安保法案

浅野浩二

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安保法案「のパロディー小説」

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平成27年9月17日。安保法案が、参議院で強行採決された。
この憲法9条に違反する、安保法案を、安倍内閣が、言い出してから、学生も、主婦も、会社員も、要するに、国民の多くが、連日、3万人を超す規模の抗議デモが、国会議事堂前や、各地で、行われるようになった。
その中でも、大学生を中心とする、シールズという、安保法案に、反対の、大きな、デモ団体が、現れ出した。
しかし、安倍晋三首相は、衆議院、参議院の自公の数で、法案を通せるので、安保法案の具体的な、ことは、自分でも、よく分からなかった。しかし、事実上、集団的自衛権を、使って、アメリカの戦争に、自衛隊が、参加できるようになってしまったのである。

9月を過ぎ、10月になっても、シールズの抗議活動は、続いた。

しかし、安保法案が成立した後では、安倍晋三は、うるさい野党や、反、安保法制のデモから、もう、解放されて、気が楽になって、ほっとした。

そんな、ある日のことである。
新宿アルタの、電光画面に、ある光景が、映し出された。
You-Tubeに、アップされた、動画が、そのまま、新宿アルタの、電光画面に、映し出されたのである。
その映像は、安倍晋三夫人、こと、安倍昭恵、(愛称、アッキ―)、が、黒い覆面をした男達に、取り囲まている、映像だった。
アルタの前の、人々は、びっくりした。
その時。
安倍晋三は、通常国会で、大臣席で、居眠りをしていた。
だが、官房長官によって、
「総理。大変です」
と、呼びかけられて、起こされた。
官房長官が、大型のタブレットを、安倍晋三に、渡した。
国会議事堂内でも、ざわめきが、起こって、与野党議員たちは、スマートフォンを、取り出した。
覆面をしている男達は、正座している、安倍昭恵の頸部に、ナイフを突きつけていた。
安倍昭恵は、両手を、背中で、縛られているようである。
「安倍総理。安保法案を廃案にしなさい。あんな、憲法違反の、戦争法案を、強行採決しよう、などとは、とんでもないことです。そんなのは、民主主義でも、何でも、ありません。しない、と、いうのであれば、あなたの、愛妻である、安倍昭恵夫人の、命の保証は、しませんよ」
そう、安倍昭恵の頸部に、ナイフを突きつけている、テロ集団の主犯格とおぼしき男が言った。
安倍晋三は、焦りに、焦った。
「き、貴様たち。一体、何物だ。シールズか?」
安倍晋三がタブレットに向かって、言った。
「さあ。それは、ご想像にお任せします」
主犯格の男は、ふてぶてしい口調で言った。
「あ、あなた。私の身は、構わないで。私は、どうなってもいいわ。それより、テロには、屈しないと、述べた、あなたの政治信念は、決して、曲げないで」
安倍昭恵は、涙を、ポロポロ流しながら、叫んだ。
「さあ。どうします。安倍首相?」
テロ集団の主犯格の男が、ふてぶてしい口調で言った。
「き、貴様たち。シールズだな。卑怯だぞ」
安倍晋三は、タブレットに、怒気を込めて、そう言った。
安倍晋三は、テロ集団は、まず、シールズに間違いないと、確信した。
「卑怯なのは、あなたの方でしょう。自公の数の力で、強引に、法案を通す、などというのが、民主主義なのでしょうか?」
テロ集団の主犯格の男が、ふてぶてしい口調で言った。
「と、ともかく。妻を解放し、バカな事はやめなさい。君達が、何と言おうと、我々は、民主主義に、則った事をしている」
安倍晋三は、タブレットに、怒気を込めて、そう言った。
「そうですか。それでは、我々も、民主主義に、のっとって、行動します」
男は、そう言って、回りの、人間を見回した。
6人の、黒い、覆面をした、男達がいた。
「では。我々も、民主主義によって、決議します。安倍晋三夫人を、拉致監禁することが、自分の良心に照らし合わせて、正しいと思う人は、手を上げて下さい」
主犯格の男が、そう言うと、6人の、黒い、覆面をした、男達、全員が、手を上げた。
主犯格の男は、画面に向かって、
「全員、賛成です。ですから、これは、民主主義の法則によっても、正しい行為ということになります」
主犯格の男が、ふてぶてしい口調で言った。
「ば、バカなことを言うな。そんなのは、民主主義でも、何でもない」
安倍晋三は、怒気のこもった口調で言った。
「では。総理。お聞きしますが、あなたは、フランスの文豪、ビクトル・ユゴーの、小説、「レ・ミゼラブル」を、読んだことがあるでしょう。あの小説で、パンを一つ盗んで19年、刑務所に入れられた、ジャン・バル・ジャンと、最後まで彼を追いかけたジャベール刑事と、どっちが、正しいと思いますか?」
主犯格の男が、ふてぶてしい口調で聞いた。
安倍晋三は、一瞬、ウグッ、と、答えに窮した。
「安倍総理。わかったでしょう。法律を守ることが、絶対的に、正義なのですか。そうでないことは、あの小説を、読めば、一目瞭然です。つまり。法律が間違っていれば、そして、警察にせよ、検察にせよ、法律を行使する人間の心が、間違っていれば、それは、間違った行動となるのでは、ないのですか?」
主犯格の男が、ふてぶてしい口調で言った。
「ば、バカなことを、言うな。そんな子供じみたことを・・・。あれは、作り物の、お話しだ」
安倍晋三は、そう言いかえしたが、額に汗が滲み出ていた。
「安倍総理。あなたは、さかんに、法律、法律、と言いますが・・・。我々も、日本の法律は、心得ています。我々のしていることは、確かに、日本の法律で、犯罪となるでしょう。しかし、だから、どうだと言うのです。我々は、日本の警察に、捕まえられたら、日本の法で、裁かれるでしょう。そのことは、我々も、覚悟しています。我々は、捕まえられたら、日本の司法で裁かれます。裁判員制度の、裁判によって・・・。我々は、命をも惜しんでいません。裁判では、我々は、我々の正直な心を述べて、日本の司法に裁かれる覚悟が出来ています」
主犯格の男が、ふてぶてしい口調で言った。
「と、ともかく。理屈を言っていないで、やめなさい。今、妻を解放すれば、君達の罪は問わない」
安倍晋三は、焦って言った。
「安倍総理。あなたの言うことは、全く、おかしい。あなたは、行政官の長、であって、司法の権限はない。日本の法律は、三権分立であって、あなたに、我々の、行動の、罪と罰を、決定する権限など、ありません。あなたは、そんなことも、わからないのですか?」
と。主犯格の男が、ふてぶてしい口調で言った。
安倍晋三は、うぐっ、と、咽喉を詰まらせた。
軽はずみなこを言ってしまった後悔から。
「あ、あなた。私の身は、構わないで。私は、どうなってもいいわ。それより、テロには、屈しないと、述べた、あなたの政治信念は、決して、曲げないで。私は自分一人の命なんかより、総理大臣夫人としてのプライドを守りたいのです」
後ろ手に縛られて、正座している安倍総理夫人は、涙を、ポロポロ流しながら、叫んだ。

うぐっ、と、安倍晋三は、咽喉を詰まらせた。
「安倍総理。では、今から、考える時間を、5分、あげます。その間に、安保法案を廃案にするか、しないか、決断して下さい。安保法案を強行採決するならば、安倍総理夫人の処刑を開始します」
主犯格の男が、ふてぶてしい口調で言った。
「あ、あなた。私の身は、構わないで。私は、どうなってもいいわ。それより、テロには、屈しないと、述べた、あなたの政治信念は、決して、曲げないで。私は自分一人の命なんかより、総理大臣夫人としてのプライドを守りたいのです」
後ろ手に縛られて、正座している安倍総理夫人は、涙を、ポロポロ流しながら、叫んだ。

安倍晋三は、悩んでいた。
テロ集団の要求を聞くか、どうかで。
もちろん、愛する妻の命には、かけがえがない。さらに、安倍晋三は、北朝鮮の、日本人拉致問題で、邦人の命を、何より、大事にする政治家として、の、国民の信頼がある。「国民の生命と財産を守る」というのが、安倍晋三の、キャッチフレーズである。テロ集団の要求を無視したら、邦人の命を、軽んじる、総理大臣と見なされ、国民の、信頼を失ってしまう。
しかし。テロ集団の要求を、受け入れてしまったら、「テロには、断じて屈しない」と、いう、総理大臣の、政治信念を、テロリストの要求に従って、いとも容易に、破ってしまう、弱腰の総理大臣と見なされてしまい、これもまた、国民の、信頼を失ってしまう。
膠着した状態の、しばしの時間が、いたずらに、流れていった。
その5分は、あたかも、1時間、ほどにも、長く感じられた。
「あと、1分です」
「あと、30秒です」
主犯格の男が、腕時計を見ながら、カウントダウンしだした。
「あと、10秒です」
「3・・・2・・・1・・・0。はい。時間です。安倍総理。あなたの判断では、邦人の命は、どうでも、いいと、いうのですね。では、処刑を開始します」
主犯格の男が言った。
主犯格の男は、昭恵の、後ろ手の縄を解いた。
「さあ。着ている物を全部、脱いで下さい」
と、主犯格の男が言った。
「は、はい」
そう言って、昭恵は、立ち上がって、着ている物を脱ぎ出した。
振るえる手で、ブレザーを脱ぎ、そろいの、スカートを脱いだ。
そして、シャツを脱ぎ、タンクトップを脱いだ。
テロ集団に囲まれ、ましてや、自分の行動は、すべて、日本国民に、You-Tubeで、見られているのである。
その思いのため、から、昭恵に、激しい羞恥心が起こり、服を脱ぐ動作は、ためらいがちになった。
しかし、それが、逆に、エロチックさを、醸し出した。
女が服を脱ぐ時、スパッと、ためらいなく脱ぐより、羞恥心から、恥ずかしげに、もどかしそうに、脱ぐ方が、エロチックなのは、言うまでもない。
そうして、昭恵は、ついに、パンティーと、ブラジャーだけの姿になった。
女の最後の羞恥心から、それ以上は、どうしても、脱ぐことが出来なくて、昭恵は、憐みを乞う視線を、主犯格の男に向けた。
「さあ。その下着も、脱いで、下さい」
主犯格の男は、情け容赦ない、非情の口調で命じた。
昭恵は、逆らうことが出来なかった。
テロ集団の男達は、みな、登山ナイフを持っている。
その中の一人は、どうやって、手に入れたのか、拳銃まで、持っている。
昭恵は、手を震わせながら、ブラジャーを外し、そして、パンティーを脱いだ。
それによって、昭恵は、ついに、一糸まとわぬ、丸裸になった。
女の羞恥心から、片手を胸に当て、片手で、秘部を隠した。
それは、ちょうど、ボッティチェリの、「ビーナスの誕生」の図だった。
昭恵は、夫の安倍晋三より、10歳、年下で、53歳で、まだ、女の色香が、残っていた。
歳をとって、脂肪が、つき出してはいるが、まだ、熟女の色香が昭恵には、かろうじて残っていた。
20代の、聖心女子大の頃は、ミス・聖心女子大の候補にあがったことも、あったのだから、無理もない。
昭恵は、羞恥と、恐怖に、打ち震えていた。
主犯格の男は、昭恵の、両手を、ムズと、掴むと、容赦なく、手首を縛り上げた。
「ああっ」
昭恵は、思わず、声を上げた。
手首を、縛られたことで、胸と、秘部が、隠せなくなってしまったからである。
昭恵の、弛みがちな乳房と、アソコが、露わになった。
主犯格の男は、手首を縛った、縄の縄尻を、昭恵の上にある、部屋の、梁に引っかけ、グイッと、縄尻を、引っ張っていった。
それにつれて、どんどん、昭恵の手首は、頭の上に引っ張られていき、昭恵は、梁から、吊るされた格好になった。
昭恵の、全裸姿が丸見えとなった。
「ああー」
昭恵は、羞恥と恐怖で、叫び声を上げた。
聖心女子大の頃の20代では、ミス聖心女子大とも、絶世の美女とも呼ばれた昭恵も、50を超した今では、確実に、おばさん、になっていた。
張りのあった乳房は、弛み、腰と腹には、かなり贅肉がついていた。
しかし、昔とった杵柄、というか、腐っても鯛、というか、で、まだ、それなりに、女としての、色気はあった。
さらに、柿は、出始めの頃の、硬い柿もいいが、熟して、少し、崩れかけの柿にも、うま味が出てくるように、女も、20代のピチピチギャルも、いいが、50を過ぎたばかりの、熟女にも、それなりの、独特の、熟した、崩れかけの魅力というものが、出てくるものなのである。
「安倍総理。さあ、どうしますか?」
主犯格の男が聞いた。
しかし、安倍晋三は、何も言わない。
「ノーコメントですか。安倍総理。それでは、処刑を始めます」
主犯格の男は、冷酷な口調で言った。
「我々も、出来ることなら、こんなことは、したくないのです。ですから、処刑は、まずは、軽い行為から、行います。あたなが、安保法案を廃案にしないと、強情を張るのであれば、処刑も、厳しいものにしていきます。では、まず、処刑1を開始します」
主犯格の男が、そう言った。
男は、丸裸で、吊るされた昭恵の後ろに立った。
そして、両手を前に出して、ガラ開きの、昭恵の乳房に、ピタリと当て、ゆっくりと、揉み出した。
聖心女子大の頃の20代では、町を歩いている通行人の誰もが、思わず目を見張らずにはいられなかった、見事だった乳房も、50を超した今では、かなり弛んで、弾力もなくなっていた。
(医学的に言うと、クーパー靭帯が緩む、ということなのだが)
しかし、昔とった杵柄、というか、腐っても鯛、というか、で、まだ、それなりに、女の乳房には、違いなかった。
男は、昭恵の、乳房を念入りに揉んだ。
そして、時々、乳房の上にある、乳首をつまんで、コリコリさせた。
男の、手練手管は、実に巧みだった。
「ああー」
昭恵は、声をあげた。
しかし、それは、恐怖心からの、悲鳴とは、断定できない。
もしかすると、性器を刺激された、ことによって、起こった、快感の官能の、喘ぎ声の可能性も否定は、できない。
男は、揉んでいた、片方の手を、昭恵の乳房から離した。
そして、ゆっくりと、じらすように、手を下に這わせていった。
手は、臍を超え、女の秘部に達した。
男は、中指を一本、立てると、ゆっくりと、その指を、女の穴に入れた。
そして、ゆっくりと、指を、動かし出した。
その間も、片方の手は、昭恵の、乳房を、念入りに、揉んでいた。
「ああー」
昭恵は、声をあげた。
しかし、それは、恐怖心からの、悲鳴とは、断定できない。
もしかすると、性器を刺激された、ことによって、起こった、快感の、喘ぎ声の可能性も否定は、できない。
その証拠に、昭恵の、アソコが、クチャクチャと音をたて始め、トロリとした、白濁液が、アソコから、出始めていた。
「ああー。ああー」
昭恵は、悲鳴をあげ続けた。
「昭恵。大丈夫か。シールズの諸君。バカな真似は、すぐに、やめたまえ。君達のやっていることは正義の名を借りたテロだ。イスラム国と、何ら、変わりない。それが、わからないのか?」
安倍晋三は、怒って怒鳴った。
「安倍総理。我々をイスラム国、呼ばわりするのは、心外ですな。イスラム国と、我々には、決定的な違いがあります。総理。あなたには、その違いが、わかりますか?」
主犯格の男が聞いた。
「何をバカなことを言っている。イスラム国と、君達に、何の違いがあると言うのだ?」
安倍晋三が聞き返した。
「総理。あなたは、頭が悪い。まあ、成蹊大学なんて、小学校から、中学、高校、大学と、ほとんど、無試験で、エスカレーター式に、卒業しただけなのですから、無理もありませんが。もっとも、東大を出ていても、バカは多いですけど」
そうなのである。安倍晋三は、勉強嫌いで、成績は、いつも、クラスで最下位だった。
本当は、成蹊大学も、落第点だったのだが、父親の七光りの、莫大な、寄付金によって、ちゃっかり入ったのである。
「さあ。昭恵さん。言いたいことがあれば、何でも言って下さい」
そう言って、主犯格の男は、マイクを、昭恵の口に近づけた。
「あ、あなた。私の身は、構わないで。私は、どうなってもいいわ。それより、テロには、屈しないと、述べた、あなたの政治信念は、決して、曲げないで。私は自分一人の命なんかより、総理大臣夫人としてのプライドを守りたいのです」
安倍総理夫人は、涙を、ポロポロ流しながら、叫んだ。
「安倍総理。どうですか。わかりましたか。彼女は、死んでも構わない、と言っているのですよ。だから、我々が、彼女を殺しても、相手の同意を得た殺人ということになります。もちろん、捕まって、司法に委ねられたら、我々は、無罪とは、ならないでしょう。私は、法律には、詳しくないですけれど、相手の同意を得た殺人は、合意殺人と言うのか、殺人幇助罪となるのか、わかりません。しかし、イスラム国の人質の殺人の場合は、人質は、死を望んではいません。その人を殺すのは、完全な殺人罪です。しかも、イスラム国が、要求するのは、100億ドルとかの、金、テロのための軍資金です。しかし、我々が、要求しているのは、日本国憲法を守ってくれ、自衛隊を、実質的な軍隊にして、アメリカの戦争に協力して、無辜の民間人を殺すような法律は、作らないでくれ、という要求です。つまり、我々が、求めているのは、無辜の民間人を殺さないでくれ、という、平和を求める、心からの叫びです。これが、どうして、イスラム国と、全く同じなのですか?」
うぐっ、と、安倍晋三は、返答に窮した。
「と、ともかく。君達のやっている事は、テロであるということは事実だ」
安倍晋三が言った。
「総理。あなたの答弁は、野党の質問に対する答弁と、全く、同じですね。あなたは、質問と、全く関係の無い答弁ばかりする。我々と、イスラム国とは、違うと、今、私は、論理的に、説明しました。もう一度、聞きます。我々と、イスラム国とは、全く同じで、違いは、無いという、考えですか?」
主犯格の男が聞いた。
「と、ともかく。君達のやっている事は、テロであるということは事実だ」
安倍晋三は、怒気を込めて言った。
「ほら。あなたは、質問に対して、ちゃんと、答えようとしない。我々の要求は、安保法案の廃案です。我々は、死ぬ覚悟の腹はくくっています。さあ。どうしますか。安保法案を廃案にしますか?それとも強行採決しますか?」
男が聞いた。
「廃案には出来ない」
安倍晋三は、額に皺を寄せながら、毅然と答えた。
シールズなんて、所詮、学生だから、人を殺す度胸なんて無いだろうと、安倍晋三は、なめていたのである。
「そうですか。それでは、交渉は決裂ですね。では、可哀想ですが、処刑の第2段階、を開始します」
主犯格の男が、そう言った。
男は、鞭を取り出して、持って、吊るされた昭恵の後ろに立った。
男は、ムチを振り上げると、脅えている昭恵の、尻めがけて、思い切り、ムチを振り下ろした。
ビシーン。
激しい炸裂音がした。
ムチが、昭恵の、尻に、当たったのである。
「ああー」
昭恵は、大きな悲鳴を上げた。
ビシーン。
ビシーン。
ビシーン。
男は、容赦なく、昭恵の、尻といい、背中といい、所かまわず、つづけざまに、ムチ打った。
さらに、少し、近づいて、男は、鞭打った。
ムチは、背後から、昭恵の、体に、巻きついて、その先端は、昭恵の、胸や、腹に、ビシーンという、激しい炸裂音と、同時に、厳しい、辛い、一撃を与えた。
「ああー。い、痛いー」
昭恵は、大きな悲鳴を上げ続けた。
体を激しく、くねらせながら。
昭恵は、さかんに、モジモジと、足を交互に、踏んだ。
それは、耐えられない苦痛を受けている人が、無意識のうちに、とってしまう、やりきれなさ、から何とか逃げようとする、苦し紛れの、無意味な、動作だった。
その動作の激しさ、からして、昭恵の、受けている苦痛の程度が、察された。
しはし、鞭打った後、男は、鞭打ちを止めた。
そして、カメラの方に向いた。
「さあ。総理。どうしますか。もう一度、聞きます。安保法案を廃案にしますか?それとも強行採決しますか?」
男が言った。
「は、廃案には出来ない」
安倍晋三は、額に汗を流し、手で、ズボンの膝の所をギュッと握り締め、体をブルブル震わせながら言った。
シールズなんて、所詮、学生だから、人を殺す度胸なんて無いだろうと、安倍晋三は、なめていたのである。
「そうですか。それでは、交渉は決裂ですね。では、可哀想ですが、処刑の第3段階、を開始します」
男は、冷酷に、突き放した口調で言った。
男は、登山ナイフを取り出すと、それを、昭恵の体に刺し、ツーと体の上を引いていった。
ナイフの走行した跡に、赤い血の筋が出た。
「ああー」
昭恵が、叫んだ。
「どうですか。我々が、命をかけていること、本気であることが、わかったでしょう?もう一度、聞きます。安保法案を廃案にしますか?」
主犯格の男が、言った。
ムグッ。
「・・・・」
安倍晋三は、答えない。
額に汗を流しながら。
「そうですか。それでは・・・」
と言って、主犯格の男は、昭恵の上腕をナイフで刺した。
赤い血が、バッと、噴き出した。
「ま、待て」
安倍晋三が、言った。
「わ、わかった。安保法案は廃案にしよう。その代り、昭恵をこれ以上、傷つけるな」
安倍晋三が言った。
この政治判断は、極めて、もっともなことで、国民が、処刑されるのを、まざまざと、見逃したとあっては、国民の信頼を完全に失ってしまう。
安倍晋三、のキャッチフレーズは、「国民の生命と財産を守る」であるからである。
全国民も、皆、見ている。
戦争や、戦闘行為なんてのは、それを、見ていないと、殺人という実感が、わかないが、その光景をもろに、視覚で、見せつけられると、刺激が強すぎて、国民、全員が、反戦を訴えるものなのである。

「野党の諸君。安保法案は廃案にする」
安倍晋三が言った。

こうして安保法案は廃案になった。

その夜、極秘裏のうちに、安倍昭恵は、首相官邸にもどされた。
「体の傷を見せろ。すぐ救急車を呼ぶから」
安倍晋三が言った。
「その必要はないわ。私は、大丈夫よ」
そう言って、昭恵は、肌を見せた。
ナイフで、刺されたはずの、傷が無い。
「一体、これは、どういうことなんだ?」
安倍晋三が聞いた。
「あのナイフは、マジック・ナイフと言って、プラスチックで出来ていて、先端は、破れやすいテープで、ナイフの中に、赤いインクが入っていて、指すと、バッっと赤いインクが、飛び出して、人を本当に刺したように、見える物なの。映画やマジックに使う物なの」
安倍昭恵が言った。
「そうだったのか。まんまと、シールズの作戦にしてやられてしまったな」
安倍晋三は、口惜しそうに言った。
「でも、それなら、お前は、どうして、刺された時、悲鳴をあげたりしたんだ?」
安倍晋三が聞いた。
「あのね。あの人達は、シールズの人達じゃないわ」
安倍昭恵が言った。
「ええっ。じゃあ、一体、彼らは、何物なんだ?」
「アダルトビデオの男優たちよ」
「一体、どういうことなんだ。最初から、説明しろ」
安倍晋三が言った。
「前から、言ってたけれど、私、安保法案に反対したのに、あなた。聞いてくれなかったでしょ。だから、アダルトビデオ会社に、頼んで、ああいう、お芝居をしてもらったの」
安倍昭恵は、家庭内野党で、安倍政権の、原子力政策、環太平洋連携協定、消費増税などに関しては、メディアや講演などで公然と批判をしている。のである。
疑うムキがあれば、「安倍昭恵」の、Wikipediaを見られよ。
「でも、全国民の前で、裸になったり、鞭打たれたり、されるのを、見られるのが、嫌じゃなかったのか?」
安倍晋三が聞いた。
「そりゃ、ちょっとは、恥ずかしかったわ。でも、私は、ミス聖心女子大に、選ばれたほどの美貌でしょ。でも、昭和62年に、私が、26歳の時、あなたと結婚したでしょ。あの時、あなたは、神戸製鉄を辞めて、父親の秘書をしていて、将来は、政治家に立候補する、つもりだったじゃない。あんな、結婚、政略結婚よ。私。もっと自由に、生きたかったわ。でも、あなたが、国会議員に当選したら、国会議員の妻は、自由なことが出来なくなるでしょ。あなたと結婚した後、私のビキニ姿の、写真集を出したいと言ってきた出版社もあったけど、あなたは、ダメだって、言ったでしょ。だから、私の美貌を、国民みんなに、見てもらいたくて・・・。女も、53歳なら、ギリギリ、セーフでしょ。女は、中年になると、美貌が、日に日に、壊れていくのが、耐えられなくって、ヌード写真を、撮って欲しくなるものなのよ。だって、私みたいな女は、美貌、以外に何の取り柄もないでしょ。だから、せめて、私のヌード写真や、ヌード動画、を、後世に残したいと思ったの。だから、恥ずかしかったけれど、嬉しさもあったわ。それと・・・。せめて、子供が産まれてくれれば、それを生きがいに出来るけれど。あなたも、頑張ったけど、産まれなかったでしょ。そもそも、あなたのセックスは、前戯が無く、最初から、いきなり挿入して、ガンガン突くだけで、あんなんじゃ、女は感じないし、子供だって出来やしないわ。私。アダルトビデオ男優に、ペッティングされた時、初めて女の喜びを感じちゃったの。53歳まで、女の喜びを知らない、女の気持ちが、あなたに分かって?」
アッキー(安倍昭恵の愛称)は、笑いながら、そう言った。
「くそっ。そうだったのか。まんまと、お前に、はめられたな」

安倍晋三にとっては、こんな、間の抜けた事実を、マスコミに知らせるわけには、いかない。
なので、さっそく、やって来た、警視総監には、事件の捜査は、してはならない、と、固く命じた。
もちろん、マスコミにも、圧力をかけて、事実関係を、シャットアウトした。
ただ、昭恵夫人が救出されたことだけは、国民に伝えられた。
国民は、さっぱり、訳の分からないまま、あの動画を事実として、信じた。
聖心女子大の親友達からは、「アッキ―。たいへんだったわね。傷は大丈夫?」というメールが、殺到して届いた。
アッキ―は、「大丈夫よ。私。優秀な整形外科の先生にかかって、傷口が、全く、わからないほどに、治療してもらったわ」という、返信メールを送った。

こうして、安保法案は、廃案となり、日本は、憲法9条の制約のもとに、自衛隊の活動は、個別的自衛権だけを、認めるだけにとどめた、平和主義国家にもどった。




平成27年11月12日(木)擱筆
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