上 下
465 / 953
勇者との再会

戦い終えて

しおりを挟む
モンスター側にいる点はここから離れて行った。

こっちに近づいてくるのは、あまり好ましくない相手だな。

おそらく神聖国側の人間だろう。

俺たちパーティは少し離れた所で様子を見る事にした。


すると馬に乗った真っ白な鎧を来た男がやってきた。

「おい!ここの代表者は誰だ!」

おいおい。
第一声がそれかよ。
別にお前たちにお礼を言って欲しくてモンスターを倒した訳じゃないんだけど、さすがにムッとくるな。


「俺が代表だ。」

クワイスはそう言うと一歩前にでる。

「所属と名前を述べよ!」

「傭兵団『アウローラ』の団長クワイスだ。」

「ほう!傭兵団か!遠方から見せてもらったが、お前たちの活躍大変見事だった!聖王様にご報告すれば栄誉ある称号を聖王様より授かることだろう。光栄に思うがいい。それとお前たちが使用している物は聖王様に献上させてもらう。速やかに渡すがいい。」

なんだそれは?
こいつ自分が何を言っているのかわかっているのか?
末端までアホなのか?

「なるほど。だが全てお断りさせてもらう。俺たちは依頼があってここでモンスターを倒しただけだ。聖王とやらに褒めてもらう必要はない。あと飯の種である道具を渡すはずがないだろう。お断りする。」

うわー!
クワイスさんカッコいい!

「なんだと貴様!不敬だぞ!」

「不敬も何も、それはあんたが勝手に独断で言っているだけだろ?聖王様のありがたいお言葉だったりするならちゃんと考えてお断りするが、なぜ突然やってきたあんたの言う事を聞かないといけないんだ?悪いが依頼も達成したから俺達は帰らせてもらうよ。」

「な、な、な、なんだと貴様っ!」

男は怒りでぷるぷるしてる。
しかしクワイスも煽ってるなぁ。
クワイスも男の言い分に頭にきてるんだろうな。

しかしこれだけの戦果をだした相手に対してここまで高圧的な態度で来るなんて、何を考えているのやら‥

少しは感謝して協力を要請でもすれば結果は違ったかもしれないのにな。

まあそれでもクワイスは神聖国に関わりたくないと思ってるからお断りするとは思うけど。

こんな態度だから関わりたくないと思ってるんだから、しょうがないか。

男は顔を真っ赤にしながら周りを見渡している。

すると俺の顔を見てその動きが止まる。

「!?ま、まさか‥」

男の顔は先ほどまでと違って怒りではなく、驚きの表情をしている。

え?
俺何かしたっけ?

「貴方はこの傭兵団の人でしょうか?その黒髪に黒眼‥勇者に関連するスキルをお待ちではありませんか?」

黒髪、黒眼?
何を言ってるんだこいつは?
俺は銀髪‥
あっ!
そうだった。
今は魔道具で色を変えてるんだった。

まさかそんな捉え方をするとは思わなかった。
しかし黒髪はそこまで珍しい色ではないはずだぞ?

「いや違う。俺はただの一兵だ。そんなスキルなんて持っていない。」

「なるほど。承知した。我が神聖国に現れた勇者様方が全て黒髪黒眼だったものでな。これ程の強さを持った部隊だったから勇者様の加護があったのかと思っただけだ。」

あちゃー。
やっちまったかな。
目立たないようにしてたけど、余計に変な誤解を与えてしまった気がする。

「まあいい。この傭兵団の事は聖王様に伝えさせてもらう。」

男はそう言うと、踵を返し聖都の方に向かって馬を走らせた。

う~ん。
実験は楽しかったのに、最後に水をさされた形になってしまった。

めちゃくちゃめんどくさいな神聖国‥

さっきの人が偉いのかどうかしらないけど、全員があんな感じなのか?

これで終わってくれるといいけど、何かしらちょっかい出してくるかな‥

まあ考えても仕方ない。

今回の魔道具実験は大成功って事で凱旋することにしましょう。

「それじゃあ依頼達成だ!街に戻るぞ!」

クワイスの合図で傭兵団は帰路についた。

そしてクワイス達と共にアースンに戻った時に、帝国が神聖国の騎士団を打ち破り、聖都に進軍しているとの情報が入ってきた‥
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

アレク・プランタン

かえるまる
ファンタジー
長く辛い闘病が終わった と‥‥転生となった 剣と魔法が織りなす世界へ チートも特典も何もないまま ただ前世の記憶だけを頼りに 俺は精一杯やってみる 毎日更新中!

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します

有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。 妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。 さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。 そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。 そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。 現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!

処理中です...