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兄弟会議は続く※エイシオ視点
しおりを挟む怖がってしまったイヨンをアユムが、なだめてくれた。
毒殺疑惑なんて、恐ろしい話だけど兄弟みんなそれなりに経験があるからな……。
本人にその気はなくても、後ろ盾や派閥なんかが出来てしまうから。
「せっかくの家族団欒だったのにね……もう何も起こりませんように」
「アユムさん……ありがとうございます」
アユムとイヨン。
おっとりと優しいところが、二人とも似ているかもしれない。
アユムにも本当に申し訳ない事をしているな。
ラミリアともすぐに話がしたい。
一度も僕と話をしていないし、母上の後ろでコソコソと……いつもの彼女と全く違う。
僕に顔向けもできずに、このまま結婚話が大きくなったらどうするつもりなのか。
「僕は、父上達と話をしてくるよ」
「じゃ~アユムは僕たちと一緒にいたらいいよ~ん。僕とお酒でも……いかがかな?」
「いや、アユムも一緒に行こう」
「は、はい……」
ウルシュ兄さんは、アユムの傍にいてほしくない……。
「……この家族の話にも彼を立ち会わせて、どういうつもりなんだエイシオ」
厳しい表情のフレイグルス兄さん……。
恋人で婚約者だからです!
いずれは結婚する相手なんですよ!
僕の大好きな最愛の恋人なんです!!
って大声で言いたいけれどアユムとの約束もある……。
フレイグルス兄さんに男と結婚する、なんて言ったら卒倒するかもしれないな。
「僕の今後にも関係がある大事な人なので」
「……ビジネスパートナーとかですの?」
シャルロット、ナイスな一言だ。
それ使わせてもらおうかな。
「そうだね、そういうものかな」
可愛いシャルロットには、ゆっくり説明したい。
この子はラミリアにも懐いているけれど、きっと僕たちを祝福してくれるはずだ。
「そういえばぁ、ドレス・バーコックに結婚衣装を作らせる話だったんだろう~?」
フレイグルス兄さんはまだモヤモヤしているようだけど、こういう時には何も気にしないウルシュ兄さんの話題替えがありがたい。
「もちろん、その話は無しですよ。ウルシュ兄さんや皆で新しいスーツやドレスを作ってもらってはいかがですか?」
「参列用のスーツは作ってもらうつもりだったけどね。明日に僕達の採寸があるよ」
「あ~あ……私は婚約発表と、結婚式用のドレスを二つ作ってもらうつもりでしたのに」
「シャルの好みのドレスを好きなだけ頼めばいいよ。ソフィア様は今日は?」
「母様は隣の領土の婦人に呼ばれて泊りがけでお出かけ中ですわ。エイシオお兄様が帰ってきてると聞いたら残念がるでしょうね」
「急に帰ってきてしまったからね……皆にも申し訳ない事をしている自覚はあるよ」
「はっはっは。兄弟が帰ってきて、何が申し訳ないのさ、嬉しいに決まってるよねぇ? フレイグルス兄さん」
「んっ、それは、も、もちろんだ……」
フレイグルス兄さん側の人間が、僕に毒を盛ったと考えるのが一番単純明快だな。
でも僕は無責任に逃げ出すような自分より、真剣にロードリア家の事を考えてくれるフレイグルス兄さんに家を継いでほしいと、ずっと思っている。
「では、父上のところへ行ってきます」
あ……アライグマどうしよ。
もうトウモロコシ全部食べ終わってるし……。
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