2 / 12
2
しおりを挟む
当日、両親に連れられティーマーリンはマックスウェル公爵の家に来ていた。
「ティナ、二年ぶりねぇ」
いとこであり最も仲の良い親友でもあるアリーナがティーマーリンに抱きついた。
「アリー、今日はステキなお茶会にお招きいただきありがとう。会えて嬉しい」
ティーマーリンもアリーナに抱きついた。
「おぉ、ティナ。また美しくなった。会いたかったよわたしの愛しい孫娘」
そんな孫娘2人にマックスウェル公爵は近寄り彼女たちの肩を抱いた。
「アリーナ、ティナをあの方に別室で合わせるからお前はお前の父親と供にいなさい」
「ええ、わかったわお爺様。ティナ、後で話を聞かせてちょうだいね」
アリーナはティーマリンをもう一度抱きしめた後、お茶会に戻って行った。
「お爺様、末席の私にまで目をかけてくださり感謝しています。」
「気にするでない。ティナも私の可愛い孫娘なのだから。」
ティーマリンがおずおずと祖父に対し礼を言うと公爵は愛しそうな目で私を見つめて頭を優しく撫でた。
「髪が崩れてしまいます」
そばに仕えていた執事にすぐさま注意されると、公爵は
「おっと、それはすまないねぇ」
と、戯けながらも残念そうにしている。
公爵は亡き妻に似た娘にそっくりの孫娘に構いたくて仕方がないのだ。
公爵は頭を撫でるのを諦め、幼子にするようにティーマリンの手を取って優しく握った。
「こっちだよ」
ティーマリンは祖父に久し振りに手を引かれながら最も美しい客間の前に来ていた。祖父はティーマリンの手をしっかりと握りながら部屋に入った。
その瞬間、ティーマリンは絶句して立ち竦んだ。
あぁ、これは間違いなくお見合いだと確信して
「やぁバート、この子が私の愛しい孫娘ティーマリンだ。ほら、ティーマリン挨拶を」
「はじめまして私、パメット伯爵の娘、ティーマリンでございます。」
「はじめまして可愛らしいレディー。私はアルバート ティムールです」
アルバートは背の小さいティーマリンに合わせて腰を屈めて手を取りその手の甲にキスをした。
「えっ…」
ティーマリンは顔を赤くした。
アルバート ティムールは現王の歳の離れた弟で祖父の甥に当たる。
「おじ様、酷いですよ。こんな可愛らしい孫がいたのに僕に隠しているなんて。ティーマリン、歳はいくつかい?」
「今年で16になりました」
その瞬間、アルバート様は驚いた顔をした。
「そうかい。じゃあすぐに僕の妻になれるね、でもおじ様いいの?僕は今年で34歳だよ。こんなに可愛い16歳のレディーを貰っても?」
「あぁ、バートがティナを何よりも大事にしてくれるならよい。もちろん、ティナの気持ちも大事だが‥ティナ、バートは誠実で実直でよい男だ。お前が良ければ婚姻しなさい」
「は、はい」
きっと私の顔は今、真っ赤に染まっている。
だって、王弟殿下は私の好みの顔だったから!!そのためか私の脳みそは一切働かず、首が肯定を示す為にただ上下にカクカクと動いていた。そんな私をみてアルバート様はクスリと笑っていた。
「よかった、嬉しいな」
鼻の下に左手の人差し指を恥ずかしげにそえながらアルバート様は答えた。
無礼ながら私は王弟殿下の頭に犬の耳が見えた気がした。
ーーー
この時の私は、殿下の顔の美しさに気を取られて本当に頭が働いていなかった。
顔良し、性格良し、家柄良しの王弟殿下が何故売れ残っていたのか?疑問に思い調べるべきだったのに!
