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勇者の救出
聖都ウルス
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聖都に入り、大神殿の近くまで来たところで俺はお役御免となった。
荷物を下ろして、騎士に渡す。
「イコル、ご苦労だったな。しかし本当にこの量の荷物を1人で持って来れるとは大した物だ。俺はこれから明日までは忙しくと思うから、明後日以降に訪ねてくるがいい。」
「はい。ありがとうございます!」
「それとお前は大神殿には入る事はできん。街に滞在する事になるが、この街には宿がないのだ。しかし通常の神殿がいくつかあるから、そちらに泊めさせてもらうとよい。イルケルの紹介と言えば無下にはされん。まあ数日泊まっていれば、更に対応が変わると思うからそれまでそこに泊まっていてもいいぞ。ふっふっふ。」
「わかりました。何から何までありがとうございます。」
「ふふん。お前はなかなか気がきくし、体力もあるから使えそうだしな。あと俺を訪ねて来る前に、改宗は済ませておけよ。」
「はい。」
今の俺は睡眠が必要ないから、どこかに泊まる必要はない。
それに夜は色々と情報収集をする必要があるから教会に行く事はないだろう。
「それでは勇者様行きましょう。」
「はい。」
「あ!勇者様。」
「はい。どうかされましたか?」
あやめがこちらを振り返る。
「すみません。ポケットにも魔道具をしまっていたのを忘れてました。こちらもお渡ししておきます。」
俺はそう言って、あやめに近づく。
聖王に渡す用の、どうでもいい魔道具と小さな指輪を渡す。
「あやめ。この指輪はお前と正人がつけておけ。お前たちの場所がわかる。俺から会いに行くから、待ってろ。」
耳元で小声で伝える。
あやめは頷き、2人分の指輪を素早く隠した後にカモフラージュで渡しておいた、箱型の魔道具をイルケルに渡す。
そして隙を見て正人にも指輪を渡す。
正人は俺を見て親指を立てて何か言おうとしてたけど、親指を出した瞬間にあやめに親指を逆に曲げられてた‥
あやめぐっじょぶだ。
そのまま騎士と正人たちは大神殿の中に入って行った。
さて、落ち着いたところで周りを見渡してみる。
ここも港町と一緒で、殆どの人が白を基調とした貫頭衣を着ている。
俺は鎧は着てないにしろ、普通の洋服だから目立っているな。
俺は人気のない道に入り、今着ている服を【スードウクリエイター】で糸に戻し、色を抜いて服を繋げ貫頭衣を作り出す。
すぐにそれを着て大神殿の近くに戻る。
貫頭衣を着てからは、ジロジロ見られることはなくなった。
よし、これなら多少はウロウロしてても怪しまれることはなさそうだな。
とりあえず暗くなるまであたりを見て回って、頃合いを見て正人たちに会いに行くとするか。
聖都ウルス。
この街が神聖国で1番大きいと聞いている。
確かに街の規模は大きい。
しかし異様なのは商店がほとんどないってとこだな‥
見かけるのは等間隔にある食材を扱っている店だろが、そこも商売をしているというよりも、商品をただ渡しているって感じがする。
武具屋はもちろん、衣類品や調理済みの料理などを置いているような店は俺が見て回った中では一軒もなかった。
この街に住んでいる人たちは、皆同じような格好をしているから服は必要ないのだろう。
しかし武器や服はわかるが、嗜好品や料理屋もないのはどうなんだろう。
こんな言い方をするのは失礼だと思うが、みんな何を楽しみで生活してるんだろうか?
