49 / 100
第49話 #ミサキノムラ
しおりを挟む
村人の死体を漁るリクは、破損した拳銃を拾い上げた。
銃身とグリップが割れて部品が飛び出しており、とても使えそうにない。
知識のない二人には修理も不可能だろう。
拳銃の残骸を顔の前に持ってきたリクは、それをじっと見つめる。
彼の目は疑惑に満ちていた。
「……なんかおかしいよなー」
「どうしたの?」
「こんな簡単に銃が手に入るのは不自然だ」
リクは銃の残骸を放り投げた。
地面に転がっていた弾丸をつまんで彼は言う。
「日本って銃を持つのに免許とかいるんだろ。もし免許があってもマシンガンは完全にアウトだ」
「聞いたことある! じゅーとーほー違反だよね!」
「おう、つまりこいつらはヤバい手段で銃を集めてるってことだな」
リクは自信満々に断言した。
ナオが首を傾げて問う。
「ヤバい手段ってたとえば?」
「そりゃ密輸とかヤクザから仕入れるとか……いや、拉致ったヤクザから銃を盗んだ可能性もあるか。とにかくそういう感じのやり方だよ」
「悪い人だねえー」
「本当にな。俺達を見習ってほしいもんだ」
そうぼやくリクはマシンピストルを握る。
彼は死体の持っていた予備弾倉を装填して呟く。
「この装備ならさっきの猟銃の爺さんにも勝てるかな」
「ちょっと厳しいかも……すごく強そうだったし」
「だよなー」
リクは残念そうに眉を曲げた。
それを見たナオが尋ねる。
「りっ君はあのお爺さんに勝ちたいの?」
「脅されてビビったのが悔しくてなぁ。やり返さねえとスッキリしねえだろ」
「確かに! じゃあ見つけて殺さないとね!」
「ああ、今度は絶対にビビらねえぞ。しかも秘策を思い付いた!」
リクは勢いよく立ち上がる。
彼は死体を踏み付けると、ぎらついた顔で力説した。
「どいつもこいつも当たり前みたいに銃を持ってるんだ。たぶんミサキノムラにはもっとすごい武器がある! そいつを奪い取れば爺さんにリベンジできるぞッ!」
「もっとすごい武器ー!?」
「ミサイルとか戦車とかレーザー砲とか……もしかしたら核爆弾かもな!」
「すごーい!」
ナオは満面の笑みで拍手をする。
彼女はリクの発言を本気で信じていた。
より正確に言うなら真偽などに興味はなく、ただ楽しそうなリクと一緒にいられるだけで良かった。
ナオは周囲の死体を見て提案する。
「ねえ、りっ君。わたし達も配信してみる? こんなに死体があったら絶対にバズるよ!」
「面白そうだけどパクるのもなぁ……二番煎じってやつだろ」
「にばんせ……? よく分かんないけどだめなんだねー」
「配信は俺達から映りに行けばいいし、どうせなら違う形で盛り上げたいよな。何か良い方法があればいいが」
リクは村人の遺品を漁りながら悩む。
その時、ナオが「あっ」と何かを閃いてスマートフォンを取り出した。
彼女はスマートフォンのカメラ機能で死体を撮り始める。
不思議に思ったリクは画面を覗き込む。
ナオはSNSのアプリを起動していた。
「何してんだ?」
「写真とショート動画を投稿してるの! わたしフォロワー多いからすぐに拡散されるよ!」
「おお、いいな! 配信を見ない層を狙うわけか!」
「うん! 友達にもシェアした方がいいかな?」
「もちろん! 俺のアカウントでも広めておくぞ! こうなりゃ拡散対決だ! 配信に負けないように頑張るぞ!」
「おーっ!」
リクとナオはさっそく撮影会を開始した。
まず村人達の死体でインターネット上の注目を集め、そこから次々と過激な写真や動画を投稿していく。
スーツケースから取り出した金をばら撒き、白い粉を吸引する姿を自撮りする。
マシンピストルを発砲する姿を撮影する。
斧や剣鉈で死体を損壊させてその血を浴びてみせる。
死体同士の脳を入れ替える。
考え得る残虐な行為を彼らは片っ端から再現していった。
二人はすべての投稿に「#ミサキノムラ」と記載する。
投稿された写真と動画は瞬く間に拡散した。
急激に増える「いいね数」と「フォロワー数」に二人は大喜びする。
投稿のコメントは全世界から行われていた。
反応が増えるたびに彼らの行為はエスカレートし、最終的には衣服を脱いで身体を重ね始める。
車内にあった酒で酩酊状態となり、獣のように交わる様子を動画に収めた。
裸体に血を塗りたくり、串刺しにした死体を振り回して「ミサキノムラ最高!」と連呼する。
もはや彼ら自身も何をやりたいのか分かっていなかった。
一心不乱に揺れるナオの嬌声を聞きながら、リクは破滅的な笑みを湛える。
(どうせいつか死ぬんだ。後悔しない生き方を選んでやる)
彼らの撮影会は当分終わりそうになかった。
