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2章 王都への旅立ち

オヤクソク

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「新顔がDランク依頼か?おいおい身の程も知らないやつだなぁ。」

きたっ!

やっぱりターナカさんが言っていた事は正しかった。

やはり新顔は絡まれるのがお決まりらしい。
俺はアキーエたちを庇うような位置どりで、意を決して声をかけてきた男の方に振り向く。

「何かようか?」

男の身長は俺より高く190センチ近くある。スキンヘッドで目尻に傷があり、山賊だと言われたら10人中10人が納得するような風貌だった。

「何かようかだと?」
そう言いながら男は近づいてくる。

「新顔が可愛い女の子を連れて生意気にもDランク討伐依頼だとか言いやがるからよぉ‥」




「ちょっと依頼舐めすぎだから、注意してやろうと思って。」




「はい?」




「新顔だしよぉ、登録したばっかのやつが身の丈に合わない依頼を受けるのを見ちまった。そしてそれで死ぬかもしれないって思ったら声かけるだろ?」

「ええ、まあそうですね‥でも自分たちはカーロッタという村で登録してて、これでも冒険者歴半年近くにはなるんですけど‥」

「登録したてじゃないのか?そりゃ悪い事したな。」

男はそう言った後にアキーエ達に視線を向ける。

「しっかし可愛い姉ちゃん達だなっ!俺らのパーティーに入らないか?」

やはりアキーエ達狙いなのか。そんな事をさせる訳にはいかない!

「彼女たちは俺とパーティーを組んでいるんだ。そんな要求通るはずがないだろう!」

「いや、もちろんお前もだぞ。最初のうちは慣れているパーティーに入って経験積んだ方がいいかなと思ってな。俺はDランク冒険者だから安心して戦えるだろ?ほら。」

そう言ってギルドカードを見せてくる。

ガッツオ
冒険者ランクD
スキル【腕力Lv.4】

「あ、本当にDランクなんですね。【腕力】も持たれてて。」

そういうと、ガッツオは近くのテーブルを持ち上げる。

「まあな。俺はこの【腕力】で大剣を使いDランクまで上がったからな。」

(ピコーンッ)

『模倣スキルを発現しました。スキル【腕力】を模倣しました』

うん。模倣しました。
ありがとうガッツオさん。とてもいい人で、スキルまで模倣させてくれました。

「ガッツオさんありがとう。でも俺たち3人で今までやってきたし、これからもできるとこまで3人でやっていこうと思ってるんだ。」

「そうか。困ったり相談があったりする時はいつでも言ってこいよ。」

そう言って親指を立てて、去っていくガッツオさん。

「マルコイ‥とてもいい人だったね。」

「うん。何か困ったらガッツオさんを頼るとしよう。」

ターナカさん。人の優しさが心に染みます‥




新しく【腕力】を手に入れた?のでさっそく試してみるために、Dランク依頼のフォレストウルフの討伐を行う為に王都の外へ出る。

しばらく探しているとミミウの【遠視】でフォレストウルフを発見する。
ちょうどこちらに向かってきているようで、戦闘の準備をして待ち構える。
匂いでこちらに気づいたのか、フォレストウルフは猛スピードで迫ってきた。

そのまま飛びかかってきそうだったので、ミミウが盾を持ち防ごうとするが流石にDランクのモンスターだけあり、急停止してこちらを警戒するように一定の距離を保ちつつ移動している。

「アキーエは火魔法を。ミミウはアキーエの守りを。俺は魔法の後に隙をみて攻撃をしかける!」

「わかったわ!火球!」

火の玉がフォレストウルフに迫る。するとフォレストウルフは火球を横に飛んで躱すと次のステップでアキーエに向かって飛びかかる。
だがしっかりとフォレストウルフの動きを見ていたミミウが危なげなくフォレストウルフの牙を盾で防ぐ。
弾かれたフォレストウルフに向かって俺は剣を振るう。

サクッと2つに切れた。

おお、レベル1とはいえスキル【剣士】と【腕力】の効果はヤバいな。
何の抵抗もなく一刀両断だった。

Dランクのモンスターだったが、危なげなく倒すことができた。

「すごいわねマルコイ。やっぱり【腕力】の効果?」

「【剣士】と【腕力】の相乗効果だな。剣士の動きを【腕力】を使う事でもっと効率よく動かすことができてる。多分このスキルをダブルで持ってたら高ランクの剣士とかになれるんじゃないかな?」

「でも【剣士】と【腕力】じゃ統合しなかったのよね。」

「そうだなぁ~、統合も何が条件かわからないからね。気長にやっていくよ。」

「ミミウもよく敵を見ててくれて助かったよ。」

「ありがとうございます。でもその事なんですけど、【遠視】がレベルが上がって視界が少し開けた感じがするんです。だから敵の動きがよく見えるんですぅ。」

「そっか、じゃあ【遠視】は【盾士】とも相性いいんだね。【弓士】が相性いいとばっかり思ってたよ。」

どのスキル同士の相性がいいかなんて、種族の9割がシングルスキルなんだから記録として残っていない。ただ歴史に名を残すような高ランクの冒険者達はスキル同士の相性がいい人だったんだろうな。

また少し強くなった事で自分に自信が持ててきた。ようやく少しだけだか、ある程度の強さは持つことができたのかもしれない。

「よし!討伐依頼は5匹だったな。あと4匹気を抜かずに倒すぞっ!」

「おーっ!」
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