599 / 953
魔王の影
神聖国へ
しおりを挟む
冒険者ギルドで情報をもらった後は、すぐに動かずに拠点で活動していた。
日々の生活も落ち着きつつあった。
パーティメンバーも勇者たちも、魔王戦に向けて訓練をしている。
俺も魔道具を作ったり、訓練に参加してアレカンドロと模擬戦したり、バラックスさんやリルとの模擬戦から逃げたりといった生活をしていた。
獣王様の模倣できるスキルの提供については、しばらく時間がかかりそうとの事で、気長に待つ事にした。
魔道具作りもひと段落したので、気になる事を片付ける事にした。
まずは神聖国に行って、現在の神聖国の状態と隣接する帝国の動きを調べたい。
そうなると現聖王と面識のある、『影法師』のイコルで行くべきだよな。
「アキーエ。ちょっと神聖国に出かけてくる。多分夜には帰ってくると思うけど、状況によっては一泊してくるかも。」
「はーい。何かこっちで用意しておくものとかあるの?」
「いや、今はいいかな。何か必要になったら連絡するよ。」
「わかったわ。」
よし、それじゃあ転移で神聖国へ行‥
「出張に行く前の旦那を見送る妻かっ!」
おおっ!
いきなりあやめに絡まれた。
「なんだよいきなり。」
「真っ昼間っからイチャつくんじゃないわよ、まったく!」
そんな事はないとは思うが‥
「それにちょっとそこまでの雰囲気で歩いて2週間はかかるような所に行くんじゃないわよ!まったく、これだからチート持ちは‥」
するとそばに居た卓が何かブツブツ言っている。
「マルコイさんのチートである転移は魔法での転移だ。だから全属性の魔法が使える僕であればマルコイさんほどではないとはいえ、使えるようになるはずだ‥」
そう言えば卓のスキルは模倣してなかった気がする。
神聖国から帰ってきたら、模倣させてもらおうかな。
まあ俺が見ただけで膝から崩れ落ちないようになってからの話かな‥
「とりあえず行ってくるよ。急な用事があるようならこれに魔力を込めてもらったらいいから。」
そう言って俺はアキーエに小さなボールのような物を渡す。
「言葉のやりとりはできなかったけど、魔力感知できる魔道具は作れたんだ。その魔道具に魔力を込めてくれたら、俺が持ってる魔道具が光るんだ。」
相互間で光るだけだけど、緊急時としてはあった方がいいだろう。
「それじゃあ行ってくるよ。」
俺は仲間たちに見送られて神聖国に転移した。
視界の端にミミウがソーセージを食べている姿が入った。
あれ?
もう商品したの?
さすがのスピードだな。
ホット商会の商品化や業務拡大のスピードは目を見張るものがあるな‥
いや、スピード早すぎだろ‥
久しぶりに神聖国に来た。
久しぶりとは言え、そこまで時間は経っていないつもりだったんだけど‥
『影法師』を隠している廃教会に転移で移動して、『スペース』に人形を入れて外に出た。
しばらく歩くと、大通りに出る。
以前来た時は閑散とした通りだったのだが、今はかなりの人通りがある。
それはいいのだが‥
白を基調とした通りに、明らかに場違い感がある店が建ち並んでいる。
『タルタルサンド』、『飯処タルタル』、『雑貨屋タルタル』‥
その全てにホット商会の名前が入っている。
雑貨屋なんて、同じような店ができたら名前は何にするんだろう‥
タルタル二号店なんだろうか‥
いや、そんな事が問題なんじゃない。
なんちゅー速さで事業展開してるんだ?
出る時見たソーセージもそうだが、進むと決めた時のキリーエの動きの速さがちょっと怖い。
しかし‥
街を歩く人たちの表情が明るくなったような気がする。
白を基調とした厳正な雰囲気で日々生活をしていた人たちが、徐々にだが色のついた生活を送ろうとしている。
何かに怯えながら必死に作り笑顔をしていた人たちはもういないようだ。
いい顔で笑う人や、子供の声も聞こえる。
食事を会話しながら楽しそうにとっている人たちがいる。
こうやって見ていると、ホット商会のおかげなんだろうと思えてくる。
白い世界にホット商会って色が混ざっていい感じになっていくといいけどな。
日々の生活も落ち着きつつあった。
パーティメンバーも勇者たちも、魔王戦に向けて訓練をしている。
俺も魔道具を作ったり、訓練に参加してアレカンドロと模擬戦したり、バラックスさんやリルとの模擬戦から逃げたりといった生活をしていた。
獣王様の模倣できるスキルの提供については、しばらく時間がかかりそうとの事で、気長に待つ事にした。
魔道具作りもひと段落したので、気になる事を片付ける事にした。
まずは神聖国に行って、現在の神聖国の状態と隣接する帝国の動きを調べたい。
そうなると現聖王と面識のある、『影法師』のイコルで行くべきだよな。
「アキーエ。ちょっと神聖国に出かけてくる。多分夜には帰ってくると思うけど、状況によっては一泊してくるかも。」
「はーい。何かこっちで用意しておくものとかあるの?」
「いや、今はいいかな。何か必要になったら連絡するよ。」
「わかったわ。」
よし、それじゃあ転移で神聖国へ行‥
「出張に行く前の旦那を見送る妻かっ!」
おおっ!
いきなりあやめに絡まれた。
「なんだよいきなり。」
「真っ昼間っからイチャつくんじゃないわよ、まったく!」
そんな事はないとは思うが‥
「それにちょっとそこまでの雰囲気で歩いて2週間はかかるような所に行くんじゃないわよ!まったく、これだからチート持ちは‥」
するとそばに居た卓が何かブツブツ言っている。
「マルコイさんのチートである転移は魔法での転移だ。だから全属性の魔法が使える僕であればマルコイさんほどではないとはいえ、使えるようになるはずだ‥」
そう言えば卓のスキルは模倣してなかった気がする。
神聖国から帰ってきたら、模倣させてもらおうかな。
まあ俺が見ただけで膝から崩れ落ちないようになってからの話かな‥
「とりあえず行ってくるよ。急な用事があるようならこれに魔力を込めてもらったらいいから。」
そう言って俺はアキーエに小さなボールのような物を渡す。
「言葉のやりとりはできなかったけど、魔力感知できる魔道具は作れたんだ。その魔道具に魔力を込めてくれたら、俺が持ってる魔道具が光るんだ。」
相互間で光るだけだけど、緊急時としてはあった方がいいだろう。
「それじゃあ行ってくるよ。」
俺は仲間たちに見送られて神聖国に転移した。
視界の端にミミウがソーセージを食べている姿が入った。
あれ?
もう商品したの?
さすがのスピードだな。
ホット商会の商品化や業務拡大のスピードは目を見張るものがあるな‥
いや、スピード早すぎだろ‥
久しぶりに神聖国に来た。
久しぶりとは言え、そこまで時間は経っていないつもりだったんだけど‥
『影法師』を隠している廃教会に転移で移動して、『スペース』に人形を入れて外に出た。
しばらく歩くと、大通りに出る。
以前来た時は閑散とした通りだったのだが、今はかなりの人通りがある。
それはいいのだが‥
白を基調とした通りに、明らかに場違い感がある店が建ち並んでいる。
『タルタルサンド』、『飯処タルタル』、『雑貨屋タルタル』‥
その全てにホット商会の名前が入っている。
雑貨屋なんて、同じような店ができたら名前は何にするんだろう‥
タルタル二号店なんだろうか‥
いや、そんな事が問題なんじゃない。
なんちゅー速さで事業展開してるんだ?
出る時見たソーセージもそうだが、進むと決めた時のキリーエの動きの速さがちょっと怖い。
しかし‥
街を歩く人たちの表情が明るくなったような気がする。
白を基調とした厳正な雰囲気で日々生活をしていた人たちが、徐々にだが色のついた生活を送ろうとしている。
何かに怯えながら必死に作り笑顔をしていた人たちはもういないようだ。
いい顔で笑う人や、子供の声も聞こえる。
食事を会話しながら楽しそうにとっている人たちがいる。
こうやって見ていると、ホット商会のおかげなんだろうと思えてくる。
白い世界にホット商会って色が混ざっていい感じになっていくといいけどな。
10
お気に入りに追加
554
あなたにおすすめの小説

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

集団転移した商社マン ネットスキルでスローライフしたいです!
七転び早起き
ファンタジー
「望む3つのスキルを付与してあげる」
その天使の言葉は善意からなのか?
異世界に転移する人達は何を選び、何を求めるのか?
そして主人公が○○○が欲しくて望んだスキルの1つがネットスキル。
ただし、その扱いが難しいものだった。
転移者の仲間達、そして新たに出会った仲間達と異世界を駆け巡る物語です。
基本は面白くですが、シリアスも顔を覗かせます。猫ミミ、孤児院、幼女など定番物が登場します。
○○○「これは私とのラブストーリーなの!」
主人公「いや、それは違うな」

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!
小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。
しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。
チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。
研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。
ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。
新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。
しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。
もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。
実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。
結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。
すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。
主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
スキル盗んで何が悪い!
大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物
"スキル"それは人が持つには限られた能力
"スキル"それは一人の青年の運命を変えた力
いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。
本人はこれからも続く生活だと思っていた。
そう、あのゲームを起動させるまでは……
大人気商品ワールドランド、略してWL。
ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。
しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……
女の子の正体は!? このゲームの目的は!?
これからどうするの主人公!
【スキル盗んで何が悪い!】始まります!


劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる