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日曜日・叔母さんからの、まさかの提案・その3
しおりを挟む心の中を巡る、気持ち。
冷静になりましょう。
交際? 結婚?
私には縁のない事……。
若い二人の邪魔にならないように、定期預金を崩してお祝いとして渡そう。
「……姉ちゃん」
「美味しいわね、うどん」
そんな事を考えながら、うどんはつるつると食べ終わったが、謎のモヤモヤは胸につかえたまま。
叔母さんのお見合い話は保留にしてしまっている。
隆太朗に『今日は会えません。ごめんなさい』とメールをした。
でも、すぐ後悔の気持ちが湧いてきて、またメールを打って送ってしまった。
「……なにやってんの私……」
利佳子ブレインは壊れかかってきている。
「今日、大丈夫だったの?ごめんね」
「こっちこそ、ごめんなさい。断ってまた……すぐやっぱり会おうだなんて」
コンビニの駐車場。利佳子の車の中。
結局、自分が会いに来てしまった………。
約束を破ってはいけないし……。
「逆なら全然大歓迎! こっちこそ、またここまで来てもらっちゃって………ごめんね」
「私はいいの、車だし……こんなに遅くに、自転車でうちまでなんて……大変なんだから」
「ありがとう。前も言ったけどさ、そんなの大したことないんだよ。俺は人生で今一番幸せ時なんだからさ~」
「そんな」
「今日のサンドイッチも、俺の大好きなBLTサンドだし! こんな気遣いできる人いる? 弟の友達の好物を覚えてるなんてさ……!」
「それは……なんだかんだお付き合いも長いから……」
「それでもやっぱり利佳子は世界一……どうしたの? 利佳子……なんかあった……?」
珈琲を飲んだ横顔を見て隆太朗が言った。
どうして、そんな事がわかるの……?
「だてに長年片思いしてないよ~大丈夫?」
「……うん、全然大丈夫よ。ふふ、なんでもないわ」
「俺じゃ、なんのチカラになれないかもしれないけど………ぎゅ~~」
言葉通りぎゅ~~っとされる。
その温もりに、ホッとしてしまい、無意識に隆太朗の背中に手を回してしまう。
「りかこ……だいすき……」
じわりと感じる……温もり。
「ごめんなさい」
「ん? どうしたの?」
「……なんだか、私……自分勝手すぎて」
「なにかダメ? いいんだよ自分勝手でもワガママでも……俺にはさ」
「そんな……」
優しくキスされて、利佳子ブレインは停止した。
彼から薫る甘い、お菓子の香り。
ぼんやりして帰宅すると、利紀が洗面所にやってきた。
「どうしたの?」
「なんか俺さ、余計な事言ったよな」
「えー? 何が」
わざと明るく笑う。
「あのさ、彼女明日連れて来ようかな」
「何言ってるの? 明日は月曜日。がっつり残業あるし、彼女さんだって迷惑じゃない。しっかり計画立てましょう」
「だよな……」
「眼の前で惚気けて、私が『あぁーん羨ましい! 結婚したぁい!』ってなるとでも思ってる?」
「……そうだよ。だって火曜日の夜には隆太朗のとこ行って……水曜日でお試しは終わりだろ」
「そ、終わり~ね」
「そしたら、あの男と会うの?」
「んー? 会わないわよ。あとで断っておく」
「えっ……! 姉ちゃん、急ぎすぎだって!」
「7日間って期間を決めて、考えるのも悪くないわね」
「怖がってるだけじゃないの?」
「あはは、おばさんに怖いものなんか、ないのよ~じゃあおやすみ! 明日からまた仕事頑張らなきゃね」
何か言いたげな利紀を置いて、利佳子は部屋へ戻る。
「……甘い匂いする」
利紀のつぶやきが耳に入った。
甘い匂い……甘い時間……。
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