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勇者の救出

神聖国への襲撃⑤

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「い、いや!ち、ちがうぞ!わ、我は王ではない。そうだ!我は枢機卿と言う王の次に偉い者だ。だからお主に進言させてもらったのだ!」

ほう。
まだそんな事を言うのか‥

「貴様っ!これ以上我を愚弄するつもりか!良かろう、その頭喰い千切ってくれるわっ!」

「ち、違う!す、すまなかった!ドラゴンのお主にはわからぬかもしれんが、我はこの国の代表だ!ここで我が命を落とせば、この国とこの国の信者の未来が消えてしまうのだ!」

いや、お前がいなくなった方が明るい未来が来ると思うぞ。

「ほう。この国の信者とな‥お主は神の代行者であるのか?」

「そ、そうだ!我は女神ウルスエート様の代行者としてこの国を治めている。だから我に手を出す事は女神ウルスエート様に弓引くと同じ事になるのだ!」

「ふむ‥しかしお主からは一切女神ウルスエートの匂いや加護が見えんぞ。お主の側には女神ウルスエートはおらん。もしやそれも偽りか?」

「なっ!そんな事はない!我は女神ウルスエート様の敬虔な信者だ!だからこそ女神ウルスエート様の代わりにこの国を治めているのだ!」

「なるほどな。ではお前は女神の神託を受けたと言う事か?それとも神託も受けずに女神の代行者を語っているのか?笑わせるなっ!それだけで貴様の存在は万死に値する!」

「ヒ、ヒィッ!」

俺が聖王の間近で唸り声んを上げると、聖王は腰を抜かしたのかその場に座り込み小さな悲鳴を上げる。

「ドラゴン殿。申し訳ない。怒りを収めてはもらえないだろうか‥」

そこに数人の騎士を連れた男がやってきた。

待ち人来るってところか。

グルンデルは朽ちた教会で会った時と違い、教会のお偉いさんが着るような正装で現れた。

「ふむ。お主は何者だ?」

「私はグルンデルと申します。この国で枢機卿として女神ウルスエート様を崇めさせていただいています。」

「おお!グルンデル!あ、あのドラゴンの怒りを沈めてくれ!」

聖王はグルンデルが現れた事で、責任を押し付けられると思ったのか、擦り寄っている。

あ、聖王がいた場所に水溜りができてる。

「ほう。お主は女神ウルスエートの信者なのか?その割には違う神の匂いがするぞ。女神ウルスエートよりも、その神の匂いの方が強い。お前は女神ではなく、違う神を崇めているのではないか?」

「そこまでわかられますか‥確かに私は女神ウルスエート様を敬っておりますが、今は違う神を崇めております。」

「そうであろう。随分と若い神だが、良い神のようだな。お主を加護を見ればわかる。神の名は何という。」

「はい。私が奉っております神はタルタル神様でございます。」

「なるほどの。タルタル神か‥彼の神は我も神託を受けさせていただいた事がある。」

「おお!そうでありますか!私はまだ神託を受けさせていただいておりませぬが、タルタル神様への信仰心は誰よりも強いつもりでおります。」

やめて。
神託って言っても自分の事だから。
俺が思う中で、この方法が1番いいと思ったんだけど、間違ってるような気がしてならない‥
後で大変な事になったりしないよね‥?

「グルンデル貴様!神聖国を裏切るつもりか!この邪教徒め!」

「聖王アロイジウスよ。私は神聖国を裏切るつもりはありません。女神ウルスエート様も敬っておりますゆえ。私が弓引くのはあなた、聖王アロイジウスに対してです。他の神を奉る事を禁じ、女神の代行者である立場をいい事に、国を我が物としてきた。貴方が聖王となってから、行方不明になった信者が数えきれない程いる。貴方はこのまま聖王を続けるべきではない。」

「な、な、なな、何を言うかっ!我こそがウルスート神聖国の聖王アロイジウスぞ!ふ、不敬だ!き、騎士団よ!この邪教徒を今すぐ討ち取れい!」

聖王の号令により騎士団がグルンデルを取り囲もうとする。

「動くなっ!」

俺は魔力を練らずそのまま声と共に放つ。

「我の目から見てもどちらが正しいかわかるがな。ただお前らがその仮初の王を担ごうと言うのであれば、お前らの相手は我がしようぞ。」
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