上 下
485 / 953
勇者の救出

作戦決行④

しおりを挟む
その日の夕方。

『アウローラ』の拠点に大量の食材やら、人が集まってきた。

このたくさんの食材の半分はミミウのお腹に収まるんだろうな‥
半分で済むかな‥

「タルタル神様!」

うっ。
この声は‥

「フ、フーラさん‥お久しぶりです。」

「ああ‥なんと勿体ないお言葉。現世にいらっしゃるタルタル神様にまたお会いして、お声をかけていただけるとは‥」

あれ?
これって時間をかけた分、余計に拗らせてない?
なんか余計に酷くなってるような気がするんですけど‥?

「今日はタルタル神様の降臨祭にお呼びいただき誠にありがとうございます。タルタル神様のためにも精一杯腕を振るわせていただくつもりです。」

「うん‥よろしくお願いします‥」

「その前にタルタル神様にタルタル教の布教についてご報告させていただきます。」

え?
フーラさんがそう言うと、近くにいた神官風の服を着た人が近づいてきた。

「これはセイルズにあるタルタル教神殿から来たペイセル神官長です。以後お見知り置きを。」

は?
セイルズにタルタル教の神殿とかあるの?
そういえばセイルズに来た時に、新しい神殿が出来てるなとは思っていたけど、まさかのタルタル教神殿なの?

「この度はタルタル神様にお目にかかることができ、光栄でございます。それでは現在のタルタル教の布教状況になります。ロンギル共和国55%、エルフェノス王国20%、ウルスート神聖国3%、アルラント‥」

な、なにやってんすかフーラさん?

これは俺が目を離してしまった事が原因なんだろうか‥?

もう修正出来ないところまで走ってる気がするんだけど‥

「わ、わかりました。ご苦労様です。今日は『アウローラ』の慰労会になりますので、タルタル教の事は後日と言う事で。」

「申し訳ございません!すぐに準備に取り掛かります!」

そう言って、フーラさんと神官服を脱いだペイセルさんが調理場の方に走って行った。

これはそうだな‥

今は関わらないで、後で『ほどほどに』とか書いた手紙を送るとしよう。

俺はそう思い、その場から逃げるように遠目から見ていたアキーエたちの方に向かった。







神聖国‥

ウルスート神聖国の大神殿

その中に女神ウルスエートの代行として、神聖国の政を担う聖王と呼ばれる者がいる。

「聖王様、セイルズの傭兵団の元に向かわせた者が戻ってまいりました。」

「ほう。して何か持ち帰ったか?」

「はい。魔道具と思わしき靴を。」

「ふむ。それだけか?それでどのような効果がある?」

「それが‥」

「なんだ?言ってみよ。何か問題があったのか?」

「はっ!持ち帰った魔道具を騎士団の師団長に使わせましたが、何やら爆発して頭が燃えたそうです。」

「ははっ!使える魔道具ではなかったと言う事か?」

「いえ、それが魔道具には文字が書いてあり『光ある者が空を舞う』と。それでこの魔道具を勇者に使用させていいか、指示をいただきたく伺いました。」

「なるほどな。『光ある者』か。もしそれが光属性を意味するのであれば、探らせた者が持ち帰れたのもわかりはするな。」

「と言われますと?」

「傭兵団に勇者などおるはずがあるまい。ならばその魔道具は使う者がいなかったので放置されていたのだろう。もしその魔道具を勇者が使えるようであれば、勇者たちをセイルズに向かわせろ。そして其奴らが持っている魔道具を全て徴収させよ。理由はそうだな‥勇者のみが使える魔道具が見つかった、傭兵団で使用している魔道具に別の効果があるやも知れぬ、その為に全て回収して魔王との戦いに備えさせてもらうとでも言っておけばよかろう。」

「はっ!それと魔道具を持ち帰った者が腕を欠損しており、魔道具を持ち帰った報酬として、欠損を治せる上級ポーションをいただけないかと申しております。」

「腕を失ったか‥その程度で希少なポーションを渡せるはずがあるまい。金貨でも渡して‥いや、面倒だな‥いつも通りにしておけ。」

「はい。それではすぐにでも処理しておきます。」

聖王は報告に来た男が去ったのを見て、顔に笑みを浮かべる。

「ふははは。帝国の邪教徒どもめ。魔道具が手に入ったら1番にほろぼしてくれるわっ!」

大神殿に笑い声が響き渡った‥
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アレク・プランタン

かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった と‥‥転生となった 剣と魔法が織りなす世界へ チートも特典も何もないまま ただ前世の記憶だけを頼りに 俺は精一杯やってみる 毎日更新中!

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

異世界でも男装標準装備~性別迷子とか普通だけど~

結城 朱煉
ファンタジー
日常から男装している木原祐樹(25歳)は 気が付くと真っ白い空間にいた 自称神という男性によると 部下によるミスが原因だった 元の世界に戻れないので 異世界に行って生きる事を決めました! 異世界に行って、自由気ままに、生きていきます ~☆~☆~☆~☆~☆ 誤字脱字など、気を付けていますが、ありましたら教えて頂けると助かります! また、感想を頂けると大喜びします 気が向いたら書き込んでやって下さい ~☆~☆~☆~☆~☆ カクヨム・小説家になろうでも公開しています もしもシリーズ作りました<異世界でも男装標準装備~もしもシリーズ~> もし、よろしければ読んであげて下さい

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

みんなからバカにされたユニークスキル『宝箱作製』 ~極めたらとんでもない事になりました~

黒色の猫
ファンタジー
 両親に先立たれた、ノーリは、冒険者になった。 冒険者ギルドで、スキルの中でも特に珍しいユニークスキル持ちでがあることが判明された。 最初は、ユニークスキル『宝箱作製』に期待していた周りの人たちも、使い方のわからない、その能力をみて次第に、ノーリを空箱とバカにするようになっていた。 それでも、ノーリは諦めず冒険者を続けるのだった… そんなノーリにひょんな事から宝箱作製の真の能力が判明して、ノーリの冒険者生活が変わっていくのだった。 小説家になろう様でも投稿しています。

転生前のチュートリアルで異世界最強になりました。 準備し過ぎて第二の人生はイージーモードです!

小川悟
ファンタジー
いじめやパワハラなどの理不尽な人生から、現実逃避するように寝る間を惜しんでゲーム三昧に明け暮れた33歳の男がある日死んでしまう。 しかし異世界転生の候補に選ばれたが、チートはくれないと転生の案内女性に言われる。 チートの代わりに異世界転生の為の研修施設で3ヶ月の研修が受けられるという。 研修施設はスキルの取得が比較的簡単に取得できると言われるが、3ヶ月という短期間で何が出来るのか……。 ボーナススキルで鑑定とアイテムボックスを貰い、適性の設定を始めると時間がないと、研修施設に放り込まれてしまう。 新たな人生を生き残るため、3ヶ月必死に研修施設で訓練に明け暮れる。 しかし3ヶ月を過ぎても、1年が過ぎても、10年過ぎても転生されない。 もしかしてゲームやりすぎで死んだ為の無間地獄かもと不安になりながらも、必死に訓練に励んでいた。 実は案内女性の手違いで、転生手続きがされていないとは思いもしなかった。 結局、研修が15年過ぎた頃、不意に転生の案内が来る。 すでにエンシェントドラゴンを倒すほどのチート野郎になっていた男は、異世界を普通に楽しむことに全力を尽くす。 主人公は優柔不断で出て来るキャラは問題児が多いです。

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

おっさんは 勇者なんかにゃならねえよ‼

とめきち
ファンタジー
農業法人に出向していたカズマ(名前だけはカッコいい。)は、しょぼくれた定年間際のおっさんだった。 ある日、トラクターに乗っていると、橋から落ちてしまう。 気がつけば、変な森の中。 カズマの冒険が始まる。 「なろう」で、二年に渡って書いて来ましたが、ちょっとはしょりすぎな気がしましたので、さらに加筆修正してリメイクいたしました。 あらすじではない話にしたかったです。 もっと心の動きとか、書き込みたいと思っています。 気がついたら、なろうの小説が削除されてしまいました。 ただいま、さらなるリメイクを始めました。

処理中です...