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愛別離苦

火薬筒

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「なんだと!いったいどういう事なんだ?イェルンさんはこの国の宰相だろう?だとしたら新しく王となった方も、そんなにぞんざいには扱わないんじゃないのか?」

もう少し頑張ってみよう。
俺はそう思い、困った表情を浮かべて男に問いかける。
昨日のアキーエより少しは演じれてるかな‥?

「まあな。だがイェルンには前王を匿っている可能性があるからな。それに目障りだろ?前王の時から宰相やってるやつなんてよ。なんだかんだ理由つけて排除するに決まってるじゃねえか。今までイェルンが生きてるのが不思議なくらいだな。その辺の理由は下っ端の俺らにはわからねえけどな。」

なるほど。
何らかの理由があって、ヨエクはイェルンさんにまだ手をだしていないわけか。

よかった。
1番大事な確認ができた。

「それと俺が狙われる理由に関係あるのか?」

「さあな。新王様からお達しがあっただけで、俺らもよくわからないさ。俺たちがここにいる理由は、『イェルン家に近づく者を全員を身ぐるみ剥いで素性を確認しろ』だからな。」

ふむ。
イェルンさんに誰かが近寄るのを防ぐためか。
しかし身ぐるみ剥ぐ理由はなんだ?
何かを確認したいのか?

「さてそれじゃそろそろいいか?大人しく身ぐるみ剥がされると手間が省けるんだがな。それとここまで話したんだ。お前は事が終わるまで、地下牢に幽閉させてもらうぞ。そのままだと面倒だから動けなくしてな。恨むんなら話を聞いてしまった自分を恨めや。」

男の銃口は俺の眉間に向けられ、そこから肩あたりに移動した。

「腕の一本はもらおうか。そしたら話しやすくなるだろ。ふひひひ。」

下卑た笑いだな。

多分自分が持ってる力を余程使いたいんだろう。

男の持っている銃は銃口が2つついている。
おそらく連続で2発撃てる仕組みになっているのだろう。

だから威嚇として1発放ったが、もう1発撃てるので余裕があるんだろうな。

しかしその1発を外したらどうするつもりなんだろ?



2連続で撃てる銃か‥

俺が作った単発の銃よりも使いやすくなっている。
それに飛ばす弾が小さいのか、銃口も小さい。

ボヤンが作った武器のようにガトリング式じゃないみたいだな。
あの発想が有ればもっと凄いのが作れそうな気がするんだけど‥

まあそれでも‥

欲しいなアレ。

ふふふふふ。
キリーエから話を聞いた時に、一丁欲しいなって思ってたんだよなぁ‥

まさかこんなにすぐに、その機会が訪れるなんて。

もうこいつから聞ける話はなさそうだし、ぶっ飛ばして貰っていいよな?

「どうした?ビビって声も出ないのか?」

「一応聞いておくけど、お前が知ってるのはそのくらいだよな?」

「は?何を言ってるんだお前?」

「いや、一応確認しておこうと思ってな。まあいいや。ボコってもう一度聞いた方が早いか。」

「何だお前?おい、お前らも構えろ!こいつ何かするかもしれないぞ!」

おいおい‥

まだ持ってたのか!
一丁もらおうと思ってたのに、三丁ももらっていいんですか?

「何をニヤけてやがる!喰らいやがれ!」

おっと。
思わず顔がニヤけてましたか‥

男の持つ銃の銃口から弾が発射される。

俺は魔力を練って準備していたスキルを発動する。

エンチャント:守護する者

エンチャントを発動すると同時に身体を薄い膜が覆う。

男の持つ銃から放たれた弾は、その膜に当たると勢いを無くして地面に落ち、そのまま転がった。

「なっ!魔法か!?おいお前ら撃て!魔力を練る前に撃ち殺せ!」

おいおい。
殺せなんて物騒だな。

男の声に反応して、俺の後ろにいた男たちが銃を撃つ。

よしよし。
エンチャント:守護する者の魔力壁だと殆どの攻撃を防ぐから、銃の威力がわからなかったんだよ。

今度の弾はしっかりと威力を調べさせてもらおう。

エンチャント:守護する者を発動させた状態ならダメージを喰らうかな‥?
ふひっ。





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近況にも書いてますが、ブログ始めました。
遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!
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