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湖畔で!※アユム視点
しおりを挟む冒険と言いながら、湖畔の豪華なロッジにプライベートビーチの俺達はいる。
受付小屋には『勇者もご利用』って、エイシオさんのサインが壁に書いてあったよ。
今日もニッコニコでいつまでも泊まってってください!って一番豪華な部屋の鍵を渡されたみたい。
うーん部屋は、まさにスイート!
バリっぽい南国チックなロッジだなぁ。
「すご……」
「うん、やっぱり良い部屋だね」
エイシオさん、やっぱりすごい……。
俺、なんか玉の輿に乗ったヒモ男って感じだよなぁ……。
エイシオさんは何も言わないけど、やっぱり俺も何か仕事をしたいな。
何か俺もエイシオさんにしてあげたい、役に立ちたいよ!
「アユムどうしたの? さっそく水着に着替えようか。リビングルームで待ってるよ」
そう言われて、一室でゴソゴソと買ってもらった海パンを履く。
海パンは元の世界と同じかな……と思ったけど普通の布だな。
合成繊維なんか、この世界にはないか。
綺麗なオレンジ色の水着。
エイシオさんは俺にはオレンジ色が似合ってるって思ってくれてるのかな?
黒とか灰色ばっかり選んでたから、派手に感じるけど純粋に嬉しい。
「アユム、よく似合っているよ!」
「あ、あは。ありがとうございます」
海パンで褒められるとか、くすぐったいなぁ。
貧素な上半身さらすのは恥ずかしいから、薄手のシャツは脱がないでおこう。
「エイシオさんは、さすがの肉体ですね」
エイシオさん、本当に彫刻みたいなんだよな~……筋肉美。
「そうかい……?」
「あ、なんか……変な事言っちゃいましたね」
「そんな事ないよ。恋人に褒められたら僕も嬉しい」
「エイシオさん……」
なんか男の人を好きになっちゃうって、思ってもみなかったし。
例えば、ここのビーチに男がいっぱいいても『やったぁ』って思わないと思うんだけど……。
エイシオさんの水着姿見たら、なんだろう、ドキドキしてきちゃったよ俺。
「アユム……今日は二人で……」
「さぁ~! トウモロコシを持てぃ!」
「あ、はい」
ザピクロス様のトウモロコシ奉行がまた始まった。
俺はトウモロコシの皮を剥いて、ザピクロス様に渡す。
昨日の朝市で買ったもの。
ポテポテ歩いて湖に近付くザピクロス様。
あぁ湖の波にさらわれたりしたら大変だ!
「ザピクロス様、俺が支えます」
「むぅ、我は神様じゃぞ……まぁ好きにしたらいい」
「はい」
「ざぶざぶ、ざぶざぶ、ざぶざぶ」
ザピクロス様が小さい手でトウモロコシを洗ってる。
笑っちゃうくらい可愛いなぁ。
「アライグマァ……」
「え?」
キラキラと太陽が降り注ぐ湖のビーチで、何か呪いのような声が聞こえた。
え? 今のエイシオさん?
「な、なんでもないよ。アユム! トウモロコシ洗いが終わったら僕と一緒に泳ごうか」
そうだよね。
鳥かなんかの声だったのかな?
「はい!」
えへへ! 水遊びなんか久しぶりだ!
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