61 / 107
湖に到着!※アユム視点
しおりを挟むエイシオさんとの旅は、とっても楽しく穏やかに過ぎていく。
冒険というか楽しいキャンプ旅行だな。
二頭の馬も穏やかで可愛くて、俺のブラッシングを気に入ってくれている。
門ももうすぐだ!
というところで、キラキラと輝く美しい湖が見えた。
「わぁー! 綺麗な湖だーっ」
水が透き通ってて穏やかな湖面が煌めいている。
大きな湖だなぁ~。
俺の田舎は沼ばっかりで、こんな綺麗な湖は初めて見た~!
心が浄化されるよ。
「うん、この湖は観光名所にもなってるね。湖水浴もできるよ」
「ふぅむ……我は泳ぎたい」
「急いでるんじゃないんですかっ」
エイシオさんのツッコミが入る。
なんだかエイシオさん、ザピクロス様にはよくツッコむんだよね。
意外……神にも物怖じしない勇者魂かな?
「だって、こんな綺麗な湖見ちゃったら、我、トウモロコシ洗いたくなっちゃうし、洗いたいしトウモロコシ」
今回の旅での重要アイテムが、トウモロコシになってる。
俺はさすがに少し飽きてきたけど、ザピクロス様は主食みたいなものだもんね。
「エイシオさん! 俺も泳ぎたいですっ!」
でもここはザピクロス様に賛成だ!
「あぁ! 泳ごう! ロッジも借りて、プライベートビーチにして泳ごう」
「ええっ、そんなキャンプでいいですよ」
「いやいや、せっかくだし。アユムの水着姿は僕だけが……いや、ゴホン」
「変態勇者めっ」
ザピクロス様がベシっとエイシオさんの顔面にひっついた。
ザピクロス様、ムササビのように飛んだり、イモリみたいに手のひらでくっついたりするんだよなぁ。
「違いますよっ! 喋るアライグマなんかいたら騒ぎになっちゃうからですよ! ゴホンゴホン」
顔からそのまま頭の上に乗っかるザピクロス様。
俺もいつもされるけど、そんなに重くない。
「おなごには我、大人気になっちゃうんだぞ」
ハッハッハッとザピクロス様が誇らしげに笑って、俺はそれもそうだろうな……と思った。
そうしたら俺のゴツい指輪……テンドルニオン様の指輪からビリッと静電気のような感覚が。
「ぎゃ!」「うわぁあ!」
ザピクロス様に雷が落ちた。
……頭に乗っかられていたエイシオさんも一緒に感電した!!
「わぁーー!? す、すみません!!」
ど、どうして!?
「お怪我は!?」
「だ……大丈夫だよ」「大丈夫じゃ……ごふ」
ザピクロス様、ちょっと焦げてるけど……。
「転移者殿のせいでは……ないんじゃ……なんでもないんじゃあ……」
「は、はい」
涙目になってるアライグマは初めて見た。
「お……ドキッ! 男オンリー湖水浴! ……楽しもうじゃないかの……」
言い方がなんか嫌だ。
38
お気に入りに追加
268
あなたにおすすめの小説
【完結】元魔王、今世では想い人を愛で倒したい!
N2O
BL
元魔王×元勇者一行の魔法使い
拗らせてる人と、猫かぶってる人のはなし。
Special thanks
illustration by ろ(x(旧Twitter) @OwfSHqfs9P56560)
※独自設定です。
※視点が変わる場合には、タイトルに◎を付けます。

すべてはあなたを守るため
高菜あやめ
BL
【天然超絶美形な王太子×妾のフリした護衛】 Y国の次期国王セレスタン王太子殿下の妾になるため、はるばるX国からやってきたロキ。だが妾とは表向きの姿で、その正体はY国政府の依頼で派遣された『雇われ』護衛だ。戴冠式を一か月後に控え、殿下をあらゆる刺客から守りぬかなくてはならない。しかしこの任務、殿下に素性を知られないことが条件で、そのため武器も取り上げられ、丸腰で護衛をするとか無茶な注文をされる。ロキははたして殿下を守りぬけるのか……愛情深い王太子殿下とポンコツ護衛のほのぼの切ないラブコメディです
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
異世界転生した俺の婚約相手が、王太子殿下(♂)なんて嘘だろう?! 〜全力で婚約破棄を目指した結果。
みこと。
BL
気づいたら、知らないイケメンから心配されていた──。
事故から目覚めた俺は、なんと侯爵家の次男に異世界転生していた。
婚約者がいると聞き喜んだら、相手は王太子殿下だという。
いくら同性婚ありの国とはいえ、なんでどうしてそうなってんの? このままじゃ俺が嫁入りすることに?
速やかな婚約解消を目指し、可愛い女の子を求めたのに、ご令嬢から貰ったクッキーは仕込みありで、とんでも案件を引き起こす!
てんやわんやな未来や、いかに!?
明るく仕上げた短編です。気軽に楽しんで貰えたら嬉しいです♪
※同タイトルの簡易版を「小説家になろう」様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる