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当日、両親に連れられティーマーリンはマックスウェル公爵の家に来ていた。
「ティナ、二年ぶりねぇ」
いとこであり最も仲の良い親友でもあるアリーナがティーマーリンに抱きついた。
「アリー、今日はステキなお茶会にお招きいただきありがとう。会えて嬉しい」
ティーマーリンもアリーナに抱きついた。
「おぉ、ティナ。また美しくなった。会いたかったよわたしの愛しい孫娘」
そんな孫娘2人にマックスウェル公爵は近寄り彼女たちの肩を抱いた。
「アリーナ、ティナをあの方に別室で合わせるからお前はお前の父親と供にいなさい」
「ええ、わかったわお爺様。ティナ、後で話を聞かせてちょうだいね」
アリーナはティーマリンをもう一度抱きしめた後、お茶会に戻って行った。
「お爺様、末席の私にまで目をかけてくださり感謝しています。」
「気にするでない。ティナも私の可愛い孫娘なのだから。」
ティーマリンがおずおずと祖父に対し礼を言うと公爵は愛しそうな目で私を見つめて頭を優しく撫でた。
「髪が崩れてしまいます」
そばに仕えていた執事にすぐさま注意されると、公爵は
「おっと、それはすまないねぇ」
と、戯けながらも残念そうにしている。
公爵は亡き妻に似た娘にそっくりの孫娘に構いたくて仕方がないのだ。
公爵は頭を撫でるのを諦め、幼子にするようにティーマリンの手を取って優しく握った。
「こっちだよ」
ティーマリンは祖父に久し振りに手を引かれながら最も美しい客間の前に来ていた。祖父はティーマリンの手をしっかりと握りながら部屋に入った。
その瞬間、ティーマリンは絶句して立ち竦んだ。
あぁ、これは間違いなくお見合いだと確信して
「やぁバート、この子が私の愛しい孫娘ティーマリンだ。ほら、ティーマリン挨拶を」
「はじめまして私、パメット伯爵の娘、ティーマリンでございます。」
「はじめまして可愛らしいレディー。私はアルバート ティムールです」
アルバートは背の小さいティーマリンに合わせて腰を屈めて手を取りその手の甲にキスをした。
「えっ…」
ティーマリンは顔を赤くした。
アルバート ティムールは現王の歳の離れた弟で祖父の甥に当たる。
「おじ様、酷いですよ。こんな可愛らしい孫がいたのに僕に隠しているなんて。ティーマリン、歳はいくつかい?」
「今年で16になりました」
その瞬間、アルバート様は驚いた顔をした。
「そうかい。じゃあすぐに僕の妻になれるね、でもおじ様いいの?僕は今年で34歳だよ。こんなに可愛い16歳のレディーを貰っても?」
「あぁ、バートがティナを何よりも大事にしてくれるならよい。もちろん、ティナの気持ちも大事だが‥ティナ、バートは誠実で実直でよい男だ。お前が良ければ婚姻しなさい」
「は、はい」
きっと私の顔は今、真っ赤に染まっている。
だって、王弟殿下は私の好みの顔だったから!!そのためか私の脳みそは一切働かず、首が肯定を示す為にただ上下にカクカクと動いていた。そんな私をみてアルバート様はクスリと笑っていた。
「よかった、嬉しいな」
鼻の下に左手の人差し指を恥ずかしげにそえながらアルバート様は答えた。
無礼ながら私は王弟殿下の頭に犬の耳が見えた気がした。
ーーー
この時の私は、殿下の顔の美しさに気を取られて本当に頭が働いていなかった。
顔良し、性格良し、家柄良しの王弟殿下が何故売れ残っていたのか?疑問に思い調べるべきだったのに!
こうして、天然ポンコツ殿下と私は婚約した。
「ティナ、二年ぶりねぇ」
いとこであり最も仲の良い親友でもあるアリーナがティーマーリンに抱きついた。
「アリー、今日はステキなお茶会にお招きいただきありがとう。会えて嬉しい」
ティーマーリンもアリーナに抱きついた。
「おぉ、ティナ。また美しくなった。会いたかったよわたしの愛しい孫娘」
そんな孫娘2人にマックスウェル公爵は近寄り彼女たちの肩を抱いた。
「アリーナ、ティナをあの方に別室で合わせるからお前はお前の父親と供にいなさい」
「ええ、わかったわお爺様。ティナ、後で話を聞かせてちょうだいね」
アリーナはティーマリンをもう一度抱きしめた後、お茶会に戻って行った。
「お爺様、末席の私にまで目をかけてくださり感謝しています。」
「気にするでない。ティナも私の可愛い孫娘なのだから。」
ティーマリンがおずおずと祖父に対し礼を言うと公爵は愛しそうな目で私を見つめて頭を優しく撫でた。
「髪が崩れてしまいます」
そばに仕えていた執事にすぐさま注意されると、公爵は
「おっと、それはすまないねぇ」
と、戯けながらも残念そうにしている。
公爵は亡き妻に似た娘にそっくりの孫娘に構いたくて仕方がないのだ。
公爵は頭を撫でるのを諦め、幼子にするようにティーマリンの手を取って優しく握った。
「こっちだよ」
ティーマリンは祖父に久し振りに手を引かれながら最も美しい客間の前に来ていた。祖父はティーマリンの手をしっかりと握りながら部屋に入った。
その瞬間、ティーマリンは絶句して立ち竦んだ。
あぁ、これは間違いなくお見合いだと確信して
「やぁバート、この子が私の愛しい孫娘ティーマリンだ。ほら、ティーマリン挨拶を」
「はじめまして私、パメット伯爵の娘、ティーマリンでございます。」
「はじめまして可愛らしいレディー。私はアルバート ティムールです」
アルバートは背の小さいティーマリンに合わせて腰を屈めて手を取りその手の甲にキスをした。
「えっ…」
ティーマリンは顔を赤くした。
アルバート ティムールは現王の歳の離れた弟で祖父の甥に当たる。
「おじ様、酷いですよ。こんな可愛らしい孫がいたのに僕に隠しているなんて。ティーマリン、歳はいくつかい?」
「今年で16になりました」
その瞬間、アルバート様は驚いた顔をした。
「そうかい。じゃあすぐに僕の妻になれるね、でもおじ様いいの?僕は今年で34歳だよ。こんなに可愛い16歳のレディーを貰っても?」
「あぁ、バートがティナを何よりも大事にしてくれるならよい。もちろん、ティナの気持ちも大事だが‥ティナ、バートは誠実で実直でよい男だ。お前が良ければ婚姻しなさい」
「は、はい」
きっと私の顔は今、真っ赤に染まっている。
だって、王弟殿下は私の好みの顔だったから!!そのためか私の脳みそは一切働かず、首が肯定を示す為にただ上下にカクカクと動いていた。そんな私をみてアルバート様はクスリと笑っていた。
「よかった、嬉しいな」
鼻の下に左手の人差し指を恥ずかしげにそえながらアルバート様は答えた。
無礼ながら私は王弟殿下の頭に犬の耳が見えた気がした。
ーーー
この時の私は、殿下の顔の美しさに気を取られて本当に頭が働いていなかった。
顔良し、性格良し、家柄良しの王弟殿下が何故売れ残っていたのか?疑問に思い調べるべきだったのに!
こうして、天然ポンコツ殿下と私は婚約した。
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