上 下
646 / 953
力戦奮闘

悪い予感

しおりを挟む
なんだろう‥‥?

首の後ろがゾクゾクする‥

何かこの先嫌な事が起こりそうな気がする‥

魔族が何かしてくるのか?

それとも別の何かだろうか‥


でも何故か獣人国方面からの悪寒のような気がする。
この戦いを乗り越えても新たな戦いの予感が‥
しかも負け戦のような‥


まあ今考えても仕方ない。

今は目の前の戦場に集中しよう。



戦況は神聖国側優位に動いている。

神聖国にも多少の被害は出ているようだが、帝国はその比ではない。

アシュラ君部隊が帝国兵の中に入り込み、敵を翻弄しているからだ。

特にラケッツさんが凄い。

多脚魔道具速いぞ君で敵の集団に突っ込んで、アシュラ君で敵をタコ殴りにしている。

魔道具を操作しているラケッツさんはというと‥

すっごい笑ってる‥

奇声を発して戦っている。

何故かラケッツさんの方が敵役に見えるなぁ‥

「ん?」

その八面六臂の活躍をしているラケッツさんに近寄る奴がいる。

ラケッツさんまでの道を開けるために、近くの帝国兵を投げ飛ばし、踏みつけながら進んでいる。

そして其奴はラケッツさんの前まで辿り着いた。






「ひゃはっ!お前すげーじゃねーか!その魔道具みたいな物のおかげなんだろうけどよ!まあでもここまでだ!姉さんからお前を始末しろって命令されたからよ!諦めて泣き叫んでもらうぞ!」

「あっはっは!確かにこの力は俺の力ではない。しかし俺はこの魔道具を使いこなし、この力をひきだしているのだ!つまりこの魔道具を使う俺が俺であり真の俺、新生ラケッツなのだ!」



ラケッツさんが敵と何か話をしているようだが‥
心配だけど、戦況がどう動くかわからない今、ラケッツさんのところに行くわけにはいかない。

危なくなったら、魔道具を使って逃げるんだぞ!



「ふひゃ!そうかそうか!その魔道具とお前は一心同体なわけか!おもしれえ!俺は弱い者イジメも好きなんだけど、偉そうな奴の精神をポッキリ折るのも好きなんだぜ!お前の心がどのくらいで折れるか試そうか!」

ラーシュはラケッツに向けて駆け出す。

ラケッツは悠然と構え、ラーシュの出方を伺っている。

ラーシュは腕に鉤状の3本の爪を生やした武器を装着している。

「お前の血を見せろーーっ!」

ラーシュは鉤爪を上段から振り下ろす。

ラケッツの多腕魔道具が反応し、攻撃を防ごうとラケッツの頭の上に腕を伸ばす。

「ひゃはっ!そんな木製の魔道具なんぞぶった斬ってやるぜ!」

ラーシュはトリプルスキル持ちであり、うち1つが【鋭角化】であり自身の持つ武器の切れ味を最大限に上げるものである。

軽い武器でさえ、鉄さえも切り裂くような切れ味になる。

ラーシュは鉤爪を好んで使用し、相手の身体を盾や防具ごと切り裂く事を楽しんでいた。

自分のスキルに絶対の自信を持つラーシュは力任せに鉤爪を振り下ろした。

勇猛な事を言っていたこの男が、魔道具ごと自分の身体を切り裂かれ泣き叫ぶ姿が目に浮かぶ。
命乞いするだろうか‥?
その姿を見て四肢を一本ずつ切り落としてやろう。
この先に起こる事を考えながら笑みを浮かべる。



次の瞬間、自分の身に不可解な事が起こる。

振り下ろしたはずの腕が大きく弾かれたのだ。

「へ?」

そして場違いな声を発したラーシュの顔に多腕魔道具の殴打が入る。

「ほげっ!」

そんな声を上げながらラーシュは宙に舞った‥

視界が回る。

身体の動きが止まり、空が視界に入る。
そしてようやく自分が地面に転がされた事に気づいた。

なんだ?
何が起こった?

そう思い、身体を起こして自分が切り裂いたはずの男を見る。

すると男は多腕魔道具を構えたまま此方を見下ろしていた。

「ふはっ!そんな攻撃など、この魔道具王ラケッツに通じるわけがないだろう!お前の攻撃など、このアシュラの前ではそよ風程度だ!」
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

異世界で作ろう!夢の快適空間in亜空間ワールド

風と空
ファンタジー
並行して存在する異世界と地球が衝突した!創造神の計らいで一瞬の揺らぎで収まった筈なのに、運悪く巻き込まれた男が一人存在した。 「俺何でここに……?」「え?身体小さくなってるし、なんだコレ……?[亜空間ワールド]って……?」 身体が若返った男が異世界を冒険しつつ、亜空間ワールドを育てるほのぼのストーリー。時折戦闘描写あり。亜空間ホテルに続き、亜空間シリーズとして書かせて頂いています。採取や冒険、旅行に成長物がお好きな方は是非お寄りになってみてください。 毎日更新(予定)の為、感想欄の返信はかなり遅いか無いかもしれない事をご了承下さい。 また更新時間は不定期です。 カクヨム、小説家になろうにも同時更新中

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!

七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」 その天使の言葉は善意からなのか? 異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか? そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。 ただし、その扱いが難しいものだった。 転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。 基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。 ○○○「これは私とのラブストーリーなの!」 主人公「いや、それは違うな」

女神に冷遇された不遇スキル、実は無限成長の鍵だった

昼から山猫
ファンタジー
女神の加護でスキルを与えられる世界。主人公ラゼルが得たのは“不遇スキル”と揶揄される地味な能力だった。女神自身も「ハズレね」と吐き捨てるほど。しかし、そのスキルを地道に磨くと、なぜかあらゆる魔法や武技を吸収し、無限成長する力に変化。期待されていなかったラゼルは、その才能を見抜いてくれた美女剣士や巫女に助けられ、どん底から成り上がりを果たす。

処理中です...