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魔王の影
とある武具店
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ドワーフの男性に呼び込まれて、店の中に入る。
「いらっしゃい!この村じゃ村人にはあまり武具は売れないんだが、お兄さんみたいな旅の人がたまに買ってくれるんだよ。あ、だからと言って買ってくれって言ってるわけじゃないぜ。見てくれるだけで充分だ。でも置いている武具は俺が作っている自慢の品物だ。気に入ったら言ってくれ。少しはサービスするぜ。」
確かに自慢の品物と言うだけあって、置いてある武具はどれも一級品だ。
俺たち基本的に攻撃を避けるために、動きやすい装備を使っている。
そして手入れもしているけど、それでも消耗はする。
獣人国で何か買おうかとも思っていたけど、ここで買ってもいいのかもしれないな。
そう思い、しばらく店の中を見て回る。
うん、やはり全てがかなりの品物だな。
これだけの腕を持った人が、大きくなったとはいえあまり知られていないような村にいるのも珍しいものだ。
「素人の自分でもわかるくらい高水準の物ばかりなんですが、元々どこかで店をされてたんですか?」
この村にいるのは不自然過ぎて思わず聞いてしまう。
するとドワーフの男性は先程までの陽気な態度ではなく、急に悲痛な表情で話し始める。
「そうですね。ずっと昔は母国で鍛治士としてやってたんですけど、ちょっと問題を起こしてしまってね‥それで流浪してたんですが、この村に拾ってもらって。それからはこちらでお世話になっています。」
問題を起こして‥?
この村の人が受け入れたんだから悪い人じゃないんだろうけど、どんな問題を起こしたのか気になるな‥
犯した問題が人として許されない行為であれば、いずれまた何か起こすのではないだろうか‥?
その問題がこの人自身の問題であれば聞いて答えるとは思えないが、言い淀むようであればキリーエに一言言っておくべきかもしれない。
「そうなんですか‥差し支えなければどんな事なのか教えてもらえますか?」
「はは‥やはり気になりますよね‥」
ドワーフの男性はアキーエとミミウを見る。
「そうですね‥守るべき人を失ってしまったんです。自分が命をかけて守るべき人を失ってしまった。それも自分が敬愛するお方からお預かりした大事な人だったんですけどね‥」
守るべき人‥?
「すみません、こんな事聞いたら本当はいけないんでしょうけど、恋人か何かだったんでしょうか?」
「いや、そうではありません。自分がお仕えしていたお方のお子様を失ったんです。また幼い乳飲み児をね。」
それは‥
確かに母国にいるのは辛いだろう。
「当時戦争中だったのでお仕えしていた方は仕方ないとは言ってくださったのですが‥私が犯してしまった事はとても許される事ではありませんでした。私の立場上国外追放になりましたが、本来であれば死んで詫びる必要がありましたから‥」
そうだったんだな‥
とても嘘を言ってるようには思えない。
悪い事を聞いてしまったな。
「死ぬ事も考えましたが、お仕えしている方に死ぬなと言われましたので、今もこうやって生き恥を晒しております。すみませんね、初対面の方にこんな話をしてしまって‥」
「いえ、俺の方から聞いた事ですから。こちらこそすみません。辛い話をさせてしまって。」
「私も誰かに話したかったんだと思います。この村に住んでいる方に話した事はなかったのですが、少しスッキリしました。もしそのお子様が生きていたら、ちょうどお嬢さん方くらいの年齢だと思い、ついつい話をしてしまいました。私があの時、お子様を抱えたまま囲まれたモンスターを倒せたらよかったんですが、危険だと思い森の木のそばに眠っていたお子様を置いてしまったんです‥」
森の木のそばに置かれた子供‥
「すみません、貴方の母国はどちらになるんですか?」
「私ですか?私はドワーフ国家トールルズになります。」
ドワーフの王国か‥
「いらっしゃい!この村じゃ村人にはあまり武具は売れないんだが、お兄さんみたいな旅の人がたまに買ってくれるんだよ。あ、だからと言って買ってくれって言ってるわけじゃないぜ。見てくれるだけで充分だ。でも置いている武具は俺が作っている自慢の品物だ。気に入ったら言ってくれ。少しはサービスするぜ。」
確かに自慢の品物と言うだけあって、置いてある武具はどれも一級品だ。
俺たち基本的に攻撃を避けるために、動きやすい装備を使っている。
そして手入れもしているけど、それでも消耗はする。
獣人国で何か買おうかとも思っていたけど、ここで買ってもいいのかもしれないな。
そう思い、しばらく店の中を見て回る。
うん、やはり全てがかなりの品物だな。
これだけの腕を持った人が、大きくなったとはいえあまり知られていないような村にいるのも珍しいものだ。
「素人の自分でもわかるくらい高水準の物ばかりなんですが、元々どこかで店をされてたんですか?」
この村にいるのは不自然過ぎて思わず聞いてしまう。
するとドワーフの男性は先程までの陽気な態度ではなく、急に悲痛な表情で話し始める。
「そうですね。ずっと昔は母国で鍛治士としてやってたんですけど、ちょっと問題を起こしてしまってね‥それで流浪してたんですが、この村に拾ってもらって。それからはこちらでお世話になっています。」
問題を起こして‥?
この村の人が受け入れたんだから悪い人じゃないんだろうけど、どんな問題を起こしたのか気になるな‥
犯した問題が人として許されない行為であれば、いずれまた何か起こすのではないだろうか‥?
その問題がこの人自身の問題であれば聞いて答えるとは思えないが、言い淀むようであればキリーエに一言言っておくべきかもしれない。
「そうなんですか‥差し支えなければどんな事なのか教えてもらえますか?」
「はは‥やはり気になりますよね‥」
ドワーフの男性はアキーエとミミウを見る。
「そうですね‥守るべき人を失ってしまったんです。自分が命をかけて守るべき人を失ってしまった。それも自分が敬愛するお方からお預かりした大事な人だったんですけどね‥」
守るべき人‥?
「すみません、こんな事聞いたら本当はいけないんでしょうけど、恋人か何かだったんでしょうか?」
「いや、そうではありません。自分がお仕えしていたお方のお子様を失ったんです。また幼い乳飲み児をね。」
それは‥
確かに母国にいるのは辛いだろう。
「当時戦争中だったのでお仕えしていた方は仕方ないとは言ってくださったのですが‥私が犯してしまった事はとても許される事ではありませんでした。私の立場上国外追放になりましたが、本来であれば死んで詫びる必要がありましたから‥」
そうだったんだな‥
とても嘘を言ってるようには思えない。
悪い事を聞いてしまったな。
「死ぬ事も考えましたが、お仕えしている方に死ぬなと言われましたので、今もこうやって生き恥を晒しております。すみませんね、初対面の方にこんな話をしてしまって‥」
「いえ、俺の方から聞いた事ですから。こちらこそすみません。辛い話をさせてしまって。」
「私も誰かに話したかったんだと思います。この村に住んでいる方に話した事はなかったのですが、少しスッキリしました。もしそのお子様が生きていたら、ちょうどお嬢さん方くらいの年齢だと思い、ついつい話をしてしまいました。私があの時、お子様を抱えたまま囲まれたモンスターを倒せたらよかったんですが、危険だと思い森の木のそばに眠っていたお子様を置いてしまったんです‥」
森の木のそばに置かれた子供‥
「すみません、貴方の母国はどちらになるんですか?」
「私ですか?私はドワーフ国家トールルズになります。」
ドワーフの王国か‥
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