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ロードリア家のパーティー※アユム視点
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ロードリア家の問題解決のあと、エイシオさんのお父さんの復帰記念パーティーが開かれた。
なんだかんだんでもう、二週間くらいお世話になってしまっている。
エイシオさんがお世話になるのは勿論いいけど、俺は申し訳ない気持ち。
ロードリア家を救った! なんてみんなが俺に御礼を言ってくれたけど……全部ザピクロス様の力なんだよなぁ。
なんだか、すみませんな気持ちだよ……。
「乾杯!」
「「「「「乾杯!!」」」」
力強い、お父さんの声がパーティーホールに響く。
映画で見るような貴族のキラキラ立食パーティー。
キレイなドレスやスーツをまとった人が沢山だ。
「ブルバット家がまさか、ロードリア領主を殺そうとするだなんて……」
「ブルバット家も終わりだな」
「しかしあそこまでロードリア領主が元気になられるとは……安心したよ」
「本当に良かった」
みんなが噂話をしながらも、エイシオさんのお父さんの回復を喜んでいた。
エイシオさんは、久々の帰宅で色んな人から話しかけられている。
俺はすみっこでザピクロス様と一緒にいる。
「むきゅもきゅむきゅ! うっま! うっま! うまうま! うまいのは牛の肉! 豚の肉!」
ザピクロス様はテーブルの上でご馳走をむさぼりまくっているから、誰も近寄らない。
まぁケダモノ!? と御婦人が驚いて去っていった。
すみません……。
「ん……この付け合せ、美味しいな」
このピクルス美味しい。作り方知りたいな。
調理場の人達とは随分仲良くなって、俺は厨房に入り浸って料理を教えてもらっていたらエイシオさんがちょっと拗ねちゃったりもした。
家に帰ったらいっぱい料理を作りたいな。
「やぁ、アユム」
「あ、ウルシュさん」
ウルシュさんは、今日も派手なスーツを着て両腕に女の子。
二人の頬にキスをすると、バイバイと手を振って俺の横にやってきた。
「救世主様は、楽しんでいるかい?」
「は、はい。きゅ、救世主なんかじゃないですよ」
「救世主に違いないよ。僕は君に興味津々さ」
「いや、なんの特徴もない地味な一般人ですから」
「ふふ……そうかな。君、ずっとエイシオと一緒に寝てるの?」
「え! いえ、まさか……へ、部屋をお借りしています」
「ふ~ん?」
さすがに、あのままエイシオさんと二人で過ごしてるっていうのがバレたら困るので客間を借りているんだけど……エイシオさんが寂しいっていうから実際はずっとエイシオさんの部屋にいる。
ザピクロス様も一緒だけど……もしかしてバレてる?
「しかし、まさかフレイグルス兄さんがあんなに優しくなったのは恋人のおかげだったとはね」
今日はなんとフレイグルスさんの婚約発表もあった。
相手はかなり年上で……ソフィア様のご友人の未亡人の女性とのこと。
以前は領主に固執していた想いも、彼女との愛を貫くためなら諦めてもいいと思えてきたそうだ。
みんなびっくりしていたけど、祝福して婚約発表する事になったんだ。
もちろん後継者候補から落とされることもないようで、めでたしめでたし。
「本当に良かったです」
「アユムは、いい人いるのかい?」
ウルシュさんが、俺の耳元でささやく。
ふわっと息がかかった。
な、なんだか距離が近いなぁ。
なんだかんだんでもう、二週間くらいお世話になってしまっている。
エイシオさんがお世話になるのは勿論いいけど、俺は申し訳ない気持ち。
ロードリア家を救った! なんてみんなが俺に御礼を言ってくれたけど……全部ザピクロス様の力なんだよなぁ。
なんだか、すみませんな気持ちだよ……。
「乾杯!」
「「「「「乾杯!!」」」」
力強い、お父さんの声がパーティーホールに響く。
映画で見るような貴族のキラキラ立食パーティー。
キレイなドレスやスーツをまとった人が沢山だ。
「ブルバット家がまさか、ロードリア領主を殺そうとするだなんて……」
「ブルバット家も終わりだな」
「しかしあそこまでロードリア領主が元気になられるとは……安心したよ」
「本当に良かった」
みんなが噂話をしながらも、エイシオさんのお父さんの回復を喜んでいた。
エイシオさんは、久々の帰宅で色んな人から話しかけられている。
俺はすみっこでザピクロス様と一緒にいる。
「むきゅもきゅむきゅ! うっま! うっま! うまうま! うまいのは牛の肉! 豚の肉!」
ザピクロス様はテーブルの上でご馳走をむさぼりまくっているから、誰も近寄らない。
まぁケダモノ!? と御婦人が驚いて去っていった。
すみません……。
「ん……この付け合せ、美味しいな」
このピクルス美味しい。作り方知りたいな。
調理場の人達とは随分仲良くなって、俺は厨房に入り浸って料理を教えてもらっていたらエイシオさんがちょっと拗ねちゃったりもした。
家に帰ったらいっぱい料理を作りたいな。
「やぁ、アユム」
「あ、ウルシュさん」
ウルシュさんは、今日も派手なスーツを着て両腕に女の子。
二人の頬にキスをすると、バイバイと手を振って俺の横にやってきた。
「救世主様は、楽しんでいるかい?」
「は、はい。きゅ、救世主なんかじゃないですよ」
「救世主に違いないよ。僕は君に興味津々さ」
「いや、なんの特徴もない地味な一般人ですから」
「ふふ……そうかな。君、ずっとエイシオと一緒に寝てるの?」
「え! いえ、まさか……へ、部屋をお借りしています」
「ふ~ん?」
さすがに、あのままエイシオさんと二人で過ごしてるっていうのがバレたら困るので客間を借りているんだけど……エイシオさんが寂しいっていうから実際はずっとエイシオさんの部屋にいる。
ザピクロス様も一緒だけど……もしかしてバレてる?
「しかし、まさかフレイグルス兄さんがあんなに優しくなったのは恋人のおかげだったとはね」
今日はなんとフレイグルスさんの婚約発表もあった。
相手はかなり年上で……ソフィア様のご友人の未亡人の女性とのこと。
以前は領主に固執していた想いも、彼女との愛を貫くためなら諦めてもいいと思えてきたそうだ。
みんなびっくりしていたけど、祝福して婚約発表する事になったんだ。
もちろん後継者候補から落とされることもないようで、めでたしめでたし。
「本当に良かったです」
「アユムは、いい人いるのかい?」
ウルシュさんが、俺の耳元でささやく。
ふわっと息がかかった。
な、なんだか距離が近いなぁ。
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