貧乏伯爵令嬢は王弟に嫁ぐ

mimi

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「アルバートさん貴方は私に似せて精巧につくられているアメリア3号と致すことができるのかしら?」

頭に何個も怒りマークをつけたアメリアは絶対零度の微笑みで義弟を見つめた。

「‥で、できません」

シュンとしてアルバートは答えた。

「そうだバートよ、お前もティーマーリンちゃん1号を制作すればよいではないか」

さも名案だというようなしたり顔をして国王が言うと

「兄上、そんなことは俺だってとっくに試したよ。だけどどこから聞きつけたのか毎回毎回あの狸ジジィが邪魔をするんだ」

涙目で国王にアルバートを縋り付く。

「そ、そうか‥」

するとすかさず王妃は疑問点を口にする。

「因みにおいくつの時のティーマーリンちゃんのお人形さんを作ろうとしたのかしら?」

間髪入れず

「彼女が8歳の時だけど」

ちょっと拗ねたように唇を若干尖らせながら言った。

「「‥‥((まじか))」」

その瞬間、国王夫妻(と使用人たち)はジトッとした目でアルバートを見た。

「(あの子はロリンコンなのかしら?)」

「(否定できんな)」

「(マックスウェル公はよくこの婚約を許したわね)」

「(そうだな)」

夫妻は自然で会話していたが頭の中はティーマーリンのことでお花畑状態になっているアルバートには夫妻のジトッとした冷たい視線に気がつかなかった。

「バート、もしも馴れ初めを聞かれてもおじ様の紹介だと言うことにしなさい」

どうもティーマーリンのことになると頭のネジが弾け飛んでしまう弟がつい、うっかり
"8歳のティーマーリンに恋をしました"
と外で口に出すことがないようにと願った。

そんなことになってはせっかくお嫁に来てくれるティーマーリン嬢が酷である。

「ティーマーリンちゃんが心配だわ。そのままアルバートさんが暴走してしまったらどうしましょう」

アメリアは真剣に近いうちに義妹になる子のことが心配で仕方がなかった。
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