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2章 王都への旅立ち

王都のギルドマスター

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受付のおっさんに絡んでいると、後ろから声がかかった。

受付奥の階段から降りてきたのは絶世の美女だった。
もちろんナイスバディ‥
ではなくアキーエとどっこいどっこいだった。

アキーエからひねりの入ったローキックをいただきました。腿に入った。腿なので正確にはローキックじゃないのか?しかし痛い‥折れたかもしれない。

金髪で腰まである髪を靡かせて絶世の美女がこちらまで歩いてきた。
整った顔立ちで透き通るような白い肌。強い意志を感じさせる目だった。特に特徴的なのは長い髪のから出ている長い耳。彼女はエルフと呼ばれる種族だった。

「ギルドマスターすいません。カーロッタからきた冒険者にギルドの説明をしていたところでした。お騒がせして申し訳ないです。」

「そうだったんですね。何やら楽しそうな感じだったので気になって見にきてしまいました。仕事の邪魔をしてすいませんね。」

「いえいえとんでもないです。」

おっさんは鼻の下を伸ばして話をしている。胸のボリュームは足りていないが、これだけの美人だ。おっさんの気持ちもわからないでもない。

そう思った瞬間、突然周りの温度が急激に下がったような気がした。

「いま、何やら不快なものを感じましたが‥」

慌てて目を逸らす。この殺気はAランクどころかもっと上かもしれない‥

「まあいいです。私は王都ギルドのギルドマスターでサベントと言います。お3人ともよろしくお願いしますね。」

「はい。わたしはアキーエで、こっちがミミウ。あの変態はマルコイです。」

「まぁ変態さんですか。変態はほどほどにしといてくださいね。何か困った事があったらバーントに相談して下さい。」

俺たち3人が誰?といった顔をしていたのを見て

「あら?バーント自己紹介してないのかしら?」

すると受付にいるおっさんがそういえば的な顔をしている。

「そういえば忘れてました。坊主達、俺はバーントだ。牢屋から出てきた賊じゃなく、れっきとした王都ギルドの受付だ。何かあればいつでも相談にこい。」

相変わらず釈然としないが、しょうがないので無理矢理納得する事にする。

「わかった、何か有れば相談に来る。明日から活動するつもりなんで、よろしく頼む。しばらくは様子見で近場のモンスターを狩るつもりだから討伐依頼中心になると思う。」
「それじゃ今日はこれで失礼する。」

そう言って一礼した後、サベントとバーントを【鑑定】する。

バーント
スキル【身体強化】

サベント
スキル【精霊魔法:風】【属性魔法:水界】

流石に魔法に長けたエルフ、スキルがえげつない。
エルフ特有魔法の精霊魔法に【属性魔法:水】の系統進化した属性魔法か。

おっさんの方は【身体強化】か。身体能力系のスキルでは希少スキルだな。

【鑑定】を使った時にやはりギルドマスターは何かに気づいたようだった。
高ランクに不用意に使用したら、バレて揉め事になるかもしれないな。

とりあえずギルドマスターが怖いので、今日のところは退散だな。

マルコイ達は拠点である宿屋に戻る事にしたのだった。




宿屋に戻ったマルコイ達は今後の事について話し合いを行う。

「第一回!今後何をやっていくのか決めましょ~う!」

「いえー!」

ミミウはちゃんとノリがわかっている。アキーエに視線を向ける。

「え?何?わたしもするの?い、いえー!」

よし。わかってくれた。

「それじゃあそれぞれ王都でやりたい事を確認しよう。」

「私は美味しい食事が食べたいですっ!」

うん。ミミウはブレないな。
涎は拭こうな。

「わたしはスキルのレベルアップかな。後は本を読みたいかも。カーロッタにはあまり本がなかったから。」

「俺はやっぱりスキルの模倣だな。あとは全員とは思うけど、モンスター討伐で高ランクになることだよね。」

「それはそうね。」
「確かにそう思います!」

「とりあえずギルドの依頼を受けながらモンスター討伐して、休日は自分のやりたい事をやるって感じでいいかな?そして目指すはとりあえず全員Cランクに上がろう!」

「うん。それでいいわ。」
「私もそれでいいです。休みは食い倒れますぅ!」

方向性が決まったところでアキーエとミミウは自分たちの部屋に戻って行った。

ようやくスタートラインに立ったかなと思いつつ、マルコイはベッドに入るのだった。



翌日。
朝からギルドに向かう。

「昨日は昼過ぎだったし、ギルドマスターが出てきた事もあったから他の冒険者にからまれなかったけど、今日は朝から来てるから他の冒険者もたくさんいるはずだ。皆んな気を引き締めるように。」

「すっかり忘れてたわ。確かにそうね。気を引き締めないとね。」

「はむ、むむむむぅ。」

ミミウさんや。朝ご飯のパンをポケットに入れてたと思ったら今食べてるのかい‥

そんなこんなでギルドに到着した。

さっそくギルド内の依頼ボードを確認する。

討伐依頼はパーティーならひとつ上の依頼まで受ける事ができるので、Dランクの依頼を探してみる。

「このフォレストウルフってのはどうかな?」

「ランクDの討伐依頼ね。でも最初だしEランクの依頼がいいんじゃない?」

「だけど、カーロッタで散々Eランクは討伐してきたから、せっかくだからDランクから始めてみようよ。」

「う~ん、そうね。だったらやってみてもいいかも。」

3人で話して依頼を決めたところで、後ろから声がかかる。

「おいおい。お前たち見かけない顔だな。」

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