こうして、天然ポンコツ殿下と私は婚約した。
「ティナ、二年ぶりねぇ」
いとこであり最も仲の良い親友でもあるアリーナがティーマーリンに抱きついた。
「アリー、今日はステキなお茶会にお招きいただきありがとう。会えて嬉しい」
ティーマーリンもアリーナに抱きついた。
「おぉ、ティナ。また美しくなった。会いたかったよわたしの愛しい孫娘」
そんな孫娘2人にマックスウェル公爵は近寄り彼女たちの肩を抱いた。
「アリーナ、ティナをあの方に別室で合わせるからお前はお前の父親と供にいなさい」
「ええ、わかったわお爺様。ティナ、後で話を聞かせてちょうだいね」
アリーナはティーマリンをもう一度抱きしめた後、お茶会に戻って行った。
「お爺様、末席の私にまで目をかけてくださり感謝しています。」
「気にするでない。ティナも私の可愛い孫娘なのだから。」
ティーマリンがおずおずと祖父に対し礼を言うと公爵は愛しそうな目で私を見つめて頭を優しく撫でた。
「髪が崩れてしまいます」
そばに仕えていた執事にすぐさま注意されると、公爵は
「おっと、それはすまないねぇ」
と、戯けながらも残念そうにしている。
公爵は亡き妻に似た娘にそっくりの孫娘に構いたくて仕方がないのだ。
公爵は頭を撫でるのを諦め、幼子にするようにティーマリンの手を取って優しく握った。
「こっちだよ」
ティーマリンは祖父に久し振りに手を引かれながら最も美しい客間の前に来ていた。祖父はティーマリンの手をしっかりと握りながら部屋に入った。
その瞬間、ティーマリンは絶句して立ち竦んだ。
あぁ、これは間違いなくお見合いだと確信して
「やぁバート、この子が私の愛しい孫娘ティーマリンだ。ほら、ティーマリン挨拶を」
「はじめまして私、パメット伯爵の娘、ティーマリンでございます。」
「はじめまして可愛らしいレディー。私はアルバート ティムールです」
アルバートは背の小さいティーマリンに合わせて腰を屈めて手を取りその手の甲にキスをした。
「えっ…」
ティーマリンは顔を赤くした。
アルバート ティムールは現王の歳の離れた弟で祖父の甥に当たる。
「おじ様、酷いですよ。こんな可愛らしい孫がいたのに僕に隠しているなんて。ティーマリン、歳はいくつかい?」
「今年で16になりました」
その瞬間、アルバート様は驚いた顔をした。
「そうかい。じゃあすぐに僕の妻になれるね、でもおじ様いいの?僕は今年で34歳だよ。こんなに可愛い16歳のレディーを貰っても?」
「あぁ、バートがティナを何よりも大事にしてくれるならよい。もちろん、ティナの気持ちも大事だが‥ティナ、バートは誠実で実直でよい男だ。お前が良ければ婚姻しなさい」
「は、はい」
きっと私の顔は今、真っ赤に染まっている。
だって、王弟殿下は私の好みの顔だったから!!そのためか私の脳みそは一切働かず、首が肯定を示す為にただ上下にカクカクと動いていた。そんな私をみてアルバート様はクスリと笑っていた。
「よかった、嬉しいな」
鼻の下に左手の人差し指を恥ずかしげにそえながらアルバート様は答えた。
無礼ながら私は王弟殿下の頭に犬の耳が見えた気がした。
ーーー
この時の私は、殿下の顔の美しさに気を取られて本当に頭が働いていなかった。
顔良し、性格良し、家柄良しの王弟殿下が何故売れ残っていたのか?疑問に思い調べるべきだったのに!
こうして、天然ポンコツ殿下と私は婚約した。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました
しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。
そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。
そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。
全身包帯で覆われ、顔も見えない。
所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。
「なぜこのようなことに…」
愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。
同名キャラで複数の話を書いています。
作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。
この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。
皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。
短めの話なのですが、重めな愛です。
お楽しみいただければと思います。
小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる