上 下
520 / 953
勇者の救出

聖王と賢者

しおりを挟む
「ところで賢者の事だが‥どうだ?使い物になりそうか?」

「はっ!原因がわかりませんが、洗脳の魔道具の効果が薄れていくのは変わらず、新しく洗脳をかけたのですが効果なく賢者の中身が壊れかけているようです。」

「そうか‥せっかく都合よく使えそうな奴であったのに残念だな。他の者で代用出来んのか?」

「はっ!それが勇者達のパーティでは賢者が他の者を率いていたようで。他の者ではあまり効果がないと思われます。」

「そうか‥ならば全員洗脳するか?」

「しかしそれでは魔王討伐が難しくなるかと‥」

「ふむ‥面倒だな。また勇者を呼ぶ事は可能か?」

「はっ!今の魔力状況ではあと100年はかかるかと。」

「その魔力を早める事はできるのか?」

「えっ!あっ、も、申し訳ございません!」

「よい。それでどうなのだ?」

「はっ!‥‥‥魔法使いであれば人数を用意してギリギリまで魔力を吸い上げれば数年程度なら早くなるかと‥」

「そうか‥ならば魔法使いでもそれ以外でも死ぬまで魔力を吸い取って、すぐに召喚するためには何人程必要だ?」

「‥‥‥魔法使いであれば1,000人程度、そうでなけれれば10,000人程度と思われます‥」

「そうか。ならば邪教徒どもを拐ってこい。10,000程度であれば二月もあれば充分であろう。」

「‥‥はっ!」

「何か不満か?」

「いえ、決してそのような事は‥」

「ならば即取り掛かれ。召喚が済み次第、今の勇者は全員洗脳するがよい。」

「はっ!」

「ふん。どうせ勇者は黒目黒髪であろう。表に立つ勇者の姿が多少変わったところでわかりはせん。」

報告していた騎士がその場を去る。

「ふん。どれだけ魔道具を集めようとも我がウルスート神聖国の魔道具を超える物はない。勇者を召喚できる魔道具を超えるものはな。」

騎士ががいなくなり静かな空間に、男の呟きが響く。




おそらくこいつが聖王なんだろう。

こいつは駄目だ。

こいつが聖王である限り、多くの人が死ぬ。

それは俺の知らない人かもしれないし、知っている人かもしれない。

こんな奴を野放しにするべきではない。

今ここで殺すか?

いや、仮にも聖王。
この国のトップだ。

もし仕損じた時が、次が困難になる。

それに召喚の魔道具か‥?

それもどこにあるかわからない。
隠されてしまえば見つける事ができなくなる。

おそらく魔道具はこの大神殿にあるだろう。

だとしたら全てまとめて一変に破壊するしかない。

ここは我慢だ。

魔王が魔族以外を滅ぼそうとしているが、こいつが聖王である限り、魔王を倒しても意味がないんじゃないだろうか‥?

それにこの聖王だけが問題なのか?
もしかして今までの聖王もすべてこんな奴だったのか?


もう女神を祀ってるとか関係ないこの国は‥
止めないといけない。



勇者たちをこの国から出した後に召喚の魔道具を破壊する。

そこまではいいのだが、この大神殿を破壊してしまっては、この国の信仰対象がなくなり国として立ち行かなくなってしまう。

正しい女神を信仰できる人か、それ以外の信仰できる神でもいれば何とかなるのかもしれないが‥




考えても結論はでない。
今はとりあえず賢者が先だな。

俺はその場を離れ、賢者の元に向かう事にした‥



賢者がいる場所は牢獄のような場所だった。

魔道具の反応で近くまで来たが、それらしき部屋は外から確認できず、窓もなかったため他の場所から侵入して神殿内部に入る事にした。

魔道具の反応が部屋の中からあったため、鍵を破壊して中に入る事にした。

中に人がいたら問答無用で気絶してもらう予定だった。

しかし中には誰もおらず、ひとりの男が部屋のベッドに横たわっていた。

黒目黒髪の眼鏡をかけた男だった。
しかし彼の目には光がなく、表情もない。

賢者、財前卓は、窓も何もないベッドだけがある部屋で寝かされていた。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい

616號
ファンタジー
 不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

チートな嫁たちに囲まれて異世界で暮らしています

もぶぞう
ファンタジー
森でナギサを拾ってくれたのはダークエルフの女性だった。 使命が有る訳でも無い男が強い嫁を増やしながら異世界で暮らす話です(予定)。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...