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魔王の影

スキル【刀纏水姫】

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「ふ~ん。なんてスキルなの?」

アキーエにはスキル名が伝わっていないので説明する。

「スキルは【刀纏水姫】ってスキルだ。【タイムクラブ】の他にスキル【属性魔法:霧】を譲与結合してできたスキルだ。」

「マルコイが渡した【属性魔法:霧】の効果が何かわからないけど、前に渡した【タイムクラブ】で相手を弱体化するだけじゃなくて、自分やパーティ全体を強化する事ができるスキルって事なのかな。」

「ん。だいたいアキーエのであってる。」

なるほど。

パーティ全体を補助する事ができるスキルって事か。

個人としても強いリルが、味方の能力を上げる事が出来るなんて‥

最強じゃね?

「リルの目もかわった。弱点も見えるけど、悪いとこも見える。傷もなおせる。」

そりゃすごい。

「でもからだの力使うから、体力はなくなるみたい。」

なるほど。
自分の自己治癒力を高めて傷を治すって事になるのかな?

「パーティを強く出来るって何人くらいだ?」

「ん?ちかくにいる人はぜんぶ。この家と外の訓練してるところまでは大丈夫。あと強くできる人えらべる。」

「それは凄いな。相手を弱くするってのは?」

「直接斬ったらゆっくりになるけど、斬らなくてもじゃまして少しゆっくりになる。」

俺のエンチャント:氷のようなものか?
でもおそらく譲与結合の中にあるスキル【属性魔法:霧】が元になったものだろう。
だとしたら霧状の物だから不可視に近いと思う。

「範囲は?」

「こっちのが強くするより、たくさんできる。」

「強化するよりも広い範囲で使う事ができるってことか?」

「ん。」

そう言ってリルは頷いた。

えっと‥

これって、魔王軍との戦いにリルを投下したらだいたい勝てるんじゃないか?

やばい兵器を世に送り出してしまった気がするんだけど‥

味方の軍は強くなって、相手は弱くなる。
その上味方は傷ついても回復するとか何それ?

「これで打倒マルコイがじつげんする‥」

「いや、そこは打倒魔王だろ!」

「あ、そうだった。まちがえた。」

本当に間違えたと思っているのか‥?

(ピコーンッ!)

頭の中にいつもの音が響く。

は?

いや、譲与結合までしてしまったんだ。
これ以上何があるんだ?

『譲与結合のスキルレベルで既定を超えているスキルがあります。条件を満たしました。スキル還元しますか?』

スキルの還元?
どういう意味だ?

『スキル還元できるのはスキル【魔闘士Lv.5】になります。スキル還元しますか?』

意味がわからない。
意味がわからないけど‥

これはやってはいけない選択だと思う。

スキル還元‥

予想ではあるが、アキーエに渡したスキルを俺の元に戻すって意味じゃないだろうか?

頭に響いた声は既定レベルに達したから、相手から還元してもらうって事を言った。

それが借りれたりするのであればいいのだが、俺に還元する事でアキーエのスキルが無くなる可能性があるんじゃないか?

そんな危険な事をする必要がない。

「どうしたのマルコイ?真剣な顔して。」

「あんしんしろマルコイ。マルコイをたおすのは魔王のあとにしてやるから。」

「魔王の後でもお断りするわっ!なんで俺を倒す前提になってるんだ!」

まったく‥

このスキル還元については、みんなに話す必要はないだろう。

そのうち、アキーエだけに話す事にしておこう‥






次の日、俺は朝から動き出した。
さてさて、スキルの模倣も譲渡も終わったから、今日からせっせと魔道具作りに励む事にするか。

結構早起きしてしまったが、決して楽しみで早く起きたわけではない。

少しドキドキして早く起きただけだ。

獣王様からもらった家は庭も広く、アレカンドロが訓練しても全然問題ないくらいの大きさだ。

その隅にちょっと広めの小屋を建てる。
【スードウクリエイター】で作った物だから、簡素な小屋だけど物作りに使うだけだから問題ない。

外には『入るな危険』の立札を立てる。

さーて、楽しい物作りの時間ですよ。
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