銃身とグリップが割れて部品が飛び出しており、とても使えそうにない。
知識のない二人には修理も不可能だろう。
拳銃の残骸を顔の前に持ってきたリクは、それをじっと見つめる。
彼の目は疑惑に満ちていた。
「……なんかおかしいよなー」
「どうしたの?」
「こんな簡単に銃が手に入るのは不自然だ」
リクは銃の残骸を放り投げた。
地面に転がっていた弾丸をつまんで彼は言う。
「日本って銃を持つのに免許とかいるんだろ。もし免許があってもマシンガンは完全にアウトだ」
「聞いたことある! じゅーとーほー違反だよね!」
「おう、つまりこいつらはヤバい手段で銃を集めてるってことだな」
リクは自信満々に断言した。
ナオが首を傾げて問う。
「ヤバい手段ってたとえば?」
「そりゃ密輸とかヤクザから仕入れるとか……いや、拉致ったヤクザから銃を盗んだ可能性もあるか。とにかくそういう感じのやり方だよ」
「悪い人だねえー」
「本当にな。俺達を見習ってほしいもんだ」
そうぼやくリクはマシンピストルを握る。
彼は死体の持っていた予備弾倉を装填して呟く。
「この装備ならさっきの猟銃の爺さんにも勝てるかな」
「ちょっと厳しいかも……すごく強そうだったし」
「だよなー」
リクは残念そうに眉を曲げた。
それを見たナオが尋ねる。
「りっ君はあのお爺さんに勝ちたいの?」
「脅されてビビったのが悔しくてなぁ。やり返さねえとスッキリしねえだろ」
「確かに! じゃあ見つけて殺さないとね!」
「ああ、今度は絶対にビビらねえぞ。しかも秘策を思い付いた!」
リクは勢いよく立ち上がる。
彼は死体を踏み付けると、ぎらついた顔で力説した。
「どいつもこいつも当たり前みたいに銃を持ってるんだ。たぶんミサキノムラにはもっとすごい武器がある! そいつを奪い取れば爺さんにリベンジできるぞッ!」
「もっとすごい武器ー!?」
「ミサイルとか戦車とかレーザー砲とか……もしかしたら核爆弾かもな!」
「すごーい!」
ナオは満面の笑みで拍手をする。
彼女はリクの発言を本気で信じていた。
より正確に言うなら真偽などに興味はなく、ただ楽しそうなリクと一緒にいられるだけで良かった。
ナオは周囲の死体を見て提案する。
「ねえ、りっ君。わたし達も配信してみる? こんなに死体があったら絶対にバズるよ!」
「面白そうだけどパクるのもなぁ……二番煎じってやつだろ」
「にばんせ……? よく分かんないけどだめなんだねー」
「配信は俺達から映りに行けばいいし、どうせなら違う形で盛り上げたいよな。何か良い方法があればいいが」
リクは村人の遺品を漁りながら悩む。
その時、ナオが「あっ」と何かを閃いてスマートフォンを取り出した。
彼女はスマートフォンのカメラ機能で死体を撮り始める。
不思議に思ったリクは画面を覗き込む。
ナオはSNSのアプリを起動していた。
「何してんだ?」
「写真とショート動画を投稿してるの! わたしフォロワー多いからすぐに拡散されるよ!」
「おお、いいな! 配信を見ない層を狙うわけか!」
「うん! 友達にもシェアした方がいいかな?」
「もちろん! 俺のアカウントでも広めておくぞ! こうなりゃ拡散対決だ! 配信に負けないように頑張るぞ!」
「おーっ!」
リクとナオはさっそく撮影会を開始した。
まず村人達の死体でインターネット上の注目を集め、そこから次々と過激な写真や動画を投稿していく。
スーツケースから取り出した金をばら撒き、白い粉を吸引する姿を自撮りする。
マシンピストルを発砲する姿を撮影する。
斧や剣鉈で死体を損壊させてその血を浴びてみせる。
死体同士の脳を入れ替える。
考え得る残虐な行為を彼らは片っ端から再現していった。
二人はすべての投稿に「#ミサキノムラ」と記載する。
投稿された写真と動画は瞬く間に拡散した。
急激に増える「いいね数」と「フォロワー数」に二人は大喜びする。
投稿のコメントは全世界から行われていた。
反応が増えるたびに彼らの行為はエスカレートし、最終的には衣服を脱いで身体を重ね始める。
車内にあった酒で酩酊状態となり、獣のように交わる様子を動画に収めた。
裸体に血を塗りたくり、串刺しにした死体を振り回して「ミサキノムラ最高!」と連呼する。
もはや彼ら自身も何をやりたいのか分かっていなかった。
一心不乱に揺れるナオの嬌声を聞きながら、リクは破滅的な笑みを湛える。
(どうせいつか死ぬんだ。後悔しない生き方を選んでやる)
彼らの撮影会は当分終わりそうになかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる