504 / 953
勇者の救出
恵とあやめ
しおりを挟む
『光を纏し者のみ中に入る事。それ以外の者が入ればその身を滅ぼされん』
その文が書いてある下にもう1つの文がある。
『勇者たちよ。お前たちでなかにはいれ。ほかにいれたらだめ』
そう日本語で書いてある。
そう日本語でだ。
これを読めるのは、異世界の日本から来た勇者たちだけになる。
他の神聖国の騎士を中に入れて欲しくなかったからな。
この世界の文字だけで書いても、騎士は中に何としても入ろうとするだろう。
中にお宝があるのなら、余計に。
まあお宝も俺にとってはあまり必要ないような魔道具を用意してある。
筋力を少し上げるとか、微妙な魔道具ばかりだけど。
それは後で持って帰ってもらうとして、先に勇者たちと話す機会を得ないといけないからな。
そうなると正人たちがわかるように日本語で書いておくのが1番だろう。
俺も異世界の知識があるから、これくらいの日本語は書くことができる。
「なーーっ!おいあやめ!これって日‥むがっ!」
あやめが正人の口元を抑える。
「しーっ!余計な事を言わない!あんたは少し黙ってて!」
そのままコクコクと頷く正人。
「すみません。この扉ですけど、勇者だけが入る事ができるみたいです。だからあたし達2人で中に入ってみます。」
「そ、そんな事はできません!中にどんな危険があるかわからないのに!」
「いえ、恐らくここが終着点だと思います。あの『光を纏し者のみ中に入る事。それ以外の者が入ればその身を滅ぼされん』これは勇者以外が入れば何らかの攻撃を受けるんだろうと思います。その下に書いてあるのは読めませんが、あの文が本当だとしたら一緒に中に入る方が危険かと。中に危険がなければ呼びますし、それが不可能なら中から魔道具をお待ちします。」
しばらく騎士達は考えていたようだが、あやめの案が1番いいと思ったのだろう。
「わかりました。少しでも危険があればすぐに戻られてください。」
正人とあやめは頷き、扉に手をかける。
2人が中に入ると扉は騎士たちの目の前で静かに閉まるのだった。
中に入るとそこはまるで部屋のようだった。
真ん中にテーブルが置かれ、そこには椅子が4脚置いてあった。
「座ったらいいのかしら?」
あやめは正人と共に椅子に腰掛ける。
ずっと気を張っていたせいか、一気に疲れが押し寄せてきた。
「はぁ‥」
騎士の隊長が言った事が頭の中を駆け巡っている。
あたし達は魔王を倒せば用済み、それが終われば殺される‥か。
元の国に戻すつもりはないのかもしれないとは思っていた。
けどまさか命まで取られる予定だったとは思わなかった。
異世界に来てから少し浮かれていたところもある。
まるで現実から夢の国に来たようだった。
でも実際はそうじゃなかった。
恵は最初から元の世界に戻りたいと言っていた。
でもあたしは元の世界にいる時から異世界に憧れていて、恵には言えなかったけど、異世界に来れた時はこの異世界であたしは生きていくんだなんて思っていた。
そんな甘いわけないのに‥
今では元の世界に戻りたいと強く願っている。
それが叶わないとわかっていても。
いや、わかっているからこそ、帰りたいのかもしれない‥
ダメだダメだ。
せっかく前向きな正人のおかげであたしも少し前向きになれたって言うにの、こんな事考えてたらダメだ。
今はこれからの事を考えないと。
恐らくここはあたし達よりも前にこの世界に転移もしくは転生してきた日本人が作った遺跡だ。
そう考えれば鏡の部屋や先程の文も説明がつく。
ここで何があるかわからないけど、もしあたし達異世界人が使える魔道具を貰えるのなら、それを使って何としてもマルコイに会わなければ。
マルコイはあたしや恵を匿ってくれると言ってくれた。
この世界で生きていくのであれば、何としてもマルコイに会わないと。
恵‥
待っててね。
「よお!元気そうだな!」
その時、あまりにも能天気な声があやめに聞こえてきた‥
その文が書いてある下にもう1つの文がある。
『勇者たちよ。お前たちでなかにはいれ。ほかにいれたらだめ』
そう日本語で書いてある。
そう日本語でだ。
これを読めるのは、異世界の日本から来た勇者たちだけになる。
他の神聖国の騎士を中に入れて欲しくなかったからな。
この世界の文字だけで書いても、騎士は中に何としても入ろうとするだろう。
中にお宝があるのなら、余計に。
まあお宝も俺にとってはあまり必要ないような魔道具を用意してある。
