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闘技会への参加

大会参加前に

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闘技会まで残り3日となった。
スキル【アルケミストメーカー】を発現してからはモンスターの討伐と魔道具の作製に精を出した。

スキル【エレメントナイト】もなんとかスキルレベル4まで上げる事ができた。
しかし1番の成果は魔道具の作製だと思う。
俺の装備は間に合わなかったが、アキーエとミミウの装備は闘技会に間に合わせる事ができた。

3日後から闘技会の予選が始まる。
俺たちはBランク冒険者だから予選からの参加だ。
予選が3日後に迫っている事もあり、今日からは各自自由行動にしている。
もちろん身体を休めるのが目的だから調整はいいがキツめの訓練は行わないように伝えた。

宿の庭で少し身体の具合を確かめる。
スキル【異世界の知識】で得た『超回復』という技法は身体を酷使して筋肉を傷つけた後に筋肉を休ませると回復時に筋肉が大きくなるとの事だった。
それが本当なのか確認しようがないが、今できる事は全てやっておくべきだろう。
それに大会に疲れを残して参加する訳にはいかないからな。

ふと視線を感じて振り返ると庭にあったイスに腰掛けてこちらを見ているアキーエと目があった。

「どうしたアキーエ?何か用か?」

するとアキーエはしばらく何も言わずにこちらを見つめてきた。
沈黙が恥ずかしくなり誤魔化そうかと思ったがアキーエが言葉を発するのを待った。

「‥‥いつの間にか凄いところまで来たわね‥カーロッタにいた頃は自分が獣人国の闘技会に出るなんて思ってもいなかったわ。」

「なんだ?まさか後悔してたりするのか?」

「まさか。感謝こそしても後悔なんてする訳ないでしょ。」

アキーエは微笑みながら言う。

「田舎生まれの宿屋の娘だったわたしが、いつの間にかBランク冒険者よ。でもマルコイがいたからここまでこれたと思う。もしこれが夢だったとしても、やっぱりってすんなり納得できるくらいの出来事だわ。」

そうだな‥
スキル【模倣】のおかげで俺もアキーエも随分と強くなれた。
でもまだ夢の途中だ。
そう叶えるべき夢への道のりを駆け上がってる途中だから。

「マルコイはどこまで行くつもり?まだまだ足を止めるつもりはないんでしょ?」

「そうだな。強くなりたいって気持ちは昔よりもっと強くなった気がするな。アキーエはまだついてきてくれるか?」

「当たり前じゃない。それにマルコイについて行けるの人なんて、そうそういないわよ。マルコイはどうせ行けるところまで行くんでしょ?だったら最後まで付き合ってあげるわよ。」

最後までか‥
ずっと付き合ってくれるというアキーエの言葉に安心する。
時々無理に付き合わせているんじゃないかと思う事もあったからな。
アキーエを見る。
陽の光を浴びている赤い髪がとても綺麗だった。

その時にふとした想いが口から出る‥

「アキーエ。俺が‥」

「お腹すいたですぅーーー!」

出なかった‥

「あらミミウ。どこ行ってたのよ?」

「屋台巡りしてたんですけど、途中でお腹が空いたので戻ってきました~。」

「屋台巡りしてて、お腹空くってミミウの胃袋どうなってるのよ?まったく‥ところでマルコイ何か言いかけなかった?」

出かかった言葉を飲み込んだ。
今じゃない気がしたから‥

「なんでもない‥また今度な!」
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