カルマの法則

実践、十年麻麦の行。

長官の長男に転期。
釈尊に、邂逅して暫くは、持つカルマに翻弄された。
そうする内、いきなり思い立った。

徳を、積もう！

塵も積もれば山となる！

積徳山を築くんだ！

その日から、長官の長男は、清掃行に、徹した。
起床して、朝食を摂ると、雑巾と竹箒を持って、精舎を片端から、綺麗にした。日が昇る頃始めて、西に陽が沈む頃終える。身体から汗が噴き出す。作務衣が一面白の塩を噴いている。
こんな事を、一か月、半年、一年、二年、五年、と懲りもせずに毎日毎日続けていく。彼は、毎日の修行が、楽しかった。そして、十年目。
其処には、別人が居た。

明朗快活、ユーモアのセンスに富み、頭の良い、ハンサムな好青年。
そう、誰あろう、長官の長男である。
彼を、変身させたのは、苔の一年で励んだ清掃行。
平たく言うと、梵行であった。
途中、あろう事か、兄弟子達から、悪口雑言の限りを尽くされ、村八分にもあった。

然し、長官の長男は、
釈尊を信じた。釈尊の成仏法を、信じた。

そして、十年麻麦の行者は、
行満していた。

脳障害の因縁強しを、解脱していた。

周りの者達は、驚愕した。

そして、長官の長男は、法名を戴いた。


彰裕。

晴れの門出である。