上 下
512 / 953
勇者の救出

ピザ作りの続き

しおりを挟む
目の前で縦方向に爆炎が上がっている。
まるで炎の竜巻のようだ。
竜巻はその場から動かずに、竜巻の中にあるもの全てを焼き尽くしているようだ。

しばらくして何事もなかったように竜巻が消えた。
魔法で作られた物であり、自然に発生した物ではないため消える時も突然だ‥

竜巻があった場所は全ての物が灰と化していた。

もちろん‥

俺が作ったレンガも‥


「えへっ!やりすぎちゃった!」


可愛くポーズをとりながら謝るアキーエ。
その額に一筋の冷汗が流れているのを俺は見逃さなかった‥

「ア、アキーエ。わかってると思うけど、明らかに火力が強すぎだ‥」

「うん。ごめんね、てへっ!」

「アキーエ‥無理するな‥てへって‥」

「だ、だって、久しぶりにマルコイに頼られたから気合が入り過ぎちゃったんじゃないっ!」

アキーエが地面に座り込んで、地面に『の』の字を書いている。

「いやいや、いつも頼りにしてるよ。アキーエがいるから俺はパーティ任せて自分のやりたいようにやってるんだから。アキーエが俺の帰る場所なんだけらさ、無理しなくてどーんとしててくれよ。」

「‥うん。ありがとう。」

そんな風に思わなくていいのにな。
でもちゃんと言葉で伝えてなかった俺が悪いよな。

「いや、こっちこそありがとうな。」



「ほら、そんなとこで惚気んでええから。続きは家に戻ってからマルコイさんの部屋でしてや。まだピザ窯途中やし。」

おおう!
みんなが見てるの忘れてた。

「ごめんごめん。それじゃあもう一回レンガを作るから、アキーエ今度はもう少し小さめの火でお願いするよ。」

「うん、わかったわ。」

同じようにレンガを作り、今度は小さめの火でアキーエが焼き入れをしてくれた。

出来上がったレンガを重ねて窯を作る。

今回は下で火をつけて上でピザを焼く、二層式のピザ窯にする。

ピザを焼く方の奥に隙間を空けて熱が循環するようにする。

ピザが落ちないように奥側を一段高くしておく。

よし!
これでピザ窯の出来上がりだ。

「マルコイさん!これでピザが出来るですか?」

「これはピザを焼くための設備だ。これからピザを作って、ここで焼くんだ。顎が落ちるほど美味しいらしいぞ!」

「わーい!顎が落ちるですぅ!」

「なんやて!それならポーションも用意しとかんと!」

いやいや、比喩です。
ポーション用意してまで食べる料理とかどうなのそれ?

それでも食べる気満々のミミウがちょっと怖いんですけど‥



それじゃあピザ生地を作っていこう。

小麦の粉にベーキングソーダを入れて、オイルを混ぜてしっかりと練り込む。

ベーキングパウダーとかあればもっといいだろうし、確か異世界にはドライイーストなんてのもあるみたいだな。

キリーエはお酒を作る時に酵母菌も作ったみたいだから、多分ドライイーストも作れるよな。

今度頼んでみよう。
またより一層食生活が豊かになるなぁ。
勇者たちを脱国させるために色々やったけど、もしかしたら食べ物で釣るのが1番手っ取り早かったんじゃないだろうか‥

ま、まあいい。
やってしまったことに後悔はない。

しばらく置いて膨らんだ生地を切りわけ、色々な具材を乗せるために広げていく。

異世界の人がやっている手に乗せて広げる方法をやってみたら、飛んでいってアキーエの顔に直撃したので、手堅く棒を使って押し広げる。

ちなみに飛んで行った生地は丸めて焼いて食べました。
ミミウが。

さて生地は完成したので、後は具材だな。

生地に塗るトマトソースを作るためトマトを切り、玉ねぎやニンニクを入れてオイルで煮る。

煮詰まってきたら、塩などで味を整える。

少し味見をしてみたが、酸味のあるいい味だ。

こらこら、ミミウさん。
味見は少しですよ。
お玉ですくって飲むのは味見とはいいませんよ!

さてあとはチーズを作って、燻製肉でも乗せたら完成だ!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

処理中です...