730 / 953
愛別離苦
内乱
しおりを挟む
鍛治がひと段落したので、他国の情報を確認するためにギルドに寄る事にした。
本当は獣人国のギルドにはあまり近寄りたくなかったんだけどね。
ウサミミマスターに会うと戦いよりも疲れるもんな‥
ギルドの中に入ると、いつもよりざわついている。
ギルド職員が走り回っており、受付業務も滞っている。
「何かあったのか?」
俺は近くの職員をつかまえて問いかける。
「申し訳ありません。今はお伝えする事が‥!マルコイ様!すみませんマルコイ様。ギルドマスターが話をしたい事があるというなので、応接室まで来ていただいてよろしいでしょうか。」
「構いませんけど‥」
なんだなんだ?
俺はギルド職員に連れられてギルドの応接室に入る。
「あら~ん、マルコイちゃん!今ちょうどマルコイちゃん達を呼びに行かせたところなのよ!ちょっと早急に伝えたい事があって。」
ずずいとイザベラさんが近寄ってくる。
もちろん俺はずずいと離れる。
「んもう!大事な話があるって言ってるのに!」
離れていても話は出来るはずだ。
あまり近いと、怖くて話が頭に入ってこないので非効率的だ。
「それで話ってのは?」
「本当はみんなが揃って話をしようと思ってたんだけど‥」
みんな‥?
俺たち以外にも呼んでるのか?
「とりあえずマルコイちゃんには先に伝えておくわ。マルコイちゃん達が防衛したプリカで内乱が起こったわ。」
「なに!?」
「プリカのヨエク将軍が起こした内乱で、そのままヨエク将軍が王になったと宣言されたわ。」
ヨエク将軍‥
まさかそこまでするとは思わなかった。
「それで王様は無事なのか?」
俺は王様の事が気になり、イザベラさんに問いかける。
「王様の安否は不明よ。その場で殺されたという報告は上がってきてないけど、行方不明になってるみたいね。」
くそっ‥
だがもしかしたら生きているのかもしれない。
だとしたら‥
「それじゃあ今から冒険者集めてプリカの奪還の依頼って事か?」
「いいえ。冒険者ギルドは他国の事情には関与しないわ。正式に依頼が有れば受けるのは自由だけど、ギルドからの依頼はしないわよ。」
「なっ!なんでだ?プリカが襲われた時は助けに行っただろ?」
「それは相手がモンスターだったからよ。人相手、それに国の問題で有れば、その国で解決する必要があるし、基本ギルドが国に干渉する事は禁じられてるから。」
そ、それはそうだが‥
くそっ‥
それならそれで俺たちだけでもプリカに行ってやる‥
「はぁ‥マルコイちゃんったら‥随分とプリカの王様の事を気に入ったみたいなのね。私嫉妬しちゃうわ。それじゃあ今から独り言を言うわね。」
独り言?
「プリカが混乱していて、プリカにある冒険者ギルドと連絡が取れなくなってるの。誰かに依頼して冒険者ギルドの状態を確認してもらわないといけないわ。ただ内乱が起きて危険な状態だから、高ランク冒険者が確認に行ってくれると助かるんだけど‥もし行ってくれるなら、プリカ行きの大義名分もできるし向こうに怪しまれる事もないと思うんだけど‥」
くそっ!
イザベラさんがいい女に見えるぞ!
しかしイザベラさんにはお見通しってわけか。
上手く乗せられた気もするけど、俺としては願ったり叶ったりだ。
「わかった。その依頼、俺たちで受けよう。」
「あら?ありがとうマルコイちゃん。そんなに報酬も渡せないのに危険な依頼だから、受けてくれる人を探すのに苦労しそうだったのよ。助かるわ。チュッ!」
恐ろしい投げキッスが飛んできた。
俺は背骨が折れんばかりの勢いで反り返ってそれを避ける。
「んもうっ!マルコイちゃんのいけず!」
冗談じゃない。
そんな呪いをまともに受けてたまるか。
さて後はアキーエたちにも確認しないとな。
多分本来は俺たちも関与しない方がいいのだろう。
俺も国ことなんてどうでもいい。
俺はただ、自分が助けたいと思った人を助けに行くだけだ。
-------------------------------------------
近況にも書いてますが、ブログ始めました。
遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!
https://ogicon3777.com
本当は獣人国のギルドにはあまり近寄りたくなかったんだけどね。
ウサミミマスターに会うと戦いよりも疲れるもんな‥
ギルドの中に入ると、いつもよりざわついている。
ギルド職員が走り回っており、受付業務も滞っている。
「何かあったのか?」
俺は近くの職員をつかまえて問いかける。
「申し訳ありません。今はお伝えする事が‥!マルコイ様!すみませんマルコイ様。ギルドマスターが話をしたい事があるというなので、応接室まで来ていただいてよろしいでしょうか。」
「構いませんけど‥」
なんだなんだ?
俺はギルド職員に連れられてギルドの応接室に入る。
「あら~ん、マルコイちゃん!今ちょうどマルコイちゃん達を呼びに行かせたところなのよ!ちょっと早急に伝えたい事があって。」
ずずいとイザベラさんが近寄ってくる。
もちろん俺はずずいと離れる。
「んもう!大事な話があるって言ってるのに!」
離れていても話は出来るはずだ。
あまり近いと、怖くて話が頭に入ってこないので非効率的だ。
「それで話ってのは?」
「本当はみんなが揃って話をしようと思ってたんだけど‥」
みんな‥?
俺たち以外にも呼んでるのか?
「とりあえずマルコイちゃんには先に伝えておくわ。マルコイちゃん達が防衛したプリカで内乱が起こったわ。」
「なに!?」
「プリカのヨエク将軍が起こした内乱で、そのままヨエク将軍が王になったと宣言されたわ。」
ヨエク将軍‥
まさかそこまでするとは思わなかった。
「それで王様は無事なのか?」
俺は王様の事が気になり、イザベラさんに問いかける。
「王様の安否は不明よ。その場で殺されたという報告は上がってきてないけど、行方不明になってるみたいね。」
くそっ‥
だがもしかしたら生きているのかもしれない。
だとしたら‥
「それじゃあ今から冒険者集めてプリカの奪還の依頼って事か?」
「いいえ。冒険者ギルドは他国の事情には関与しないわ。正式に依頼が有れば受けるのは自由だけど、ギルドからの依頼はしないわよ。」
「なっ!なんでだ?プリカが襲われた時は助けに行っただろ?」
「それは相手がモンスターだったからよ。人相手、それに国の問題で有れば、その国で解決する必要があるし、基本ギルドが国に干渉する事は禁じられてるから。」
そ、それはそうだが‥
くそっ‥
それならそれで俺たちだけでもプリカに行ってやる‥
「はぁ‥マルコイちゃんったら‥随分とプリカの王様の事を気に入ったみたいなのね。私嫉妬しちゃうわ。それじゃあ今から独り言を言うわね。」
独り言?
「プリカが混乱していて、プリカにある冒険者ギルドと連絡が取れなくなってるの。誰かに依頼して冒険者ギルドの状態を確認してもらわないといけないわ。ただ内乱が起きて危険な状態だから、高ランク冒険者が確認に行ってくれると助かるんだけど‥もし行ってくれるなら、プリカ行きの大義名分もできるし向こうに怪しまれる事もないと思うんだけど‥」
くそっ!
イザベラさんがいい女に見えるぞ!
しかしイザベラさんにはお見通しってわけか。
上手く乗せられた気もするけど、俺としては願ったり叶ったりだ。
「わかった。その依頼、俺たちで受けよう。」
「あら?ありがとうマルコイちゃん。そんなに報酬も渡せないのに危険な依頼だから、受けてくれる人を探すのに苦労しそうだったのよ。助かるわ。チュッ!」
恐ろしい投げキッスが飛んできた。
俺は背骨が折れんばかりの勢いで反り返ってそれを避ける。
「んもうっ!マルコイちゃんのいけず!」
冗談じゃない。
そんな呪いをまともに受けてたまるか。
さて後はアキーエたちにも確認しないとな。
多分本来は俺たちも関与しない方がいいのだろう。
俺も国ことなんてどうでもいい。
俺はただ、自分が助けたいと思った人を助けに行くだけだ。
-------------------------------------------
近況にも書いてますが、ブログ始めました。
遊びに来ていただけたら嬉しいです!修正している本編や、書いている時に考えてた事などを載せてます!
https://ogicon3777.com
10
お気に入りに追加
557
あなたにおすすめの小説
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
婚約破棄と領地追放?分かりました、わたしがいなくなった後はせいぜい頑張ってくださいな
カド
ファンタジー
生活の基本から領地経営まで、ほぼ全てを魔石の力に頼ってる世界
魔石の浄化には三日三晩の時間が必要で、この領地ではそれを全部貴族令嬢の主人公が一人でこなしていた
「で、そのわたしを婚約破棄で領地追放なんですね?
それじゃ出ていくから、せいぜいこれからは魔石も頑張って作ってくださいね!」
小さい頃から搾取され続けてきた主人公は 追放=自由と気付く
塔から出た途端、暴走する力に悩まされながらも、幼い時にもらった助言を元に中央の大教会へと向かう
一方で愛玩され続けてきた妹は、今まで通り好きなだけ魔石を使用していくが……
◇◇◇
親による虐待、明確なきょうだい間での差別の描写があります
(『嫌なら読むな』ではなく、『辛い気持ちになりそうな方は無理せず、もし読んで下さる場合はお気をつけて……!』の意味です)
◇◇◇
ようやく一区切りへの目処がついてきました
拙いお話ですがお付き合いいただければ幸いです
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます
ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう
どんどん更新していきます。
ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる