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しおりを挟む本当に嘆かわしいことだ
テオはただただ情けない主人がとんでもない方向に思考を転換させなければ良いと願った自分を呪った。
あぁ身分差がこんな時に俺に向かってくるなんて
本当ならばこいつを部屋から放り出してしまいたい。そんな気持ちを抑え込みテオは主人の気持ちが落ち着くように誘導していく。
「こんなところで呻いていても仕方がないですよ。とりあえず明日ティーマリン様にお手紙を書いてみてはいかがでしょうか?上手くいけばデートに誘うこともできますし、その時に手を触れ合わせてみればよいのでは。貴方とは違いティーマリン様はまだうら若き乙女。煩悩でいっぱいの殿下のことなど考えもしないでしょう。きっと殿下のことを紳士で素敵な王子様だと思っておりますよ。このまま行くと殿下は間違いなくボロが出て結婚式後上手く初夜なんてこなせそうにないですしょうからね。とにかく数をこなしてティーマリン様が隣にいることに慣れた方が良いですよ。」
テオはニッコリと微笑んだ。早く出ていってくれと言う意味をたっぷりとのせて。
彼とは違い、朝早い俺はそろそろ寝たいのだ。
グネグネと動いていた身体がピタッと止んだ。
アルバートは体を起こすとうんうんと深く頷き「そうだな。流石はテオだ。」と言うと礼をいい去っていった。
テオは胸を撫で下ろした。
こんにちは平和
リターン眠気
ーーーーー
部屋に戻ったアルバートはガウンを脱ぎ捨てて自身の大きすぎるベッドにダイブした。そして枕元に飾ってある昨日送られてきたティーマリンの写真を手にする。
あぁなんて可愛らしい俺の天使ちゃん
口角が自然にあがり目元がしんなりとする。彼女がもうすぐ自分の元にやってくると考えるだけで毎日が彩り豊かになっていく。
天使ちゃんがやってきたらいつでも甘やかし、特に夜は淫らな囁きをたっぷりと耳の注ぎ込み自分以外の人など目に入らぬようにしよう。何年も抑え込んだのだ。このくらいの仄暗い独占欲は許されるだろう。
そのためにも慎重にならなければならない。ゆっくりと丁寧に手解きをして自分に堕ちて貰わなくてはならない。今こんなところで躓くわけにはいかない。
気を引き締めないとな
ふぅーと息を吐きゴロリと仰向けになる
いつもと何一つ変わらない景色
豪華なシャンデリアの光が無機質にただキラキラと輝いている。
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