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エイシオさんのご実家という城に入る※アユム
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エイシオさんの家……いや、城に着いた。
どっひゃーすぎる。
ファンタジー世界の城だよ。
国一番の貴族って言ってたけど、王様だったんじゃ……?
城の門をくぐっても、また違う馬車に乗ってやっと玄関……って言っていいのか。
ものすごく大きな扉を抜けて豪華な城の中に入る。
「エイシオ様……!」
「ロン、久しぶりだな」
「獣人化の時期でしたか!」
「そうなんだ」
おじいちゃん……執事さんかな。
寝ていたんだろう、慌てて執事服のネクタイを整えながら俺達の元に駆け寄ってきた。
「この嵐のなか、よくぞ此処までご無事で……! さすが勇者! 英雄なる獅子王! ささ、エイシオ様のお部屋で風呂も食事も用意させております。 ……そちらのお客様は?」
ロンさんが微笑みながら俺を見る。
エイシオさんが僕の腰に手をあてているから、絶対怪しんでると思うけど……。
「僕の大切な人だ。僕と同等に接してくれ」
「承知致しました。客間も準備中でございます」
「いや、僕と同室でいい」
「はっ!?」
ロンさん、めっちゃ驚いてる……。そうだよね……。
「今日あった事を色々と話したいんだ。何も気にするな」
「しかし……いえ、承知致しました」
「エ、エイシオさん……だ、大丈夫でしょうか……俺……」
「アユムは僕と一緒だよ」
「は、はい」
いいのかな……。でもエイシオさんの圧力がすごい。
『絶対一緒にいる』オーラが俺にもわかるようになってきた。
「それでは後ろの御二人は……?」
「あぁ、仕立てた屋の二人だ。この城で誰かが呼んだだろう?」
「なんと! 大奥様の呼び出した仕立てた屋と一緒に参られたのですか……!」
「わっ私共は本当に偶然でして! エイシオ様に助けて頂きドレス・バーコックからお伺いしました」
二人とも大慌てでペコペコしだした。
「あぁ、彼らも遭難しかかっていたのでね」
「エイシオ様に……この嵐ですので、それは難儀でございましたな。しかし失礼ながら毎度来るライラ姉妹かと思っておりました」
「ライラ姉妹は今多忙な時期でして、まだ修行中の身ではありますが私共が採寸だけならと派遣されました。これは依頼書です。すみません雨で濡れてしまって……」
ダニーさんが、ヨレヨレになった紙をロンさんに渡した。
確かにインクが滲んでいる。読めるのかな?
「ふむ……まぁ確かに」
「ロン、二人も疲れている。今日は客間に泊まらせてやってくれ」
「「エ、エイシオ様! そんな恐れ多い!」」
ダニーさんとシャンディさんが慌てている。
「君達はもう一緒に旅をした仲間だ。明日からの部屋はまた立場もあるだろうからロンに任せるが、今日はゆっくり休んでくれ」
「「あ、ありがとうございます!!」」
二人はメイドさんに連れられて、先に広い城の廊下へ消えていった。
俺達もエイシオさんの部屋に向かって歩きだした。
なんか……すごいぞ。廊下に絵画や壺とか……美術館みたい。
「ラミリアは来ているのか?」
「はい。ですが本日は、既におやすみされております」
夜中だもん、そりゃそうだよね……。
「明日の午後にでも、皆に挨拶しよう」
「はい。旦那様、皆様にお伝えしておきます。それではごゆっくりお休みくださいませ」
重そうなドアは閉められて、エイシオさんの部屋に二人きりになった。
ふぅ……とエイシオさんはホッとしたような息を吐くなり、
「さぁアユム……ゆっくりゆっくり……そのアラ……そのリュックを起こさないようにゆっくり降ろして……風呂へ行こう」
と俺の耳元で囁いて頬にキスをした。
ひゃー!?
どっひゃーすぎる。
ファンタジー世界の城だよ。
国一番の貴族って言ってたけど、王様だったんじゃ……?
城の門をくぐっても、また違う馬車に乗ってやっと玄関……って言っていいのか。
ものすごく大きな扉を抜けて豪華な城の中に入る。
「エイシオ様……!」
「ロン、久しぶりだな」
「獣人化の時期でしたか!」
「そうなんだ」
おじいちゃん……執事さんかな。
寝ていたんだろう、慌てて執事服のネクタイを整えながら俺達の元に駆け寄ってきた。
「この嵐のなか、よくぞ此処までご無事で……! さすが勇者! 英雄なる獅子王! ささ、エイシオ様のお部屋で風呂も食事も用意させております。 ……そちらのお客様は?」
ロンさんが微笑みながら俺を見る。
エイシオさんが僕の腰に手をあてているから、絶対怪しんでると思うけど……。
「僕の大切な人だ。僕と同等に接してくれ」
「承知致しました。客間も準備中でございます」
「いや、僕と同室でいい」
「はっ!?」
ロンさん、めっちゃ驚いてる……。そうだよね……。
「今日あった事を色々と話したいんだ。何も気にするな」
「しかし……いえ、承知致しました」
「エ、エイシオさん……だ、大丈夫でしょうか……俺……」
「アユムは僕と一緒だよ」
「は、はい」
いいのかな……。でもエイシオさんの圧力がすごい。
『絶対一緒にいる』オーラが俺にもわかるようになってきた。
「それでは後ろの御二人は……?」
「あぁ、仕立てた屋の二人だ。この城で誰かが呼んだだろう?」
「なんと! 大奥様の呼び出した仕立てた屋と一緒に参られたのですか……!」
「わっ私共は本当に偶然でして! エイシオ様に助けて頂きドレス・バーコックからお伺いしました」
二人とも大慌てでペコペコしだした。
「あぁ、彼らも遭難しかかっていたのでね」
「エイシオ様に……この嵐ですので、それは難儀でございましたな。しかし失礼ながら毎度来るライラ姉妹かと思っておりました」
「ライラ姉妹は今多忙な時期でして、まだ修行中の身ではありますが私共が採寸だけならと派遣されました。これは依頼書です。すみません雨で濡れてしまって……」
ダニーさんが、ヨレヨレになった紙をロンさんに渡した。
確かにインクが滲んでいる。読めるのかな?
「ふむ……まぁ確かに」
「ロン、二人も疲れている。今日は客間に泊まらせてやってくれ」
「「エ、エイシオ様! そんな恐れ多い!」」
ダニーさんとシャンディさんが慌てている。
「君達はもう一緒に旅をした仲間だ。明日からの部屋はまた立場もあるだろうからロンに任せるが、今日はゆっくり休んでくれ」
「「あ、ありがとうございます!!」」
二人はメイドさんに連れられて、先に広い城の廊下へ消えていった。
俺達もエイシオさんの部屋に向かって歩きだした。
なんか……すごいぞ。廊下に絵画や壺とか……美術館みたい。
「ラミリアは来ているのか?」
「はい。ですが本日は、既におやすみされております」
夜中だもん、そりゃそうだよね……。
「明日の午後にでも、皆に挨拶しよう」
「はい。旦那様、皆様にお伝えしておきます。それではごゆっくりお休みくださいませ」
重そうなドアは閉められて、エイシオさんの部屋に二人きりになった。
ふぅ……とエイシオさんはホッとしたような息を吐くなり、
「さぁアユム……ゆっくりゆっくり……そのアラ……そのリュックを起こさないようにゆっくり降ろして……風呂へ行こう」
と俺の耳元で囁いて頬にキスをした。
ひゃー!?
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