貧乏伯爵令嬢は王弟に嫁ぐ

mimi

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あの子を手に入れてから3日

理性vs本能

おじ様の取り決めのお陰で火蓋が落とされた。
王宮から馬車で20分圏内にティーマーリンがいる。それなのに今日も俺は公務に追われていた。

あの狸じじいめ

私が盛りに行かぬようわざと雑務まで回してきている。

あぁ愛しいティーマーリン
早くその美しいお前を舐め回したい

俺は書類に目を通しながら煩悩と闘っていた。もっと詳しく言えば、俺の息子と闘っていた。


ーーー

ティーマーリンは儚げな容姿をしているが中身はまるでおっさんだった。
アリーナからは"儚げ詐欺"と呼ばれている。

全体的に薄っぺらい身体(勿論、胸だけが豊かと言う都合の良い発育はしていない)に今にも折れそうな枯れ木のような手足に片手でへし折れそうな首にふわふわのプラチナブロンド、金色の美しい睫毛、極め付けに深いブルーの瞳、この世の人ではない、天使のような容姿をしている。

その為、口を開かなければ神秘的な雰囲気を漂わせる美少女なのだ。

本人もそれをよく自覚しており、おっさん状態は親族の前でしか出さないように細心の注意を払っていた。

ここまで本性がバレなかったのはパメット伯爵家が貧乏すぎて必要最低限のパーティーにしか出席してしなかったからだ。あぁなんと幸運なことか(涙)

多くの貴族たちが、

あぁ、持参金がほんの少しでもついていれば、是非とも娶りたい!(資本主義に移行しつつあるこの国は残念なことに貴族はどこもジリ貧なのだ。)

と思うような美少女、それがティーマーリンだ。


現在、ティーマーリンは好みど真ん中の容姿アルバート様に求婚され舞い上がっていた。どうして今までハイスペックな男が売れ残ったいたのかを全く考えられない状態だった。

それどころかティーマーリンは祖父のセカンドハウスの自室で堅苦しいドレスをポイポイと脱ぎ捨ててアンダードレスとドロワーズのみでベッドの上をはしたなくピョンピョンと飛び回っていた。

あぁ、日頃の行いが良かったから神様が慈悲を与えてくれたんだわ!

ティーマーリンは天を仰ぎ祈りのポーズではなくガッツポーズをした。

「うふふふふ」

口から不気味な声が無意識に流れでる。


そんな娘の様子をドアの隙間から盗み見ていたパメット夫妻と監視の為、マックスウェル公爵家筆頭執事のロットは思わず溜息を吐いた。


ロットは現在63歳の老執事
彼はふとアルバート殿下の性格を思い出しこちらもティーマーリンと違う意味で天を仰いだ。

何故ならロットはマックスウェル公爵家筆頭執事を自身の息子に譲りアルバート殿下とティーマーリンに仕える予定だからだ。

ご主人様!最後の最後になんて無慈悲なことを!

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