街で見かける人たちは楽しそうにしている様子はない。
しかし王国などで見かけたスラムのように諦めたような表情をしているわけではない。
どこか使命感を持っているような表情をしている。
女神ウルスエートに祈りを捧げるために生きているかのように。
それが正しい姿なのか、俺にはよくわからない。
ただ俺の目にはそれが異様な光景に見えたのは確かだった。
まるでそう生きる事を義務付けられた、呪いを受けているかのように‥
荷物を下ろして、騎士に渡す。
「イコル、ご苦労だったな。しかし本当にこの量の荷物を1人で持って来れるとは大した物だ。俺はこれから明日までは忙しくと思うから、明後日以降に訪ねてくるがいい。」
「はい。ありがとうございます!」
「それとお前は大神殿には入る事はできん。街に滞在する事になるが、この街には宿がないのだ。しかし通常の神殿がいくつかあるから、そちらに泊めさせてもらうとよい。イルケルの紹介と言えば無下にはされん。まあ数日泊まっていれば、更に対応が変わると思うからそれまでそこに泊まっていてもいいぞ。ふっふっふ。」
「わかりました。何から何までありがとうございます。」
「ふふん。お前はなかなか気がきくし、体力もあるから使えそうだしな。あと俺を訪ねて来る前に、改宗は済ませておけよ。」
「はい。」
今の俺は睡眠が必要ないから、どこかに泊まる必要はない。
それに夜は色々と情報収集をする必要があるから教会に行く事はないだろう。
「それでは勇者様行きましょう。」
「はい。」
「あ!勇者様。」
「はい。どうかされましたか?」
あやめがこちらを振り返る。
「すみません。ポケットにも魔道具をしまっていたのを忘れてました。こちらもお渡ししておきます。」
俺はそう言って、あやめに近づく。
聖王に渡す用の、どうでもいい魔道具と小さな指輪を渡す。
「あやめ。この指輪はお前と正人がつけておけ。お前たちの場所がわかる。俺から会いに行くから、待ってろ。」
耳元で小声で伝える。
あやめは頷き、2人分の指輪を素早く隠した後にカモフラージュで渡しておいた、箱型の魔道具をイルケルに渡す。
そして隙を見て正人にも指輪を渡す。
正人は俺を見て親指を立てて何か言おうとしてたけど、親指を出した瞬間にあやめに親指を逆に曲げられてた‥
あやめぐっじょぶだ。
そのまま騎士と正人たちは大神殿の中に入って行った。
さて、落ち着いたところで周りを見渡してみる。
ここも港町と一緒で、殆どの人が白を基調とした貫頭衣を着ている。
俺は鎧は着てないにしろ、普通の洋服だから目立っているな。
俺は人気のない道に入り、今着ている服を【スードウクリエイター】で糸に戻し、色を抜いて服を繋げ貫頭衣を作り出す。
すぐにそれを着て大神殿の近くに戻る。
貫頭衣を着てからは、ジロジロ見られることはなくなった。
よし、これなら多少はウロウロしてても怪しまれることはなさそうだな。
とりあえず暗くなるまであたりを見て回って、頃合いを見て正人たちに会いに行くとするか。
聖都ウルス。
この街が神聖国で1番大きいと聞いている。
確かに街の規模は大きい。
しかし異様なのは商店がほとんどないってとこだな‥
見かけるのは等間隔にある食材を扱っている店だろが、そこも商売をしているというよりも、商品をただ渡しているって感じがする。
武具屋はもちろん、衣類品や調理済みの料理などを置いているような店は俺が見て回った中では一軒もなかった。
この街に住んでいる人たちは、皆同じような格好をしているから服は必要ないのだろう。
しかし武器や服はわかるが、嗜好品や料理屋もないのはどうなんだろう。
こんな言い方をするのは失礼だと思うが、みんな何を楽しみで生活してるんだろうか?
街で見かける人たちは楽しそうにしている様子はない。
しかし王国などで見かけたスラムのように諦めたような表情をしているわけではない。
どこか使命感を持っているような表情をしている。
女神ウルスエートに祈りを捧げるために生きているかのように。
それが正しい姿なのか、俺にはよくわからない。
ただ俺の目にはそれが異様な光景に見えたのは確かだった。
まるでそう生きる事を義務付けられた、呪いを受けているかのように‥
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