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木曜日・あなたは私に会いに来る。その3
しおりを挟む安堵の息がまた、耳元をくすぐる。
宙ぶらりんに彷徨っていた両手も、後ろから優しく握られた。
「き、気にしないで頂戴。私は何も……大丈夫だし、時間の早送りだと言っていたのだから……別に、どうってことないのよ」
年上女の余裕……のフリをしてしまう。
しかし、これでいい。
可愛げのないオバサンだと思ってくれれば成功だ。
「え……じゃあ、いっぱい……してもいい……? ……こっち、向いて……利佳子……」
利佳子ブレインの予想を大幅……どころか世界線が全く違う返信がきた。
どこか隆太朗は、可愛いくて……そういう事に無知で興味のないワンコ……そんな風に勝手に思っていた。
「えっ……りゅ……ん……っ」
身体を向き直されて、キスされた。
歯磨きしていて良かった……と思った途端に、また舌が絡む。
「ん……っ……ちゅ……利佳子……」
「ん……はぁ……」
「利佳子……大好き」
可愛いキスに、激しいキスに、の繰り返し。
どんどん身体が熱くなる。
「好きだよ……利佳子……大好き……っ」
「ん……」
抱き締め合う力も強くなる。
「……利佳子……利佳子も……利佳子は……」
「……えっ……」
「いや、なんでもない…大好きだよ」
きっと、好きって言ってほしいんだ。
瞳でわかった、気付いた。
でも言えるわけもない。
この大好きは、子供へ言う大好きじゃない。
何度も口付けられて、珈琲は結局お湯を入れないまま時間になってしまう。
「珈琲飲めなくてごめんねーー!!」
「いいのよ」
ぎゅーーっと、玄関で最後に抱き締められる。
「利佳子、大好き……! おやすみなさい」
ちゅっとまた口付けされる。
「へへっ。キスって癖になるね。すごい気持ちいい」
「ば、ばか!」
笑いながら隆太朗は帰っていった。
リビングに戻ると、いつも1人で平気なのになんだか寂しく感じた。
利佳子ブレインにキスの気持ちよさを記憶しそうになって慌てて削除した。
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