!けとえぼお‥」

「いえいえ、今読んでる方が逆ですよ。自分の胸に手を当てて、しっかりと味わって食べてくださいね。」

「ひ、ひぃ!マ、マルコイさんの笑みが黒い!」

ふん、失礼な。

君のやった事は許されない事だ。

この件が終わったら、ちゃんとお返ししてやるからな。

ふははははは。

「ふ~ん、マルコイさんうちのは何て書いてあるん?」

ふおっ!

びっくりした!

「キリーエ、いつ戻ってたの?」

「え?マルコイさんが料理を始めたくらいやったけど?」

さ、さすがキリーエ‥

ちなみにキリーエの文字は『びっくり商人』です‥










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