上 下
491 / 953
勇者の救出

作戦決行⑩

しおりを挟む
いったいなんなの?

また中途半端に罠が止まったんだけど‥
止まってくれて助かったんだけど、またしても違和感が残る。

「な!あ、脚が動かぬ!」

え!
た、確かに足が動きづらくなってる!
もしかして泥水が、固まってるの!?

ほんの僅かな時間で太もも辺りから足先までが固まって動かなくなった。

どうしたらいいの?
このままではここで餓死しちゃうじゃない。

「うお~、焦った!今度は無理と思ったぜ。マジやばかった!」

正人は歩きながらこっちに向かってくる。

「正人、あんたどうやって動けるよう‥」

なるほど。
正人の太ももから下が素足になってる。

あたしもすぐに浸かっている部分のズボンを破り足を抜き出した。

騎士団の人達もズボンを破ってグリーブから足を抜いて素足になった。

上半身鎧をつけて、膝下は素足ってかなり面白い格好になってるけど仕方ない。

地面はカチカチに固まってて、とてもじゃないけどそのままじゃ足が抜けそうになかったから。

「くそっ!なんて忌々しい罠だ!幸い地面は土だ。素足でもさほど問題ないだろう。このまま進むぞ。」

しょうがないけどそうなるわね‥




それにしても素足で外を移動するなんて小学校以来だわ。

部屋から出ると人1人通れるくらいの通路だった。

縦に並んで進んでいく。



「うっ!!」


突然足に激痛が走る。


正確に言うと足の小指が物凄く痛い!


周りを見ると全員が足の小指を抱え込むように座り込んでいる。

何が起こったの?

隣を見ると正人も同じ痛みに苦しんでいるようだ。

足元を見ると地面に小指に当たる程度の出っ張りが、等間隔に出ている。

そんな‥

いくら等間隔に小指を打つ場所があったとしても全員同時に当たる?

まるでピンポイントで小指を打つ突起が出てきたみたいじゃない!

なんなのよ、この悪魔のような遺跡は‥

「な、な、な、なんなのだ!神聖国の騎士をバカにしているのかっ!」

騎士団のおじさんが足の指を抱えて吠えている。

遺跡に文句言ってもしょうがないけど、そこについては同意かもしれない。

まるで人を馬鹿にして喜んでいるような感じがする。

大昔にこの遺跡を作った人は余程性格が悪かったと思うわ。


なんで異世界に来てまで、箪笥の角に小指をぶつけないといけないのよ!

しばらく休むと痛みが収まってきた。

先に進むようで、騎士団の人達は足元の確認をしている。

先程の突起部があったところから少し先に進んだので、この辺には悪魔突起はない。

しっかりと確認して前に進む。

「いで!」

やっぱり‥

正人と騎士団の人達が痛みに悶えている。



そんな気がしたのよね。

それまで何もなかったところに突起部が出現したのなら、性格の悪い作成者の事だから同じ事をしてくると思ったのよ。

残念だったわね。
あたしは正人と違って、そんな物には‥

「いたっ!」


足元をを見ると、今度は脛に土の棒が当たっていた。

よく見ると、足元の壁の一部が剥がれてまるで土の棒のようになっている。

それが勢いよくあたしの脛に当たってるみたい。

でもこれってまるで脛を狙って叩きにきたみたいに見えるんだけど‥

これもトラップだったりしないわよね?
小指トラップを避けた人だけ狙って第2のトラップが発動したとか?

まさかタンス小指トラップを抜けたら脛蹴りトラップがあるなんてどれだけ性格悪いのよっ!

さっきの部屋でグリーブさえ脱がなければ、こんな目に合わなかったのに‥

え?
ちょっと待って‥

ま、まさかさっきの部屋のトラップって足元の装備を外させるのが目的だったんじゃないでしょうね!?

‥‥もしそうなら、なんて手の込んだ悪趣味な罠なのかしら‥



もう、さっきのトラップで脛に青あざができたわ。

入り口でラケッツさんに貰ったポーションここで使っちゃおうかしら‥

本気であたしのSAN値がガリガリ削られていくんだけど‥


まだまだ先が長そうなんだけど、こんなのがずっと続くのかしら?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

魔境に捨てられたけどめげずに生きていきます

ツバキ
ファンタジー
貴族の子供として産まれた主人公、五歳の時の魔力属性検査で魔力属性が無属性だと判明したそれを知った父親は主人公を魔境へ捨ててしまう どんどん更新していきます。 ちょっと、恨み描写などがあるので、R15にしました。

〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。 了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。 テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。 それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。 やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには? 100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。 200話で完結しました。 今回はあとがきは無しです。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。 全力でお母さんと幸せを手に入れます ーーー カムイイムカです 今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします 少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^ 最後まで行かないシリーズですのでご了承ください 23話でおしまいになります

全校転移!異能で異世界を巡る!?

小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。 目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。 周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。 取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。 「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」 取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。 そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。

処理中です...