筋力を少し上げるとか、微妙な魔道具ばかりだけど。
それは後で持って帰ってもらうとして、先に勇者たちと話す機会を得ないといけないからな。
そうなると正人たちがわかるように日本語で書いておくのが1番だろう。
俺も異世界の知識があるから、これくらいの日本語は書くことができる。
「なーーっ!おいあやめ!これって日‥むがっ!」
あやめが正人の口元を抑える。
「しーっ!余計な事を言わない!あんたは少し黙ってて!」
そのままコクコクと頷く正人。
「すみません。この扉ですけど、勇者だけが入る事ができるみたいです。だからあたし達2人で中に入ってみます。」
「そ、そんな事はできません!中にどんな危険があるかわからないのに!」
「いえ、恐らくここが終着点だと思います。あの『光を纏し者のみ中に入る事。それ以外の者が入ればその身を滅ぼされん』これは勇者以外が入れば何らかの攻撃を受けるんだろうと思います。その下に書いてあるのは読めませんが、あの文が本当だとしたら一緒に中に入る方が危険かと。中に危険がなければ呼びますし、それが不可能なら中から魔道具をお待ちします。」
しばらく騎士達は考えていたようだが、あやめの案が1番いいと思ったのだろう。
「わかりました。少しでも危険があればすぐに戻られてください。」
正人とあやめは頷き、扉に手をかける。
2人が中に入ると扉は騎士たちの目の前で静かに閉まるのだった。
中に入るとそこはまるで部屋のようだった。
真ん中にテーブルが置かれ、そこには椅子が4脚置いてあった。
「座ったらいいのかしら?」
あやめは正人と共に椅子に腰掛ける。
ずっと気を張っていたせいか、一気に疲れが押し寄せてきた。
「はぁ‥」
騎士の隊長が言った事が頭の中を駆け巡っている。
あたし達は魔王を倒せば用済み、それが終われば殺される‥か。
元の国に戻すつもりはないのかもしれないとは思っていた。
けどまさか命まで取られる予定だったとは思わなかった。
異世界に来てから少し浮かれていたところもある。
まるで現実から夢の国に来たようだった。
でも実際はそうじゃなかった。
恵は最初から元の世界に戻りたいと言っていた。
でもあたしは元の世界にいる時から異世界に憧れていて、恵には言えなかったけど、異世界に来れた時はこの異世界であたしは生きていくんだなんて思っていた。
そんな甘いわけないのに‥
今では元の世界に戻りたいと強く願っている。
それが叶わないとわかっていても。
いや、わかっているからこそ、帰りたいのかもしれない‥
ダメだダメだ。
せっかく前向きな正人のおかげであたしも少し前向きになれたって言うにの、こんな事考えてたらダメだ。
今はこれからの事を考えないと。
恐らくここはあたし達よりも前にこの世界に転移もしくは転生してきた日本人が作った遺跡だ。
そう考えれば鏡の部屋や先程の文も説明がつく。
ここで何があるかわからないけど、もしあたし達異世界人が使える魔道具を貰えるのなら、それを使って何としてもマルコイに会わなければ。
マルコイはあたしや恵を匿ってくれると言ってくれた。
この世界で生きていくのであれば、何としてもマルコイに会わないと。
恵‥
待っててね。
「よお!元気そうだな!」
その時、あまりにも能天気な声があやめに聞こえてきた‥
10
お気に入りに追加
555
あなたにおすすめの小説
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~
結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は
気が付くと真っ白い空間にいた
自称神という男性によると
部下によるミスが原因だった
元の世界に戻れないので
異世界に行って生きる事を決めました!
異世界に行って、自由気ままに、生きていきます
~☆~☆~☆~☆~☆
誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります!
また、感想を頂けると大喜びします
気が向いたら書き込んでやって下さい
~☆~☆~☆~☆~☆
カクヨム・小説家になろうでも公開しています
もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~>
もし、よろしければ読んであげて下さい
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる