禅師白隠の教え

救えない

立派な建物である。
村長宅。
村長室を、叩くと、

はい、どうぞ！

中から女性の声が、応答した。
ん、村長は女性？！
彰裕は、訝しげにドアを開けた。

初めまして、流浪の禅坊主で御座います！
彰裕が挨拶をすると。
目前の村長は、深々と頭を下げて。

初めまして、村長のお通と申します！
歳の頃なら、23.4可愛らしい娘にしか見えない。

何で！
何で！
二人が、異口同音に同じタイミングで質問した。
村長と、彰裕。
意外な、場所に意外な人物。
二人は、興味津々。

お坊さん、来山の理由をお聞かせください！

はい、人民救済の為に参りました！

ほぉ、

で、あなたは振る舞いの鍋を食べたと、聞きますが！
何で？！

はい、郷に入っては郷に従え！
高い処から、立派な論を吐いても民は救えないです！
その境地に、溶け込むのが大事だと！

偉い！
今迄にも、貴方の様な人が来ましたが！
あの鍋に辟易して、さっさと去りました！
然し、貴方には末期癌、肺結核、パーキンソン病、精薄、奇形人に何が出来ますか？！
十人十色、百人百様とは言え、ぶっ飛んでいる。
物凄い業病だ！
白隠禅師は、説く。
現世のあり様は、前世なした業の結果である。
だったら、この人達は何をしたらこんな悲惨な目に、遭うのだろうか？！
不徳の結果が、今ならば。うつては只一つ。

徳を積む事

これしかない。然し、この人々にどんな修行が、出来ると言えるのか？
善い事どころか、悪いことさえ出来ない人々だ。
彰裕は、悩んだ。人民救済の困難さに。
この人々を、禅宗の法力で、、、、、、、、。
思い悩む彰裕。